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大企業と富裕層から取れ 消費税8%で“デフレ脱却”はムリ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182786
2016年6月3日 日刊ゲンダイ 文字起こし
ふかしているのはエンジンではなく“大ボラ”(C)日刊ゲンダイ
通常国会が閉会し、参院選に向けた事実上の選挙戦がスタートした。安倍首相は会期末の1日、記者会見して消費税10%への引き上げ延期を表明。これまでの公約を反故にするこの「新しい判断」について、「参院選を通じて国民の信を問いたい」と言った。
自分の失敗を国民に責任転嫁しようというのだから恐れ入る。増税延期に反対する国民はいない。それをいいことに、公約違反と経済失政を隠蔽し、「国民が選んだのだ」と自己を正当化する。盗っ人猛々しいとはこのことだ。
アベノミクスで金融をジャブジャブにし、国民の年金まで突っ込んで株価をカサ上げ。そうやって好景気を偽装してきたが、3年以上経っても結局、公約だった「消費税増税できる環境をつくる」ことはできなかった。
もはや誰の目にも経済政策の失敗は明らかなのだが、安倍首相はこの期に及んで「デフレ脱却のためにアベノミクスを一層加速させていく」とか言うのだ。増税延期の会見でも「アベノミクスのエンジンを最大限ふかす」と言っていた。それでデフレ脱却を果たし、「19年10月からの消費税引き上げが可能な環境を整える」と言うのだが、本当に勘弁して欲しい。
ここまでくると、ふかしているのはホラ以外の何物でもない。これ以上、失策を加速させればどうなるか。この国は間違いなく焦土と化してしまう。
■クルーグマンも認めた「失敗」
実際、日銀が異次元緩和でこれだけジャブジャブにしてきたのに、足元では4月の消費者物価指数が2カ月連続のマイナス。日本経済はすでにデフレの様相を呈している。
「金融政策だけでデフレ脱却ができないことがハッキリした。経済浮揚の効果がないことも、すでに米国で実証されています。金融緩和をしたところで、投資したくなるような成長産業がないから、資金の貸し出し需要もなく、カネが市中に回らないのです。
それなのに、いまだにリフレ派のトリクルダウン神話を信じてアベノミクスにすがる安倍政権は、これ以上ないほど愚かと言うほかありません」(経済アナリスト・菊池英博氏)
リフレ派の理論的支柱でノーベル経済学者のポール・クルーグマン教授は、98年に発表した「流動性の罠」という論文でデフレを放置する日本政府の対応を批判。彼のリフレ理論が異次元緩和に象徴されるアベノミクスの発端になったことはよく知られている。
そのクルーグマン自身が昨年、金融政策の限界を認めた。アベノミクスの失敗を受けてのことだ。ただし、失敗を認めたクルーグマンの新たな提言もまた自己弁護的なものに終始した。「日本経済には人口動態に起因する強力な下向きの力が働いている」、つまり少子高齢化という構造的な問題があり、そのため「大規模な財政・金融拡張策によって『下向きの力』を振り切って上昇するだけの『脱出速度』が必要」というのだ。
安倍首相が会見で「ロケットが大気圏から脱出する時のようにアベノミクスのエンジンを最大限にふかし、デフレからの脱出速度をさらに上げていく」と言ったネタ元はクルーグマンである。要するに、もっと派手に財政・金融を拡大するということだが、消費税増税を延期して、どこにそんな財源があるのか。また国民から召し上げるのか。あるいは日銀に札を刷らせるのか。完全にヘリコプターマネーの世界だ。日本経済は取り返しのつかない危険な領域に踏み込んでしまう。
大企業のためのアベノミクス(自民党大会で挨拶する経団連・榊原会長)/(C)日刊ゲンダイ
消費税8%据え置きでは割に合わない負担額の数々
「失敗した政策を拡大すればうまくいくというのは、ほとんど精神論の類いで、とてもマトモな経済政策とは言えません。ますます傷が深くなるだけなのは自明の理です。安倍首相は、本当は日本経済のことはどうでもよくて、経済政策は少しでも政権に長く居座るための方策でしかないのでしょう。自分の保身が目的だから、経済政策は口先だけのインチキで時間稼ぎができればいいし、消費税増税も選挙対策の付け焼き刃になる。これでは国民は浮かばれない。こんなデタラメ政権は絶対に次の選挙で叩き潰さなければなりません」(菊池英博氏=前出)
経済再生を訴えて政権に返り咲いた安倍首相が、マジメに経済対策に取り組んでいれば、本当にデフレ脱却も賃上げも実現できたかもしれない。なにしろ、圧倒的議席数を維持し、高支持率を保ち、国民の多くが不安視する安保法だって通すことができたのだ。ソノ気になれば国民経済を豊かにする政策は何だって通せた。
ところが、安倍首相の経済対策は金融緩和に頼りきりで、円安効果で大企業だけが潤い、負担は家計に押し付けられてきた。
安倍政権になってからというもの、消費税以外の負担増もものすごい。所得税、住民税、自動車税……。子育て給付金は廃止され、介護報酬も福祉給付金も削減された。年金保険料はアップで支給はカット。生活保護費も削減した。消費税8%の据え置きでは、とても割に合わない。
実質賃金は4年連続のマイナス。その上で消費税の8%への増税を強行し、弱者を痛めつけてきた。円安による物価上昇も庶民生活を苦しめた。身勝手な株式投資で溶かした年金もどうしてくれるのか。
搾取され続けている有権者は、参院選でしっかり意思表示しなければダメだ。ここでまた安倍自民を勝たせたら、国民はナメられる一方。消費税増税の延期を理由に社会保障がまた削られ、たばこ税など消費税とは別の名目の増税に苦しめられることになる。
■相続税や資産課税を強化しろ
三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の片岡剛士氏が言う。
「増税延期は正しい判断だと思いますが、早くも社会保障費の国庫負担分が毎年1兆〜2兆円足りなくなるという話が出てきました。今の社会保障を消費税で維持するためには、税率を引き上げ続けなければならない。社会保障のための安定財源を、低所得者ほど負担が大きい消費税で賄うのが適切なのかどうか。世代を超えて豊かな者から貧しい者へと分配するような仕組みを考える必要があるでしょう。具体的には、資産課税や相続税などで、富裕層から低所得者に分配するスキームに変えていくことです」
消費税増税と引き換えに大企業に約束した法人税減税はシレッと実行され、その穴埋め分は外形標準課税の拡大で賄われる。儲かっている大企業を優遇し、赤字企業に課税強化するわけだ。このことひとつ取っても、弱者を痛めつけるこの政権の姿勢がよく分かる。
そもそも、消費税を8%に引き上げたのが景気低迷の原因だというのなら、5%に戻すか、いっそ消費税をやめるべきではないのか。8%でアップアップの庶民にすれば、税率が数年間据え置きになったからといって、今以上に消費を増やすことはできない。給料が上がる見込みがなければなおさらで、ますます節約に走ることになる。消費が回復しなければ、景気の回復もあり得ない。
景気テコ入れのために毎年のように大型補正を組むより、消費税減税の方がよっぽど経済対策になるし、消費が盛んになって、かえって税収が増えるかもしれない。8%維持なんてチマチマした決定など、おためごかしというものだ。
思えば、97年に消費税を3%から5%に引き上げたことが、長引くデフレの引き金になった。さらに8%への引き上げを維持すれば、この先何十年、デフレ不況が続くかわからない。
デフレ脱却のために必要なのはアベノミクスの再加速では断じてない。今こそ減税が必要だ。
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