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日本はデフレに逆戻り 経済サミット「お題目」の噴飯
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182175
2016年5月26日 日刊ゲンダイ 文字起こし
伊勢神宮で勢揃い(C)AP
全国から2万3000人もの警官を警備に投入。物々しい厳戒態勢の中、伊勢志摩サミットが26日から2日間の日程で開幕した。
主会場の賢島の沖合で警戒に当たる海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」に見守られながら、先進7カ国の首脳たちが話し合う最大のテーマは「世界経済」である。
議長を務める安倍首相は、世界経済の安定に向けたG7の決意を示す「世界経済イニシアチブ」を首脳宣言に盛り込みたいらしいが、ちゃんちゃらおかしい。すでにメディアが報じた首脳宣言の原案は愚にもつかない「玉虫色」の内容である。ゴールデンウイークの欧州歴訪で安倍首相が各国に呼びかけた「G7による一斉の財政出動」も盛り込まれなかった。
しかも、この結果はサミットが始まる前から分かり切っていた。21日まで仙台市で行われたG7財務相・中央銀行総裁会議。その合意が首脳宣言の原案の下敷きとなったのだが、内容はスカスカだった。
具体的には「各国の状況を踏まえて金融・財政政策、構造改革をバランスよく進める」という内容で、首脳宣言の原案にも「財政上、金融上、構造上の政策の重要な役割を再確認する」と記された。どれもこれも当たり前の事柄ばかりで、これでは何も言っていないのと同じ。先進国のトップが、わざわざ確認し合うまでもないだろう。
麻生財務相は24日の会見で、各国で一斉に財政出動ができないことは「最初からハッキリしている」と説明。サミットで財務相会議以上の踏み込んだ議論も「期待していない」と明言した。
やたらエラソーで投げやりな言い分だが、その予想通り、首脳宣言もどうでもいい中身になりそうだ。
それでも安倍首相は「金融・財政政策、構造改革の推進」という当たり前の事柄を「G7版3本の矢」と名付け、早くも悦に入っている。噴飯ものだ。こんな「お題目」を先進国のトップがガン首そろえて今さら合意したところで、世界経済が再び活気を取り戻すわけがない。
結局、安倍首相にとって「世界経済安定への決意」の中身すら、どうでもいいのではないか。「世界経済の低迷」に名を借りて、自身の経済失政を取り繕う。サミットはそのための政治ショーに過ぎないのだから。
デフレに舞い戻りつつある(提供写真)
「G7版3本の矢」の逃げ口上すら手柄に
安倍首相が経済失政をゴマカしたくなる気持ちも分からなくはない。看板政策の異次元緩和の開始から3年余り。2%の物価目標には程遠く、国民の8割が「景気回復の実感がない」と訴える。いくら「アベノミクスは功を奏している」と強弁してもムダだ。今やあらゆる経済指標が口先政権の虚妄を証明している。
先日発表の2016年1〜3月期のGDPはプラスに反転。「景気後退」と見なされる2四半期連続マイナスを回避したが、プラス幅は微々たるもの。年率換算1.2%程度のカサ上げ効果のある「うるう年」サマサマで、日本経済は依然としてヨタついたまま。景気を支える個人消費は14年4月の消費税増税以降、力強さを失っており、物価変動の影響を除いた実質賃金は昨年まで実に5年連続のマイナスだ。
消費も賃金もガタガタだから、日本経済はいつの間にか、デフレに逆戻りだ。別掲のグラフはシグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏が作成したもの。GDPの名目成長率から実質成長率を差し引いた値の推移で、プラスならインフレが進み、マイナスならデフレに沈んでいることを意味する。
00年以降の平均値はマイナス0・82%。名目が実質を下回るデフレ基調が続いているわけだ。田代氏が解説する。
「安倍首相は誇らしげに『デフレは脱却しつつある』と繰り返し豪語していますが、このグラフはデフレに舞い戻りつつある状況を表しています。消費税が引き上げられた14年4〜6月期のプラス7.69%がピークで、同年7〜9月期にはマイナス0.01%に急落。15年1〜3月期にはプラス2.78%まで持ち直しましたが、その後、プラス幅はジリジリと下げ続け、直近の16年1〜3月期にはプラス0.36%に低下しました。この値も、うるう年効果を除けばマイナスに転じた可能性がある。日本経済はデフレ脱却どころか、デフレに回帰しつつある状態へ移行しているのです」
■地獄の窯に真っ逆さまの日本経済の現状
さらにショッキングなのは、23日に内閣府が発表した16年3月の景気動向指数の改定値だ。それによると、景気の数カ月後の先行きを示す「先行指数」は99.3で、現状を示す「一致指数」は111.1、半年から1年遅れで反応する「遅行指数」は114.4(いずれも10年の平均を100とする)だった。
この先行指数の水準は、平成バブル崩壊から11カ月後の1990年11月の99.2、アジア通貨危機勃発4カ月前の97年3月の99.6、リーマン・ショック前月の08年8月の99.3に匹敵する。一致・遅行指数が今回と同じく高水準なのも一緒だ。その後は先行指数の更なる低落を追うようにして、一致・遅行指数も低落し、凄まじい不況に突入していったのだ。
「この経験則からすると、今の日本経済は大不況という“地獄の釜”をのぞくような状況です。それでも、安倍首相はアベノミクスの失敗を認めたくないのでしょう。サミットで財政政策について『各国の事情に委ねる』との合意を得れば、即座に大型の補正予算編成を検討し、消費税増税の先送りを決断するとの報道も飛び交っています。しかし、金融緩和によるデフレ脱却に失敗した上に、財政再建もあきらめるのなら、ご退陣を願いたい。それでも首相の職にとどまるのなら、少なくとも全ての経済閣僚、そして日銀総裁を更迭するのがスジ。早期に政策転換を図らなければ、日本経済は“地獄の釜”に落ちかねません」(田代秀敏氏=前出)
もちろん、安倍首相にそんな殊勝な決断を求めるだけムダに決まっている。最近、二言目には「世界経済の低迷という外部要因でアベノミクスが阻害されることは認められない」などと口にしているというから最悪だ。国会でも「世界経済は不透明性を増している」と強調することしきりである。
■腐敗政権の宣伝機関に期待するだけムダ
この調子だと、自らの失政を棚に上げ、景気低迷を世界経済のせいにする得意の論点すり替え。増税先送りの理由だって世界経済に押し付け、参院選対策も兼ねて巨額の血税をバラまこうとしているのだから、ますますタチが悪い。そのカネは、アベノミクスが順風満帆なら国民が待ち望む子育て支援や介護に使えたはずなのだ。
こうした一時しのぎのゴマカシ目的の大がかりな詐欺の舞台装置が、厳重な警備に守られた伊勢志摩である。今回のサミットは、アベノミクス失敗を糊塗するための政治ショーに他ならない。
「安倍首相のヨコシマな思惑に気付きながら、国民に真相を伝えようとしない大手メディアも同罪です。安倍首相は各国首脳に『一斉の財政出動』を強く呼びかけながら、足並みをそろえ切れなかった。その時点で議長落第なのに、メディアの追及は実に甘い。交渉失敗の言い逃れに過ぎない『G7版3本の矢』なるフレーズを無批判に伝え、首脳宣言に『金融・財政政策、構造改革』の文言が盛り込まれると、さも首相の手柄として報じかねない勢いです」(政治学者・五十嵐仁氏)
この国のメディアは、安倍首相の心血注いだ懐柔策によって宣伝機関に成り果てた。恐らく足元の景気の悪化すら国民に満足に伝えず、サミットが終わればなし崩し的に、参院選ムード一色に世論を染めていくのだろう。
前出の五十嵐仁氏は「投開票日までに、安倍政権が隠したい真実をどこまで白日の下にさらせるのか。日本メディアの真価が問われる」と言った。腐敗メディアに期待するだけアホらしくなるが、国民まで安倍首相の悪だくみに目をつむっていたら、この国はオシマイだ。
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