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ダブル選見送りの思わぬワナ〜安倍政権は「求心力維持」の大チャンスを手放した 増税延期には大賛成だが…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48807
2016年06月03日(金) 長谷川 幸洋「ニュースの深層」 現代ビジネス
■メディアが「増税凍結」と言わない理由
安倍晋三政権が決めた消費増税の再延期と衆参ダブル選挙の見送りをどう評価するか。「再延期+ダブル選実施」を唱えてきた私から見ると、実現したのは、より大事なほうの半分なので60点だ。ただ2年半の増税延期は実質凍結と同じだから、おまけして70点としよう。
増税延期がなぜ必要か。それは散々書いてきたから、ここでは繰り返さない。それより増税の再延期が、なぜ実質的に増税凍結なのか。
増税予定だった17年4月から2年半後の2019年10月といえば、安倍首相の自民党総裁任期である18年9月を過ぎてしまう。実務的にも19年10月から増税しようとすれば、ぎりぎり19年3月ごろまでに決断すればいい。
いずれにせよ安倍首相の任期が終わった時点なので、10%への増税をするかどうか本当に決めるのは、安倍総裁の任期が延長され首相に留任しないかぎり、次の首相という話になる。次の首相がだれになるか分からないのに加えて、次期首相が安倍首相の約束を守るかどうかは分からない。
いまの衆院議員の任期は18年12月だ。それまでに衆院選があればもちろんだが、任期満了で総選挙になったとしても、選挙結果次第で、最終決断する19年3月時点では自民党政権が続いているかどうかさえも分からない。
つまり2年半後の政権が決まっていないのだから、増税がどうなるかは当然、分からない。結局、はっきりしているのは「いまの安倍政権が続いている間は増税しません」という話だけなのだ。
延期というなら、次は実施できる条件がそろっていなくてはならないはずだが、そんな条件はいま安倍政権の手元にはない。だから、これは再延期というより実質的には「安倍政権による凍結」というべきなのだ。
少し考えれば分かるような単純な話なのに、マスコミはいまも再延期と報じている。なぜかといえば、結局のところ「安倍政権がそう説明しているから」だろう。彼らは基本的に取材対象が使った言葉をそのまま真に受けて記事を書く。物事を本質的に考えず、相手の受け売りで記事を書く習性が身についている。
■それでもダブル選をすべきだった
さらに、もしも実質凍結と言ってしまえば、増税断念に限りなく近い話になってしまう。それは財務省が絶対に避けたい。記者たちは財務省と権力者たちにおもねって、あえて凍結という言葉には触れないのだ。
そんな調子で「権力の監視」などと大見得を切っているマスコミをみると、私はちゃんちゃらおかしくなる。監視などと大見得を切るなら、まず政権の言葉遣いをきちんと監視したらどうか。
さて、そのうえでダブル選の見送りだ。私はいまも増税を延期するならダブル選をすべきだったと考える。なぜかといえば、このコラムでも再三指摘してきたように、安倍首相は前回の増税延期の際に「次は必ず増税する」と強調してきたからだ。
首相は「リーマン・ショック級の事態があれば別」と増税に前提条件を付けた。現状がリーマン級の危機を招きかねない危うい局面である点は私も同意する。バブルが崩壊した中国は長期低迷が必至であり、日本は前回の消費増税がいまだに尾を引いて消費が伸びない。加えて熊本地震の悪影響もある。
そうであったとしても、再び増税延期するならあらためて国民の声を聞くべきではなかったか。まして、安倍首相が6月1日の会見で「増税延期は新しい判断」とまで言ったのだから、なおさらだ。
麻生太郎財務相や谷垣禎一自民党幹事長、稲田朋美政調会長らが「増税を延期するなら解散を」と求めたのは正論だ。私の立場は増税反対なので、彼らと正反対だが「増税延期なら解散を」という一点では私も完全に同意する。
■私の頭が硬いのだろうか…?
解散を見送った今回の決定は安倍政権内に微妙なしこりを残す可能性もある。与党議員の心の片隅に、国民に対して忸怩たる気持ちが残るかもしれない。
参院選があるのだから、そこで国民の声を聞くという理屈はある。熊本地震もあったから、解散見送りはやむを得ないという事情も分からなくもない。私も4月22日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/48508)では、そう書いた。
だが、思い切って解散し出直していれば、与党議員たちは公約と実際の政策、政治に対する気構えについて完全にリセットできただろう。
今回は伊勢志摩サミットとオバマ大統領の広島訪問という歴史的成果に加えて、増税先送りという絶好の追い風に恵まれていた。内閣支持率も上昇していた。おそらくこの先、これ以上の環境は訪れないのではないか。
一方、もっとざっくばらんな意見もある。
私が出演したTOKYO MXのニュース番組「モーニングCROSS」で司会の堀潤さんが面白いことを言っていた。「増税延期?それでいいから解散しなくてもいいよ、カネもかかるし、と思っている国民が多いのではないか」というのだ。
たしかに各種世論調査では7割前後の人々が増税延期に賛成している。ダブル選についてはどうかというと、番組が実施した即席のネット調査ではダブル選挙に反対が賛成を上回った。この結果が示していたのは「増税延期をするなら、公約違反になったとしても解散なしでOK」という受け止め方だろう。
私のような「政策変更なら解散すべし」という主張は頭が硬すぎて、杓子定規にすぎるのだろうか。政治のウオッチャーとしては、永田町のドラマもさることながら、国民の本音にも目配りする必要があると感じた一件だった。
そんな意見も認めたうえで、あえて言っておこう。今回のダブル選見送りで安倍政権の勢いに陰りが出てくる恐れはないか。
■安倍政権のゆるみにつながる?
ダブル選は永田町で最大のビッグイベントだ。政治が求心力を保つにはハラハラドキドキ感が不可欠である。今回、ダブル選を打っていれば、安倍政権の勝利は揺るぎないとしても、政治ドラマとしてはここ数年で一番の盛り上がりを見せただろう。
その機会が失われたとなると、逆に参院選の投票率が心配になる。政権交代があるわけでもなし、増税延期の是非だけが焦点になるなら、有権者はあっさり「それで文句ないよ」と考えて、投票所に足が向かないかもしれない。
永田町の政治ドラマに関心が薄れるとなると、政権の求心力にも影響が及ぶ可能性がある。「どうせ安倍政権が続くなら、お任せでいいや」と受け止められると、政権内部の緊張感も薄れていく。
野党だけでなく与党も衆院議員たちのクビはつながった。今回のダブル選見送りが安倍政権の緩みにつながらなければいいが…。
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