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改悪刑訴法成立にあたって
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2016-05-26 八木啓代のひとりごと
ヘイトスピーチ防止法が可決された。
これは大変喜ばしい一歩だが、その裏で、きわめて問題のある法案が可決されてしまったのは、断腸の思いである。
数日前であるが、5月19日昼に、私は、参議院議員会館前で行われた「刑訴法等の改悪を許さない緊急集会 Part 2」に顔を出すと共に、その後、傍聴券を分けていただいて、参議院予算委員会を傍聴してきた。
ここでは、まず、民進党の小川議員から、改正刑訴法の問題点が次々に指摘された。
小川議員が主に指摘したのは、今回の「法改正」で、盗聴の範囲が圧倒的に拡大され、しかも、第三者の立会なしに、各警察署で盗聴ができてしまうという仕組みになるにもかかわらず、盗聴されていてもそれが起訴や裁判に至らない場合、盗聴された人間にはそれは知らされることはない。つまり、実質的に盗聴されていても、それを知る術はないという点だった。
そして、実際に、過激派や暴力団などの組織犯罪などに限定され、さらに、国会に報告義務なども課せられている「使い勝手の悪い」はずの現行法ですら、多くの「盗聴」が、実際には犯罪には何も関係のないものであったことにも言及し、このような状態で、さらに盗聴範囲を拡大し、さらに、「起訴や裁判に至らない場合は、盗聴された人間にそれを知らされることがない」問題点を主張したのである。
これに対して、法務大臣や法務省の回答は、「すべての記録は裁判所に保管されてます」と答えるばかりで、まったく答えになっていない。つまり、法務大臣は、「すべての記録は裁判所にあるので、(盗聴された人が)それを請求すれば知ることはできる」というが、盗聴されていると知らされないのに、どうしてそれができるのか。
「知り合いが起訴されて、盗聴されていることが判ったら、自分も盗聴されているかもしれないと思って請求できるかもしれない」と子供のような返答である。
さらに「盗聴」の範囲は、固定電話と携帯電話だけではなく、携帯、SNSなど全てに及ぶとのこと。ただし、SNSなどの本社が日本にない会社の場合は、「協力を求める」のみだそうだ。
しかし、高度な組織犯罪であるなら、そういうことならば、自前で組織内SNSを作ってしまえば、簡単に「盗聴されない通信」ができてしまうわけことになるのは、誰でも考えつく。
さらに、同席していたIT専門家によれば、メールで暗号化キーを使えば、盗聴されても解読は暗号キーがなければ不可能だし、高度な組織犯罪なら、それぐらいやるだろうから、「ほとんど無意味ですね」とバッサリ。
まさに、この「新盗聴法」は、「高度な組織的犯罪」に対しては無力であり、むしろ、一般市民を監視するための法律でしかないということになる。
そして、この盗聴の管理に使われる予定の「特定電子計算機」。これに至っては、まだ存在もしてないのに、「完全無欠」の予定だそうだ。そんなことを前提すること自体、世界中のクラッカーの標的になりそうな話だが、その問題は置いておいても、いわゆる「情報漏洩」で圧倒的な率を占める、「人為的ミス」の可能性については、「そういうことがないよう努力する」という回答のみ。これには失笑するしかない。
さらに、共産党の仁比議員が、「別件盗聴」の問題姓を指摘された。
つまり、この新盗聴法では、犯罪に関わりがあるということにして、裁判所から盗聴の許可を取り、別件の市民活動や企業活動などについて盗聴することが、いくらでもできる制度設計となっている点だ。なんといっても、「盗聴される側」に知らされることはないのだから。
もっとすごいのは「司法取引」で、誰かの密告により逮捕された場合、その密告をおこなった人物は開示されないそうだ。むろん組織犯罪の場合「お礼参り」を防ぐという意味では当然だが、別の点で言えば、誰かの「司法取引による密告」で冤罪に墜とされた場合、弁護側は、誰がどのような嘘の証言をしたのかを知ることすらできないのである。シャレにならない。
いうまでもなく、「取調べの一部のみの可視化」、とりわけ「恣意的な可視化」が大問題であるのは、足利事件や今市事件でも明らかになったとおりである。
しかも、この可視化は、「別件逮捕」の場合はもちろん、実質的に強制的な「任意同行」などではなされない。そのあたり、法案賛成のはずの日弁連の認識とも食い違っていることが明らかに。
要するに、きわめて安易に、警察・検察性善説に立った法案ということであるのが、改めて浮き彫りになるような審議だった。
しかも、これだけ法務委員会で問題が噴出しているのに、強引に質疑は打ち切りとなった。打ち切りに反対したのは、共産党の仁比議員と民進党の小川議員のみ。有田議員は打ち切りに賛成。
そして、打ち切りが決まって、採決前の、仁比議員の強力な反対答弁に傍聴席から拍手。(自民党の席からも拍手している議員がいたのにはちょっと驚いた)
次に立ち上がった小川議員は苦渋の顔で「賛成答弁をします」。
傍聴席から「えーっ」というざわめき。しかしその答弁は苦渋に満ちた表情で、到底、賛成答弁とは思えないほど、新刑訴法の問題点を丁重に解説したもので、最後に付け足しのように、「プラスの部分もあるので」。ものすごい圧力があったことが伺える。
それから自民党議員の賛成答弁。これも、到底、賛成答弁とは思えないほど、盗聴の問題点や、司法取引の危険性、今市事件を引き合いに出しての一部可視化の問題などを踏まえての話に、反対答弁かと思うほどの内容だった。
もちろん、結論としては「プラスの点がある」「適正に運用されることを期待する」という締めでの賛成答弁なのだけれど、賛成派ですら、かなり問題があることを認めざるを得ない法案であることは明らかだったということだ。
締めに、有田議員から付帯決議の提案と可決。この付帯決議とは、要するに「適切な運用を期待する」というようなもので、まあ、言ってみれば「言い訳」みたいなものだ。そもそも、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件やら、数々の冤罪事件での自白の強要やら、検察官の偽報告書提出などの、検察の不正の問題がきっかけで論議になった刑訴法改正なのに、警察・検察の権限を大幅拡大し、あげくに「適切な運用に期待する」というのは、茶番としか言いようがない。
むろん、自公で強行採決に持ち込めば、もっと早く通ってしまったかもしれない法案を、多くの反対があったこともあり、民進党(当時の民主党)がヘイトスピーチ法案の審議を(ある意味、セットにして)優先してくれたこともあり、この極悪な刑訴法の採決がここまで伸びたというのは事実である。
しかも、民主党(当時)は、この自民党が通そうとしていた刑訴法そのままではなく、いわゆる「民主党案」と言っていいほど違うものまで提示していた。それがある時期、突然、民主党改正案をほとんど引っ込めて、自民党案丸呑みに近いものになってしまった。
そこにどのような「政治的」な圧力や裏話があったかは知らない。支持団体との関係などがあったなどという話は入ってきている。しかし、審議すればするほど問題のある法案であることがはっきりしており、民主党案とまったく違うものに、なぜ賛成したのか。審議を尽くさなかったのか。
民進党が、この法案に結果として「賛成」したことは、事実として残る。陸山会事件などがあっただけに、今回の民進党の対応は、検察・法務省と喧嘩したくない、阿った、と思われてもしようがないものだった。そして、もし、そうだとしたら、ある意味、バーターよりタチが悪いともいえる。
5/19日参議院法務委員会の中継録画はこちら
なお、言うまでもなく、この法案には冤罪被害者の方たちも、反対しているが、江川紹子さんは、「一時はどうなるかと思ったが、なんとか成立しそうで、ホッとした」 とまでツイートするほど、この法案の成立に熱心であったことと、法案の問題点を指摘されると、それまでの「録音録画はゼロであったから3%は大きな前進」と事実に反する主張を行い、あげくに、盗聴の拡大や司法取引の問題については、「監視については、八木さんのような方の力が必要」と、無責任甚だしいコメントをされていたことは、ここにあえて記録を残しておく。
そして、この刑訴法は、24日、衆院本会議で採決され、自民党、公明党、民進党、おおさか維新などの賛成で成立した。(反対は、日本共産党と社民党だった)
【追記】
・アムネスティ「たった2%の可視化では冤罪は防げない」http://www.amnesty.or.jp/news/2015/0317_5191.html
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・『冤罪のリスクを上昇させる刑訴法の改悪をなぜ止められないのか』ゲスト:指宿信氏(成城大学法学部教授)司会:神保哲生、宮台真司 http://www.videonews.com/commentary/160521-01/
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・元検事市川寛のブログ 「日本版司法取引の問題点」http://ameblo.jp/ichikawa42/entry-12058905265.html
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