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消費税撤廃、アジア版列島改造、そして格差是正……ニッポン経済復活へ、田中角栄ならこうする 小手先の政策でこの難局は打破できない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48754
2016年06月01日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
いま空前の田中角栄ブームだ。関連書籍が次々に刊行されてはベストセラー化し、テレビや新聞も大特集を組んでいる。難局の時代を突破するヒントを角栄に求めたら、答えがたくさん見つかった。
■アジア版列島改造論をぶち上げる
まず多くの識者が指摘したのが、「日本の売り込み」を、アジア中心で一気に進めていくだろうということである。
「田中角栄さんがいま生きていたら、安倍政権とはまったく逆のことをするでしょう。安倍政権は中国を脅威と捉えて対立していますが、田中さんならばうまく取り込んでいく。
なにせ中国は13億人以上の人口を抱える巨大マーケット。日本国内の内需が人口減少で縮んでいくのなら、中国、さらにこれから中国をも上回ってくる巨大市場のインドを取り込もうと考えるのが田中流です。
1972年に田中さんは中国の周恩来首相と会談し、歴史的な日中国交正常化を実現させました。いまならば田中さんは訪中して習近平国家主席と握手をし、そこで『日本列島改造論』に代わって、『アジア列島改造論』をぶち上げるでしょう」
そう語るのはジャーナリストの田原総一朗氏。聞くだけでワクワクするような構想だが、『アジア列島改造論』とはどのようなものなのか。
田原氏が続ける。
「田中さんが日本列島改造論で提唱していたのは、日本中が一つの都市のように結びついて、北海道から九州までが一日で往復できる『一日経済圏』『一日生活圏』となることで日本全体が発展するというもの。そのために新幹線と高速道路をめぐらせ、各地に地方空港を作り、さらに日本の4つの島をトンネルと橋で結ぶことが不可欠だと彼は説いた。
『アジア列島改造論』は、同じことを中国やインドまで含めたアジアのスケールでやるものになる。アジア全体を巨大なマーケットとして結びつけるために、最新鋭の空運、海運、陸運の交通網が莫大なスケールで整備される。
ヨーロッパがEU(欧州連合)や共通通貨のユーロを作ったように、アジア共同体やアジア版ユーロのような共通通貨も新しく生まれてくる」
田中角栄の外交力は、グローバル時代のいまであればなおさら、存分に発揮される。実際、「現代の田中角栄」が政府専用機に乗って地球全体を飛び回り、世界の首脳たちとのトップ外交で次々と商談をまとめていく姿は容易に想像できる。
田中の首相秘書官を務めた木内昭胤氏も言う。
「田中さんは『人気絶頂の時にこそ、一番難しいことにチャレンジする』と言って日中国交正常化を実現させたので、現在のように官邸が強い政治状況のときこそ、最も難しいとされる中国との関係改善に動くでしょう。
習近平国家主席は日本に強硬姿勢ですが、そういう相手にも田中さんは言うべきことは言う。そして、気がついた時には笑顔で握手をする関係を作ってしまうのです。
田中さんは旧ソ連との間でも、ブレジネフ書記長と初対面にもかかわらず丁々発止でやって、切った張ったの外交を展開しました。そのうえで北方四島の領土問題を確認し、シベリア開発の道筋を固めた。
そんな資源外交を展開した田中さんですから、いまならプーチン大統領とトップ交渉をして、新しい石油・ガス田開発の権益を日本に持ってくる。ロシアからパイプラインを日本に引いてくるくらいのこともやるでしょう」
■みんなで一緒に豊かになる
かくして、国を挙げての果敢なグローバル展開が幕を開ける。
日本、中国、ロシアからインドまでを含めたアジア全体の「一体化」が急速に進み、新しく生まれるアジア巨大マーケットの恩恵を、日本企業がこれでもかと享受していく。トヨタやパナソニックが円高を苦にしないほどにアジア各国で大儲けし、ユニクロの服や味の素の調味料などがアジアでバカ売れする活況が生まれる。
「安倍政権が『地球儀外交』と謳いながらも、オーストラリアでの潜水艦受注競争でフランス勢にあっさり負けたようなことも絶対にやらない。官民挙げてインフラ輸出をする場合、田中角栄であれば高速鉄道だとか原子力発電をチマチマと輸出したりはしない。
日本列島改造論ならぬ『新興国改造論』などと言って、全省庁横断体制で、民間企業をもとりまとめ、鉄道、道路、港湾、空港、上下水道、電力と一国のインフラ全部をまとめて売り込む。一国すべてをメイド・イン・ジャパンで染めて、その実績でもって『日本』というイメージを世界に再び印象付けてしまうのです」(作家の大下英治氏)
おのずと「クールジャパン」などと喧伝するまでもなく日本製がブランド化し、日本勢は中小企業、ベンチャー企業も次々と新興国での商機にありつけるようになる。
「ちなみに安倍政権は現在、TPP(環太平洋経済連携協定)にまっしぐらですが、田中角栄が目指すのは逆の政策です。
TPPをやれば、一部の大企業は儲かるかもしれないが、『弱者』である農家などは切り捨てられる。田中角栄は『みんなで一緒になって豊かになる』という信念の人なので、いまならTPPに不参加を表明して、むしろアジアで独自の連帯政策などをぶち上げるでしょう」(元外務省国際情報局長で評論家の孫崎享氏)
田中角栄の視点でモノを見ると、景気回復のための策はいくらでも見えてくるからおもしろい。
旧田中派を担当したジャーナリストの後藤謙次氏は、「角さんはいまなら、格差問題に注目するでしょう」と言う。
「角さんは目線が低くて、現実の問題に対して地べたを這う虫の目を持っていた。いまもっとも苦しんでいるのは誰か、その人たちをすくい上げるにはなにをすべきかという発想をする。
かつて角さんは、『明治維新当時、地元・新潟の人口は多かったのに、東京に人材が出てしまった。それをもう一度、新潟に戻し、均衡ある発展をする。そのためには三国山脈に大きなトンネルを開け、太平洋の風を日本海に届けるんだ』と言っていた。そういう世の中を元気づけるスケール感の大きい、シンボリックな発想をするんです。
だから、いまならば日本全体を覆っている格差社会問題を打ち破ろうとするでしょう。貧しい若者たちのために、大胆に巨額予算を投入する。日銀に金融緩和させておけば経済がよくなるなどとは絶対に考えない」
選挙の「票」になるからという理由で、高齢者向けの政策ばかりに注力するような安易な発想とも一線を画す。目先の選挙や保身のために政策を利用しようというセコイ考え方をしないから、国民もついてくる。
かつて田中角栄の番記者を務めた早野透氏も言う。
「角さんは先見性のある人だし、いつも新しい人たちと情報交換をしていたから、国民の変化を敏感に察知できた。いまなら、都会で疲弊している若者に目をつけて、『都会で非正規雇用で働き続けるのは限界だ』『地方で豊かな生活を志そう』と、中央から地方への人口逆流政策を打ち出すでしょう。
若者が増えればそこに商店街ができて、経済が回り出し、新たな若者の雇用もできる。そんな地域循環社会を生み出す気がします。
そもそも角さんは、『人間らしい生活を誰でも日本のどこでもできるようにしよう』というのが、根本的な考えにあった。
また民衆がひとかどの生活ができるようにするために頑張ってきた人ですから、『教育の無償化』も徹底するでしょう。もちろんそこには、若いうちからきちんと教育して稼げる人間に育てたほうが、一国の社会保障制度の維持に役に立つという打算もある」
■消費税は撤廃
もちろん、そうした若者や地方対策をやるにしても、財源はどうするのかという疑問はすぐに浮かぶ。民主党政権の「失政」も記憶に新しいが、こういう時こそ田中角栄の真骨頂である。
「まずは一人で壮大な『事業仕分け』に着手するでしょう」と、元番記者の増山榮太郎氏は言う。
「田中さんは政調会長時代、目白の自宅に何十人とつらなる陳情の列を全部一人でさばいた。各省庁にリストアップさせた事業を一件3分ほどで判断し、『これはいる』『いらない』とやるのは朝飯前です。官僚が抵抗しようにも、『すべての責任はワシが負う、ダメなモノはダメだ!』と言って、それで終わりです」
田中が通産大臣に就任した際、秘書官に就いた小長啓一氏も言う。
「田中さんは既得権益に安住しようとする政治家や官僚を嫌い、新しいアイデアを出す者、行動力のある者を重用した。あらゆる省庁の官僚から人気があったから、全省庁にアイデアを出させて、いいと思ったものを次々に決断、実行していったでしょう」
安倍政権のように「経産省偏重」にならないから、優秀な官僚から豊富なアイデアがたくさん集まるというわけだ。
それでも財源が足りないとなれば、前述した「アジア経済外交」でたんまり儲けさせた大企業から取る。首相のトップ外交のおかげで儲けられた大企業はもちろん、文句を言えない——。
「大企業優遇になっている法人税率を引き上げる一方で、庶民を苦しめている消費税は撤廃する。大企業や富裕層など社会の上層部にたまった富を、貧困層や広く庶民に分配するというわけです。
田中角栄は常に全体に行き渡らせるということを考える人だったから、国の富を特定の階層に集めてしまうというような経済施策は絶対にやらない」(作家の津本陽氏)
大企業が潤えばその恩恵はいずれ庶民に染み渡るなどと、呑気な「机上の空論」も言わない。潤ったところからはきちんと税金を取って、次に分配していく。それを徹底してやり抜くのが、田中角栄の凄味だ。経済評論家の森永卓郎氏も言う。
「いま『パナマ文書』に名が出ている日本企業について、安倍政権は特に介入しないと早々に宣言しましたが、角さんなら絶対に許さないでしょう。即座に調べ上げて、厳格な課税をする。一方で、そこで絞り上げた税金は、子供のいる家庭への手当てなど、少子化対策にどんどん回していく」
■こざかしい政策はやらない
税金の分配の仕方にはアイデアを凝らして、少ないカネでより大きな効果を生むような政策を打ち出す。そのアイデアが斬新でありながら、計算が尽くされているのも田中角栄らしさである。
「いまならたとえば、すべての一級国道の路面をソーラーパネル化する公共事業を始める。公共事業による経済効果があるうえ、太陽発電産業育成というエネルギー政策も兼ねられる。
あるいは、3階建て以下の新築ビルや家屋を国産木材を使った木造にした場合、国が建設費用を一部補助する。これなら林業発展や国土保全にも役立つ」(元マイクロソフト日本法人代表の成毛眞氏)
「中央が集めて地方に配っている『ガソリン税』を、地方財源に委譲する。地方がこの莫大な財源を使えるようになれば、まず公共事業が地域のニーズに合わせてできる。地方の政治家や官僚も創意工夫をするようになり、うまくいけば地方の人口も増えて、税収も増えるという好循環が生まれる。『地方創生』などという掛け声だけで中身のない政策とは違う」(元財務官僚の高橋洋一氏)
田中角栄なら、ニッポン経済を長引くデフレからも脱却させてくれる。
現在の日本がデフレから脱却できないのは、国民が固く財布のひもを縛り、おカネを使おうとしないから。安倍政権はこれを引き出そうとマイナス金利政策という「奇策」まで導入したが、まったく奏功していない。
「そもそも『デフレ』というのは、英語では心理用語で、『沈む』という意味合いがある。景気は人々の気持ちに大きく左右されるものだということを角栄さんはよくわかっている。
アベノミクスで日銀が掲げた2年で2%の物価上昇などというのも、『そんな些末な数字を掲げても意味がない。いまはなにがなんでも、インフレにすればいいんだ』と言って、マイナス金利政策などは撤廃。
むしろ角栄さんが自信満々に、日本の隅々にまでおカネを回すと宣言するだけで、国民は期待を抱いて、消費をするようになるのです」(国際エコノミストの水野隆徳氏)
実際、かつて田中角栄が日本列島改造論を出した際には、開発予定地の周辺を買おうとする人が殺到し、それが「地価上昇→インフレ」という流れを生み出した。
「最近は消費増税を延期するとか、1兆~2兆円の補正予算を組むことなどが検討されていますが、そんな小手先で景気を回復させることはできません。
景気に一番大事なのは、将来的に安心できる国になる、いい国になると国民が信じられること。
仮に田中角栄がいま国民全員に大増税を課すと宣言しても、それが将来的に日本をよくするものだと国民が信じられれば、老後に不安を抱く人が減ってデフレは終わるのです」(名古屋大学客員教授の水谷研治氏)
ニッポン経済を大復活させるのは、国民そのものの活力。その活力を奪ってしまう総理のもとでは、経済復興は永遠に叶わない。
「週刊現代」2016年6月4日号より
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