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議長会見で強弁(C)AP
オバマ広島訪問に救われた国辱ものの三百代言外交 永田町の裏を読む
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182587
2016年6月2日 日刊ゲンダイ
たった17文字で世相を斬ってみせる川柳の軽妙さは、江戸の昔も今も変わらない。30日付「よみうり時事川柳」に一句あって、「洋弓で射る3本の矢の行方」。この句に本日の「秀」マークを付した選者のコメントもふるっていて、「7人が3本ずつ射て計21本の矢。くたばれ経済危機!」と。
安倍晋三首相は先のサミットで、世界経済がリーマン・ショックと同じような「危機」に直面しつつあるので、各国が財政出動で足並みをそろえなければならないという合意を達成しようとして熱弁を振るった。
しかし、メルケル独首相は「危機(クライシス)は言い過ぎで、せいぜい危険(リスク)が残っているという程度。世界経済はそこそこ安定した成長を維持している」と反論し、さらに「構造改革、金融政策、財政出動の3つをそれぞれが実情に応じてやればいいのであって、ドイツは財政出動のフロントランナーにはならない。
民間投資で引っ張ることが重要だ。途上国は構造改革をやる必要がある」と語った。オランドもキャメロンもオバマも安倍説には賛同しなかった。
ところが安倍は、会議後の会見で「世界経済が危機……(と言いかけて、さすがにその言葉は引っ込めて)リスクに直面しているという認識で一致した。これからは3本の矢を世界で展開していく」と、まさに牽強付会、自分の都合のいいように結論をねじまげてサミットが狙い通りに成果を挙げたかに強弁したのだ。
これには各国の特派員たちも相当驚いたようで、英BBCの記者は「安倍は、アベノミクスを世界中で展開することでG7が合意したと言ったが、そんなことは宣言のどこにも書いていない」「彼は、来年の消費増税延期について国際的な支持を得たかったのだが、それに失敗した」と冷笑気味に論じた。
まったくこれは、「福島事故はアンダー・コントロール」と世界に向かって堂々と嘘をついて東京五輪を誘致したのに匹敵する、国辱ものの三百代言外交である。
ところで、この日のよみうり川柳にはもう一句あって、「イセシマでなくヒロシマと憶えそう」。その通りで、あれでもしオバマの広島訪問がなかったら、27日夕から翌日にかけてのマスコミは「本当にサミットは成功したのか?」の吟味に明け暮れただろう。
オバマのおかげでテレビも新聞もトップニュースはヒロシマ一色となり、イセシマの話は2番目か3番目にランク落ち。「イセシマに恥はかき捨てヒロシマへ」という素早い場面転換で、安倍は少しだけ救われた格好となった。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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