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2016年06月01日
以下は、相当真面目に社会経済問題を論評するジャーナリスト・町田徹氏のコラムだが、昨日のコラム同様に、肝心かなめの部分で、経済成長神話に拘っているのは残念だ。筆者が、執念深く「成長神話」を否定するのは、「成長」が嫌いだとか、信条的に忌避しているからではない。日本を構成している国民、営みをしている商店、内需中心に営みをする企業‥等、日本と云う国を動かしている原動力が、成長する市場があると思っていないことである。つまり、成長の原動力となるマインドが欠落していると云うことだ。
一部、限定的にグローバルな市場と会話をしている企業群は、外需という、他の誰かから奪える市場がある分、多少前向きなマインドがある。しかし、この分野においても、市場フロンティアは飽和状態に到達しているので、グローバル的にも、市場は枯渇傾向にある。何処かの市場を奪っている間に、他の市場を奪われると云うのがグローバル市場の競争なのだから、常に変動的で、国家の経済を、外需に頼るなど、愚の骨頂である。言うは易く行うは難しが、世界の協調だという事実は、歴史が百万遍証明している。
随分長きに亘って、日本では「構造改革」という言葉が叫ばれ続けている。この言葉自体にも「神話性」が潜んでいる。小さな政府を目指し、英米など欧米先進国は「構造改革」なるものを相当に進めているわけだが、それでも、精一杯頑張って1.5〜2.5%程度なのである。「構造改革」の進んでいない我が国でも「0%前後」というのは、違いがあるとも言えるが、どっちもどっちの成長力である。ここのところが、今後の経済的な世界を考える時に重要になる。1%、2%の差を求めて、牛を殺したのでは元も子もない。つまり、労多くして益少なし、という徒労に終わる確率の方が高いと判断するのが正しい。
経済学的に、資本主義における資本の利益率と云うものは、歴史的に10%の利益率があることが前提で生きていく「魔物」なのである。資本主義の歴史を振り返っても、実物経済で、利潤率が10%を切ると金融経済的になり、その後、資本は覇権の立ち位置を別途調達すると云う経歴を持っている。この歴史的事実に沿って資本が動くと想定した場合、資本の利益率が2〜3%程度になっている現状は耐えがたい状況という事実だ。この件には深入りはしないが、資本の覇権地が米英のウォール街、シティーから、限りなく離れようとしていると云うことだ。今現状は、行き先が定まらないので、IMF、FRBがひねり出すセメダインで、どうにか、くっ付いているに過ぎない。
我が国は、EUのように“ユーロ圏”を作りたくても、中国、ロシア、北朝鮮、韓国が隣人の我が国で、“元円圏”のようなものを作ることは想定しがたい。TPPという“TPP圏”という想定もあるが、日米で市場パイの収奪戦をするだけで、双方に大収穫があるとは、到底思えない。まあ、米国の場合は人工的に作られた国家と云うか集合体なので、日常的に移民という無産化階級を流入させているので、常に「成長の原動力」が調達できる。勿論、その弊害は、今や大統領選で明確に現れ、既得権勢力の度肝を抜いている。トランプ氏の発言では、白人を虐げ、移民を大切にするアメリカだと断言するに至り、ヤンヤノ喝采を浴びている。
それでは、自然国家の我が国において、アメリカのように、グローバルな精神力で、「移民」を受け入れる素地があるかといったら、もう皆無に近い。まあ、多少の移民は、自己都合で制限的に受け入れようか程度のマインドはあっても、「致し方なく」なのは、移民してくる人々にも以心伝心なのだから、上手く行くとは到底思えない。村や町に、他の町から、同じ日本が移住してくるだけで、鵜の目鷹の目の我が国で、これこそ、労多くして益少なく、百害に悩むことになるだろう。宗教的に自由ではあるが、信仰深き人々への配慮にも欠けているので、やはり、選択できる道とは思えない。
今後、日本が経済成長すると本気で思っている人は本当にいるのか、筆者は懐疑的に見ている。それぞれ、自分の立ち位置があり、「成長神話」を口にしなくなったら、職を失う、そう云う事情主義で、日本の「成長神話」は生き続けているものと推察する。国民が、本当は成長なんかしないよなと、或る意味醒めてみている以上、バブル的成長すら望めないだろう。多少いびつにはなっているが、自然国家で、主たる宗教もなく、民族的対立も少ないとなると、世俗的コンセンサスという意外に矮小化された世間で、日本人は生きている。そうなると、日本人には、世界標準のデモクラシーも、グローバルな資本主義にも、移植で云う「拒絶反応」が無意識下において、あるのかもしれない。
さてそれでは、我が国どうすべきなのか?この解を持っているのであれば、blogなど書かずに、もっと生産的活動に携わっている(笑)。日本で出来る「構造改革」霞が関解体くらいのものだが、それも、一時の臨時成長に過ぎない。つまりは、縄文の昔からある、自然との共生の中で、編み出される知恵の集積的な、自然発生的価値観が誕生することだ。その価値観さえ確立できれば、充分に豊かで、子供が少なかろうと、働き方が古臭く、非効率であっても、共生に寄与する生き方であれば、充分に満足いく国家は成立しうる。
歴史修正主義とは意を異にするが、明治維新の誤謬を革命的に変革するところから、すべてが始まるような気がしている。もっと大袈裟に言えば、古事記や日本書紀“出雲起源説―国家神道”に、日本の原点を求めること自体、破棄する勇気が必要かもしれない。このように21世紀のカオスな世界が展開していくにつけ、我々日本人は、日本の特性をあらためて検証し、あるべきものを、より価値あるものにブラッシュアップする発想に立ち返った方が、何らかの選択肢に行きつくのではないかと、日夜ふらふらと考えている。まあ、この辺はイデオロギーなので、あまり多くは語らないでおこう。
≪ サミットで浮上した「日本の弱点」〜こんなに低い潜在成長率で先進国と言えるのか
アベノミクスに募る不信感
■肝心の経済連携はお粗末
先週金曜日(5月27日)、サミット・ウィークがオバマ米大統領の歴史的な被爆地・広島訪問で幕を閉じた。
・『G7伊勢志摩首脳宣言』は、中国やロシアの力による現状変更を認めないことを再確認したほか、テロや難民、租税回避問題に協調して対処すると明言、政治イベントとしてのG7サミット(主要7ヵ国首脳会議)は概して成功したと評価できるのだろう。
・だが、肝心の経済連携はお粗末だ。『首脳宣言』に明記されたのは、世界経済の低成長リスクに7ヵ国が共同で対処するという総論だけである。議長を務 めた安倍晋三首相が目指した財政の協調出動は盛り込まれず、財政政策、金融政策、構造改革という選択肢の中で具体的に何をするかは各国の裁量に任された。 これでは実効性に疑問符が付く協調と言わざるを得ない。
・集まった先進7ヵ国の顔触れを見て、改めて想起したのが、群を抜く日本の潜在成長率の低さだ。財政出動に慎重なドイツが高い優先順位を付けていた構 造改革を、どの国よりも必要としているのは、他ならぬ日本なのである。消費増税の再延期はある種の痛み止めに過ぎない。生温い「1億総活躍プラン」や骨抜きの「骨太計画」など、経済政策の練り直しが急務となっている。
・「リーマン・ショック直前の洞爺湖サミットは危機を防ぐことができなかった。その轍(てつ)を踏みたくない」――。 こう述べて、安倍首相が世界経済の下振れリスクを指摘したのは、サミット初日(5月26日)のセッションだった。
■国内政治のためのスタンドプレー
・確かに、8年前の洞爺湖サミットは、土砂降りの経済状況で開かれた。初日は月曜日で、その前週末まで東京株式市場が12日間連続安と54年ぶりの長期的な下げに翻弄されていた。
・筆者は当時、ある連載コラムに、『「G8(主要8ヵ国)サミットは「第3次オイルショック」「食糧危機」「米プライム・ローン危機」「新興国の成長神話の崩壊」と、連鎖的に増幅する世界的な経済危機に対してまったく無力であることを露呈した』と書いている。
・今回、安倍首相は、当時の経験を踏まえて、消費増税の再延期のお墨付きにもなる、G7諸国による財政の協調出動に同意を得ようと試みた。下落が目立つ国際商品市況のグラフなど4種類の資料を示して、首脳たちに理解を促したとの報道もあった。
・しかし、結果は空振りだ。『G7伊勢志摩首脳宣言』は、安倍首相が拘ったフレーズ「3本の矢のアプローチ」の英語版である「the three pronged approach」という文言を盛り込み議長国・日本に花を持たせたものの、肝心の細部では「すべての政策手段―金融、財政及び構造政策―を個別的(individually)にまた総合的(collectively)に用いるとの我々のコミットメントを再確認する」と記すにとどまった。
・つまり、実際に、どの政策をどの程度実施するかは、各国が独自の裁量で行うとしたのである。
・安倍政権は数ヵ月前から、日本の消費増税再延期を含む各国の財政出動という経済協調路線をサミットで演出し、G7諸国のお墨付きを錦の御旗に、ダブル選挙に打って出て、憲法改正の道筋を付けるという壮大なシナリオを描いていたといわれる。そのため、サミット直前に欧州を歴訪するなど、根回しに奔走した。だが、そうした議長工作は不発に終わった。
・ドイツや英国を取材する日本人記者に聞くと、非公式の取材の場では「各国にはそれぞれの事情がある。安倍政権の国内政治のためのスタンドプレーに巻き込まないでほしい」と不満をあらわにする政府当局者が少なくなかったという。
■サミット空振りの遠因
・一方で、『G7伊勢志摩首脳宣言』には盛り込まれなかったものの、日銀のマイナス金利や量的・質的金融緩和策を円安誘導と警戒する見方がG7諸国内に根強いことも改めて浮き彫りになった。
・オバマ米大統領が26日の記者会見で、「すべての国・地域に悪影響を与える保護主義や競争的な通貨の切り下げ、近隣窮乏化政策を避けることが重要 だ」と語り、サミットの討議の中であえてこの問題に言及したことを明らかにしたのだ。この問題では、首脳会議に先立つG7財務大臣・中央銀行総裁会議で も、日本はフランスから釘を刺されている。
・「3本の矢」と言いながら、政権発足以来、肝心の構造改革で抜本策を先送りし続け、その場しのぎの財政政策や金融政策を繰り返してきたアベノミクスへの不信感が、今回、サミットで空振りする遠因になったことを、政府は自覚する必要がありそうだ。
・ちなみに、サミットメンバーである先進7ヵ国の中で、日本の潜在成長率の低さはネガティブな意味で特筆に値する。
・例えば、国際機関のIMF(国際通貨基金)の最新の経済見通しをみると、日本の2016年の実質経済成長率は0.5%で、米国の2.4%、英国の1.9%、ドイツ、カナダ各1.5%、フランス1.1%、イタリア1.0%と比べて圧倒的に低い。 しかも、この予測は消費増税が予定通り行われて、ある程度駆け込み需要が喚起されることを前提にしている。それでも日本は潜在成長率が0%前後と極端に低いため、先進7ヵ国の中で6強1弱の構図になってしまうのである。
・このIMFの予測では、消費増税で個人消費が落ち込むと見られる2017年の日本の実質経済成長率はマイナス0.1%に下落する。これに対して、他の先進国は米国が2.5%、英国が2.2%、カナダが1.9%、ドイツが1.6%、フランスが1.3%、イタリアが1.1%と安定成長が見込まれる。つまり、潜在成長率の低い日本だけがマイナス成長に転落するとみられているのだ。
・こうした状況では、他の先進国から見れば、日本の消費増税の再延期は、「世界経済の下振れリスクに対する予防策」ではなく、「日本のマイナス成長への転落防止策」としか映らない。
■第2次補正予算に注目
以前から繰り返して述べているように、財政健全化は必要だ。
・しかし、経済がマイナス成長に転落し、税収が落ち込んでは財政再建も覚束ない。IMFの予測を見れば、財政健全化が遅れても、消費増税を再延期せざるを得ないのは明らかだろう。
・報道によると、首相はサミット閉幕の翌日にあたる5月28日夜、麻生太郎財務大臣、菅義偉官房長官、谷垣禎一自民党幹事長と会談し、税率を10%に 引き上げる消費増税を2年半先送りする意向を伝えたという。本稿が掲載される頃には、その調整が完了しているかもしれない。消費増税の再延期は、もはや避けて通れない状況だ。
・そこで注目すべきは、サミットが終了した途端、安倍政権が検討を始めた今年度の第2次補正予算の中身である。消費増税の再延期によって来年度の税収不足が確実になる中で、相変わらずのバラマキ予算を組むのはもってのほかである。
・どうしても補正予算を編成するなら、熊本地震対応で緊急を要するものと、経済の構造改革に直結する投資効果の高いものに使途を絞り込んだ超小型の予算にしていただきたい。 ≫(現代ビジネス:町田徹の「ニュースの深層」)
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