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増税延期の安倍総理に必要なのは 二枚舌でなく「謝ること」(上) (ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/164.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 02 日 08:55:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

増税延期の安倍総理に必要なのは 二枚舌でなく「謝ること」(上)
http://diamond.jp/articles/-/92306
2016年6月2日 田中秀明 [明治大学公共政策大学院教授] ダイヤモンド・オンライン



Photo:首相官邸HP


 6月1日、安倍総理は来年4月1日に予定していた8%から10%への消費増税の延期を表明した。これまで外部有識者から意見を聞くなど、年初来から増税の是非を検討しつつも明言を避けていたが、ようやく意思を明確にしわたけである。最初に断っておくが、本稿は消費増税を予定通り実施すべきであることを主張するものではない。ここでは、政府としての意思決定に大きな問題があること、そして何よりも総理大臣としての識見と誠実さに疑問があることについて、指摘したい。


■「再び消費増税の延期はない」
 あの記者会見は何だったのか?


 今回の消費増税延期は、2014年11月に続いて2回目となる。同年11月18日の総理記者会見で、安倍総理はこう述べた。


「来年10月の引き上げを18ヵ月延期し、そして18ヵ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています」


 そして、次のように述べて衆議院を解散した。


「税制は国民生活に密接にかかわっています。代表なくして課税なし。アメリカ独立戦争の大義です。国民生活に大きな影響を与える税制において、重大な決断をした以上、また、私たちが進めている経済政策は賛否両論あります。そして、抵抗もある。その成長戦略を国民の皆様とともに進めていくためには、どうしても国民の皆様の声を聞かなければならないと判断いたしました。信なくば立たず、国民の信頼と協力なくして政治は成り立ちません」


 このとき、消費増税延期の理由として安倍総理は、2014年4月1日の5%から8%への消費増税が個人消費を停滞させたことを挙げていた。安倍総理は、10%へ消費税率を引き上げれば、再び景気が悪化し、アベノミクスを台無しにすると考えていたが、さすがに2014年11月の記者会見での発言には重みがあり、そう簡単には増税延期を口に出せなかったわけである。


■いつの間にかリーマンショックが
 増税延期の条件にされている謎


 2015年11月10日の衆議院予算員会で、安倍総理は消費増税に関してこう述べている。


「昨年末、このアベノミクスの成功を確かなものとするため、消費税率の10%への引き上げを18ヵ月延長したところでございます。これはまさに、経済を再生し、デフレから脱却をしなければ財政再建はできないという考え方のもとに、これはしばらく、1年半延期をしたところであります。同時に、世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡していくという大きな責任があります。そしてまた、市場や国際社会からの信認を確保するために、29年4月には確実に上げていくということをお約束しています。もちろん、これはリーマンショック級の大きな経済的な出来事があれば別でありますが、そのことも含めて信を問い、我々は勝利を得ることができました」


 なお、2014年の衆議院選挙における自民党の選挙綱領には、「経済再生と財政健全化を両立するため、消費税率10%への引き上げは2017年4月に行います」と書かれており、リーマンショックについての記述はなく、何ら条件は付されていない。総理の発言は当初と変わったわけだが、消費増税を延期するためには、リーマンショック級の危機が必要になったのだ。


 安倍総理は、前回の3%の消費増税が個人消費を押し下げたと指摘していた。しかし、事実を確認する意味で付言しておくが、経済データをつぶさに見る限り、前回の消費増税が景気を低迷させたわけではない。当然ながら、消費税を増税した2014年4-6の消費は落ち込んだが、9-12月期以降は消費はプラスに転じている。7-9月期のマイナスは在庫投資である(4-6月期に積み上がった過剰在庫を減らしたから)。


 また、2015年4-6月期や10-12月期の消費のマイナスは、軽自動車税の引き上げ、冷夏、暖冬など、消費増税とは別の要因で生じたものである。2014年4月の消費増税の実施によるマイナスの影響はせいぜい半年間であり、その後景気は回復し、増税前の需要の先食いによる成長も考えれば、消費増税の影響は限定的だった。


 GDPがそこそこ伸びているにもかかわらず家計消費が伸び悩んでいるのは、労働所得が伸びないからであり、それは消費増税前から起こっていた。安倍総理は、最近の経済の低迷を消費増税のせいにしたいのだろうが、真実を直視し、アベノミクスが日本経済の構造的な問題から目をそらして的外れだったことを、素直に認めるべきだろう。


■安倍総理の最後の拠り所は
 我田引水の伊勢志摩サミット


 その後安倍政権は、消費増税の是非について内外の有識者からの意見を聴取していたが、増税延期の理由を模索していた安倍総理が最後の拠り所としていたのが、今般の伊勢志摩サミットである。サミットの結論である『G7伊勢志摩首脳宣言(骨子)』(2016年5月27日)では、「世界経済の回復は継続しているが、成長は引き続き緩やかでばらつきがある。また、前回の会合以降、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきている。我々は、新たな危機に陥ることを回避するため、経済の強靭性を強化してきているところ、この目的のため適時に全ての政策対応を行うことにより現在の経済状況に対応するための努力を強化することにコミット」「各国の状況に配慮しつつ、強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長経路を迅速に達成するため、我々の経済政策による対応を協力して強化すること、及びより強力な、かつ、均衡ある政策の組合せを用いることにコミット」と書かれている。


 確かに世界経済の下方リスクは存在するが、それがリーマンショック級の不況をもたらす可能性があると指摘しているわけではない。重要なことは、「新たな危機」に対応するためと言っていることであり、現在そうした危機があるとか、迫っているとかいうことではない。この宣言は、リスクに対してG7各国が適切な対応をしようという、ごく当たり前のことを言っているに過ぎない。


 他方、安倍総理は記者会見(5月27日)で以下のように述べ、現在の経済状況はリーマンショック級なのだ、と言っている。


「原油をはじめ、鉄などの素材、農産品も含めた商品価格が、1年あまりで、5割以上、下落した。これは、リーマンショック時の下落幅に匹敵し、資源国をはじめ、農業や素材産業に依存している、新興国の経済に大きな打撃を与えている」


「昨年、新興国における投資の伸び率は、リーマンショックのときよりも低い水準にまで落ち込んだ。新興国への資金流入がマイナスとなったのも、リーマンショック後、初めての出来事である」


「中国における過剰設備や不良債権の拡大など、新興国では構造的な課題への『対応の遅れ』が指摘されており、状況のさらなる悪化も懸念されている。こうした事情を背景に、世界経済の成長率は、昨年、リーマンショック以来、最低を記録した」


「世界の貿易額は、2014年後半から下落に転じ、20%近く減少。リーマンショック以来の落ち込みである」


 この発言は、5月26日午後の世界経済に関する首脳会議で、安倍首相が唐突に配布した資料に基づくものである。同資料には、リーマンショックという言葉が繰り返し出ているが、G7首脳にはそうした認識はなく、日ごろ政府寄りの発言をする民間エコノミストでさえ、リーマンショック並みの危機が到来していることについては異論を唱えている。経済・財政問題について一義的に責任を持つ財務大臣らの会合(首脳会議の前の5月20日〜21日の仙台財務大臣・中央銀行総裁会議)では、リーマンショック級という議論などなかった。


 石油価格は足もとで上昇に転じており、そもそもリーマンショックは米国など先進諸国で起こったものであり、安倍総理が引用している中国や新興国の話ではない。安倍総理が国会の審議においてリーマンショックについて言っているのは、「そうした出来事が起こらない限り引き上げを行う」ということであるが、前述した伊勢志摩サミットでの総理の説明は、新興国の経済事象が日本に及ぶ可能性があると言っているに過ぎず、どう考えてもこれは消費増税延期の直接的な理由にはならない。伊勢志摩サミットを報道した海外メディアは、「安倍総理の説明は消費増税延期のための口実に過ぎない」と伝えている。


■最も借金が多い日本が
 財政出動を訴えた滑稽さ


 改めて今回の伊勢志摩サミットを振り返ってみると、経済政策については、主要7ヵ国(G7)の中で一番借金が多い日本が積極的な財政出動を訴えたことは滑稽だった。サミットでは、財政出動に対する各国の温度差が改めて浮き彫りになったが、なかんずく英独は日本と距離を置いた。


 報道によれば、独のメルケル首相は、これまでの安倍首相との首脳会談で、巨額の借金を抱える日本がさらに財政出動をなぜ考えるのか、疑問に思ったという。また、同じ独のジョイブレ財務相は、26日、ベルリンで「財政支出の拡大は持続的な経済成長につながらない。公共投資は鍋の中で燃えさかる一瞬の炎のきらめきで、最後は負債が増えるだけだ」(読売新聞2016年5月27日)と述べたという。


 サミットの宣言文は議長国がつくるのであり、事実と反する内容ならばともかく、日本が財政出動したいならばお好きにどうぞ、という程度の話だったのだ。英独は、リーマンショック後に大幅な歳出削減や増税など財政再建の努力をしており、需要を生み出すための無駄遣いをするわけがない。


               ◇


増税延期の安倍総理に必要なのは 二枚舌でなく「謝ること」(下)
http://diamond.jp/articles/-/92333
2016年6月2日 田中秀明 [明治大学公共政策大学院教授] ダイヤモンド・オンライン


■財政再建に努力してきた
 英独と成長頼みの日本


 英国の動きを振り返ろう。2010年に誕生した保守・自民連立政権は、危機的な財政悪化に対処するため、医療などの一部を除く歳出の25%削減や増税を盛り込む財政再建計画を実施するとともに、従来の仕組みを見直すための予算制度改革を行った。新たに予算責任・会計検査法を制定し、財政再建目標を規定する予算責任憲章を導入するとともに、成長率の予測などの機能を財務省から分離し、それを担う独立機関である予算責任庁を設置した。


 また、財政再建によるデフレ効果を緩和するため、金融を緩和し、法人税改革を含めた成長戦略を実施している。成長戦略は低成長の原因を分析し、具体的な数字が入った実行可能なものであり、各省の希望の寄せ集めである日本のそれとは雲泥の差がある。法人税率引下げにより減収となるものの、歳出削減や他の増税により賄っており、赤字は拡大していない。


 厳しい財政再建により景気は一時的に後退したものの、経済は回復した(図表1および2を参照)。金融危機後の英国の財政赤字は日本より悪かったが、現在では日本より改善し、19年度に黒字化する見通しである。英国は財政再建と景気回復の二兎を達成しつつある。


◆図1 日独英の実質GDP成長率

OECD Economic Outlook No98 Nov2016に基づき作成


◆図2 日英独の一般政府財政収支

OECD Economic Outlook No98 Nov2016に基づき作成


 独は、リーマンショックで悪化した財政を立て直すため、2010年6月、2011から2014年の4年間で総額816億ユーロとなる歳出・歳入両面(歳出削減が全体の約65%を占める)からなる健全化策を策定している。その結果は、2012年には国・地方などを併せた一般政府レベルで財政黒字を達成している。


 さらに重要なことは、リーマンショックを契機として危機直後の2009年7月に、連邦基本法(憲法)を改正し、連邦政府と州政府の財政収支均衡を原則として義務付けるルール(「債務ブレーキ」と呼ぶ)を規定したことである。独の取組みは、EUの財政協定(2013年発行)に取り入れられ、欧州各国は財政収支均衡の原則ルールを、憲法ないし国内法に規定することが義務付けられた。つまり、英独に限らず、今回のサミットで日本の立場に比較的好意的だった仏伊でも、安易な財政出動はできないのである。


 安倍総理は、世界経済の下方リスクが増大し、財政出動が必要と述べているが、そもそも現在の日本はほぼ完全雇用であり、需要不足ではない。大型補正予算も検討されているが、ここで財政出動をすれば、民間経済を政府が追い出す「クラウディングアウト」を起こす。実際、最近では東日本大震災の震災復興、東京オリンピック、さらには今回の熊本地震による復興などで公的需要が増大しており、資材価格の高騰などをもたらしている。


 景気が悪いときに景気刺激策を行うのはまだ許されるが、現実の政治は景気が良いときでも景気対策なのだ。日本の財政赤字の特徴は、景気循環の影響を取り除いた構造収支がいつも大きな赤字になっていることである。そうしたデータはOECDなどが出しているが、日本政府は発表していない。先進国ではそのような国はないだろう。


 日本経済の根本的な問題は、ほぼゼロになっている低い潜在成長率である。ここでいくら需要面での対策を行っても、経済は好転しない。デフレ対策を含め、アベノミクスの問題は、低成長の原因を分析することなく、思い付きで対策を講じていることである。たとえて言えば、頭痛を訴える患者に対してその原因を診断することなく、注射や薬などの処方ばかりをしている状況だ。今の財政出動は、間違った景気判断の下で間違った経済財政政策を講じるようなものである。


■消費増税延期は政策判断の問題
 その意思決定に必要なこと


 前置きが長くなったが、要するに今回の伊勢志摩サミットで安倍総理が主張していることには、理屈が全くない。彼は、もともと条件なしに消費増税を約束したのであり、仮にリーマンショック級の危機が日本において生じているのであれば、延期もやむを得ないとしても、単に世界経済の下方リスクが拡大している、新興国の経済が停滞しているというだけでは、説得力のある理由にはならない。これまでの安倍総理の発言とは矛盾する。重要なことは、そうしたリスクが日本経済に与える影響だ。伊勢志摩サミットにおける安倍総理の説明には、それは全くない。海外の首脳やエコノミストが危機と言っていないのにそうだと言うのは、まさに「大本営発表」だ。


 誤解のないように言えば、小生は約束した消費増税は何が何でも実行すべきと言っているのではない。政府は、様々な状況の変化に応じて必要な措置をとるべきであり、その必要性を政府内できちんと議論し、国民に説明し、理解を求めればよい。それが議院内閣制の基本である。それでは、今回の伊勢志摩サミットで総理が発言した点についてはどうだろうか。


 たとえば、政府の経済情勢の判断を示す「月例経済報告」を見よう。直近の5月の報告では、「先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国などの景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある」と述べている。新興国でのリスクはあっても、日本経済がリーマンショック級の経済状態に陥る可能性については、何ら言及していない。


 去る5月18日に発表されたGDP速報では、2016年1-3月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間企業設備がマイナスに寄与したものの、民間最終消費支出、財貨・サービスの純輸出(輸出−輸入)、政府最終消費支出がプラスに寄与したことなどから、前期比で0.4%増(年率1.7%増)となっている(2四半期ぶりのプラス)。また、名目GDP成長率は前期比で0.5%増となり、2四半期ぶりのプラスに転じている。


■政府内で検討することもなく
 サミットで突然延期を持ち出すとは


 政府の経済財政政策の司令塔である、経済財政諮問会議はどうだろうか。4月18日の同会議では、現下の世界経済情勢と政府の経済財政政策の基本となる2016年骨太方針案を議論しているが、議事要旨を見る限り、「リーマンショック」という言葉はどこにもない。伊藤元重議員が「新進国の成長力が力強さを欠いている」、高橋進議員が「海外環境が激変している」と指摘している一方、麻生副総理兼財務大臣は、経済の好転による雇用の改善などを反映して生活保護世帯数の伸びが落ちていること、雇用保険財政が好転していることなどを述べている。


 つまり、これまで政府部内では、現在の日本経済がリーマンショック級の危機に直面していることについて、何ら議論されていない。それを、今回の伊勢志摩サミットで突然安倍総理が持ち出してきたわけである。政府の意思決定は、日本国憲法や内閣法などに定められているとおり、内閣が連帯して責任を負うことになっている。だから、閣議決定のルールは満場一致となっている。


 各省大臣が反対すれば、総理は何も決められないと言っているのではない。政府内でデータに基づき十分な議論と検討を行った上で、閣僚間で異論があれば、最後は総理が決めればよいのである。もし反対する閣僚がいれば、小泉元首相が行ったように、当該閣僚は罷免すればよい。経済情勢の判断、なかんずくそれが消費増税の是非に関わる国家の最重要事項について、政府内で何ら検討もなく、突然国際会議で、しかも根拠のない情報に基づき総理が持ち出すことの問題である。こうしたプロセスは、政策判断を誤ることになる。今回の安倍総理の意思決定について、経済・財政について責任を有する麻生副総理兼財務大臣は蚊帳の外だったという。通常の国であれば、財務大臣は辞表を提出するだろう。


■安倍首相に必要なのは
 二枚舌ではなく「謝ること」


 では、消費増税についてどうすればよいか。


 6月1日、通常国会の閉幕に当たり、安倍総理は消費増税延期について、「有効求人倍率など経済指標は過去最高の良い水準であり国内経済は最良の状態にある一方で、新興国を中心に世界経済はリーマンショックに匹敵するリスクに晒されているため、ここで消費増税を実行すれば、景気は腰折れする可能性がある。サミットでは景気を悪化させるリスクに対してはあらゆる手段を講じて対応することを約束した。それを実行するのが消費増税延期である」という旨を説明した。そして、リーマンショック級の景気悪化は起きていないが、「リスクに対応するのは新しい判断である。だから参院選で国民の審判を問う」と述べた。

 ここだけを聞く限り、もっともらしい説明である。現在の日本経済の情勢を見る限り、リーマンショック級の危機が到来しているとは考えられず、そう考えたのは安倍総理以外にはいないが、判断と言ってしまえばそうであろう。問題は、これだけ重要なことを政府内でデータに基づききちんと議論しなかったことである。もしそうすれば、リーマンショック級を示す証拠がないと批判されるので、サミットを利用し独断で決めたのだ。延期するための唯一の説明は、総理が「以前の発言は嘘だった」と国民に対して正直に謝ることである。


 国のリーダーたる総理のなすべきことは、根拠がない屁理屈を並べることではなく、まして他国の経済状況に責任を転嫁することでもない。たとえば、「再び消費増税を実施すれば、国民生活に甚大な影響を与えるので、それは回避したい」と言って、前言を撤回することだ。これまでアベノミクスで経済が好調で、税収も増えていたと自画自賛していたのに、なぜ突然手の平を返したようにリーマンショック級の危機に日本が直面していると言えるのだろうか。経済財政諮問会議では、増収を育児対策などに使えと議論していたのではないか。二枚舌を使うのではなく、嘘をついて申し訳なかったと説明し、その是非は来る参議院選挙で国民に問えばよいのだ。それができないとすると、今回の延期は単なる参議院選挙対策なのだ。


 それから重要なことは、消費増税延期の処理である。もともと消費増税は、民主党・自民党・公明党が合意した社会保障・税一体改革で社会保障充実のために行うものだったので、増税を延期するのであれば、当然ながら充実は諦めることを国民に説明しなければならない。非現実な高い経済成長をあてにする、いわば砂漠で水乞いをするのはあまりに無責任だ。2020年に基礎的収支の黒字を目指すという財政再建目標も現実味がないので、見直すのが筋である。


 どうしても充実させたいというのであれば、増収が生じてから翌年度にすべきであろう。リーマンショック級であれば、増収などは期待できないはずであるが。残念ながら、この点については、野党民進党はさらに問題である。先般、民進党は「アベノミクスが失敗したので消費増税は延期すべき」と主張し、その一方で社会保障の充実は維持し、その財源は借金で対応することを提案している。さらに子どもたちに負担をつけ回すのか。政党名は変わったが、国民のためを思い消費増税を決めて政権を投げ打った気概は、どこに行ったのだろうか。日本の政治家は、与野党ともにポピュリズムに走っている。



 

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コメント
 
1. 日高見連邦共和国[1839] k_qNgoypmEGWTYukmGGNkQ 2016年6月02日 09:23:11 : Ihir5pcR5A : _8AvK2G84Zw[106]

昨日だけど、朝のラジオで高島ヒデタケが、

『普通はコレ、我々の世界では、最低でも坊主で土下座ですよ!』

と、安倍の“消費税増税再延期”の決断に対して言っていた。

この“政権ヨイショ”の御仁さえ・・・(笑)


2. 2016年6月02日 09:37:06 : KzvqvqZdMU : OureYyu9fng[-110]
田中秀明:財務省出身
ま、財務省の犬なのであろう。
財務省が、財政再建に前向きでない安倍を あららゆる人脈を使って安倍おろし
に精出しておる。
財務省は日本がどんなに衰退しようが財政再建至上主義だ。
亡国の財務省はいちど解体するべきだな




[32初期非表示理由]:担当:アラシコメントが多いので全部処理

3. 雅則[297] ieuRpQ 2016年6月02日 12:55:45 : 21afpWVA2Q : WJjqL3MUkLU[18]
消費税率引き上げ中止したら、戦後の様に税のあり方を検討したら戦後の政治の方が良かったですね。もう一度やり直してください。知恵を出してお願いします。

4. エリック・カートマン[39] g0eDioNig06BRYNKgVuDZ4N9g5M 2016年6月02日 14:08:10 : zHD8nI1Th2 : 8sfyR1MRJQM[1]
極度に甘やかされて育ったボンボンのわがままっ子。
自分が間違っていても決してそれを認めて頭を下げたり謝ったり出来ない性格のママ、
身体だけ老いたどうしようもないガキ。

ある意味で成功したサイコパス〜

ぱすぱす〜



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