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地位協定、基地縮小も言及せず…日米首脳会談の“茶番劇”
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182152
2016年5月26日 日刊ゲンダイ
伊勢神宮を訪れたオバマ大統領と安倍首相(C)AP
予想通りの「茶番劇」だった――。25日夜9時30分から1時間、開かれた日米首脳会談。当初、首脳会談は26日に予定されていたが、米軍属の男による「死体遺棄事件」が沖縄で起きたため、急きょ前倒しされた。
安倍首相は遺棄事件について「断固抗議」し、オバマ大統領は「哀悼の意」を表明したらしいが、沖縄からは「パフォーマンスだ」と怒りの声が上がっている。
安倍首相がどこまで事件を深刻に考えているのか、再発防止に熱心か、焦点は「日米地位協定の見直し」と「米軍基地の縮小」をオバマ大統領に迫るかどうかだった。ところが結局、安倍首相は最後まで口にしなかったという。
さすがに沖縄の翁長雄志知事は、「日米地位協定の見直しに言及しなかったのは残念だ」と漏らしている。米兵に特権を与えている「日米地位協定」を見直し、「米軍基地」を縮小しない限り、米兵による強姦や殺人事件はなくならないからだ。
■会談は実質30分足らず
そもそも、トップ2人は、どこまで真剣に「死体遺棄事件」について話し合ったのか。通訳を挟んだ1時間の会談は、実質30分足らずである。30分間で「北朝鮮問題」「世界経済」「航行の自由」「TPP」……と、重要議題をいくつも話し合ったというから、「死体遺棄事件」に費やされた時間は、ほんのわずかだろう。これでは、後ろから殴られ、強姦された上に殺された20歳の被害女性は浮かばれない。
なぜ安倍首相は、オバマ大統領に「基地縮小」と「地位協定の見直し」を迫らなかったのか。
元レバノン大使の天木直人氏はこう言う。
「もし、安倍首相が沖縄県民の苦しみと悲しみを心から受け止めていたら、首脳会談の冒頭だけでも翁長知事を同席させ、オバマ大統領に直接、談判させていたはずです。翁長知事もオバマ大統領との会談を橋渡しして欲しいと願い出ていました。深刻そうな2人の会談を、沖縄県民が“茶番劇だ”と怒るのも当然でしょう」
安倍首相がオバマに対して強く言えないことは、最初から分かっていたという。
「オバマ大統領の広島訪問について、ライス補佐官は米CNNのインタビューに、〈It is interesting〉という単語を使い、『驚いたことに日本は謝罪を求めてこなかった』と話しています。原爆を投下したアメリカに日本が謝罪を求めるのは当然の権利なのに、求めようともしないので驚いたのだと思う。恐らく、日本政府は“謝罪などしなくていいから、とにかく広島に来てください”と頼み込んだのでしょう。無理やり広島に足を運んでもらう手前、遺体遺棄問題については強く言えなかった可能性があります」(天木直人氏)
議長としてG7サミットを仕切り、オバマ大統領を広島に連れていけば、支持率は10%アップして、7月の参院選は大勝すると安倍首相周辺は大ハシャギしているそうだが、安倍首相は一体、誰のために外交をしているのか。
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