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空しいサミット 唯一の「合意」構造改革推進の行き着く先
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182012
2016年5月24日 日刊ゲンダイ 文字起こし
このサミットで誰が得をするのか(C)AP
どうやら、26日からスタートする伊勢志摩サミットは、「成果ゼロ」という史上最低のサミットになりそうだ。もう何年も前から「G7不要論」が繰り返されているのだから当然といえば当然かもしれないが、先進7カ国のトップががん首を揃えながら、なにひとつ有効な“経済対策”を打ちだせそうにないからだ。
首脳会議前の20、21日に「財務相・中央銀行総裁会議」が仙台市で開かれたが、結論は「G7各国がそれぞれの実情に合わせて、必要な政策をバランスよく実施していく」というもの。“必要な政策をバランスよく”なんて、なにも言っていないのと同じだ。しかも“各国の実情に合わせて”だから強制力もない。
中身の乏しさに失望したのか、株式市場も材料視せず、ほとんど値動きがなかった。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「時間とカネをかけながら、伊勢志摩サミットは、なにも決められないサミットになるでしょう。当初、安倍首相は、G7として“財政出動”を打ち出す予定でした。
わざわざ連休中に欧州4カ国を訪ね、議長国として働きかけています。でも、冷たくあしらわれ賛同を得られなかった。とくにドイツとイギリスは財政出動に強く反対している。結局、“財政政策”“金融政策”“構造改革”の3つのうち、7カ国の足並みが揃うのは“構造改革”だけになるでしょう。すでに金融政策は各国、やり尽くしています。しかも、構造改革といっても“各国の実情に合わせて”と各国任せになりそう。はたして、その程度のことを決めるのに、G7の首脳が集まる必要があるのでしょうか」
たった7カ国なのに意見が一致せずバラバラなのだから、これでは新興国に代わって世界経済を引っ張っていけるはずがない。
■構造改革では景気は上向かない
しかも、よりによって“構造改革”の推進で一致しそうなのだから、どうかしている。構造改革を推し進めても世界経済が浮上しないことはハッキリしている。それは、この20年間、先進各国が構造改革を進めたのに、どの国も低成長に苦しんでいることが証明している。
それどころか、さらに格差を拡大させ、世界経済を不安定にさせるだけである。構造改革とは、要するに“新自由主義”の強化にすぎないからだ。実際、フランスは、構造改革と称して従業員を解雇しやすくする「労働市場改革」を検討している。生産性の高い分野に労働者を移動させるのが目的だという。フランスが「労働市場改革」を進めれば、いずれ他の先進各国に広がっていくのは間違いない。
「この期に及んで、G7が構造改革の推進で一致するのは、G7の限界の表れです。ほかに打つ手がないのでしょう。“新自由主義”と“グローバル化”に対応するために、先進各国は構造改革を進めてきましたが、新自由主義もグローバル化も完全に行き詰まっている。信じられないことに、新自由主義の総本山であるアメリカの大統領選では、社会民主主義を標榜するサンダースに熱狂的な支持が集まっている。いかに新自由主義とグローバル化によって、アメリカ社会が病んでしまったかの裏返しでしょう。いまG7が本気で取り組むべきは、地球規模で広がっている“貧富の格差”にどう対応していくかのはず。なのに、さらに構造改革の推進で合意しそうなのだから、どうかしています」(斎藤満氏=前出)
いったい、G7サミットは誰のために行われるのか。これ以上、構造改革を進めるなんて、喜ぶのは、一握りの大企業と資本家だけだ。
財政出動めぐり早くも足並み揃わず…(左から)麻生財務相、黒田日銀総裁/(C)日刊ゲンダイ
大失敗だった「新自由主義」の20年間
こうなったら、日本だけでも、弊害だらけの新自由主義と、とっととオサラバした方がいい。この20年間、日本も新自由主義とグローバル化に手を染めたが、深刻なデフレ不況に陥り、ロクなことがなかった。
なのに、安倍首相は、サミットの合意を受けて、大手を振って構造改革を推し進めるつもりだから、どうしようもない。すでに、新しい賃金制度を法案化している。働いた時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度を強引に導入するつもりだ。「脱時間給」制度が導入されたら、日本中のサラリーマンが長時間労働を強いられるのは間違いない。
さらに、「同一労働・同一賃金」の実現を目指すとしている。日本の場合、非正規社員の給料が引き上げられるのではなく、正社員の給料が引き下げられるのは目に見えている。実際、4月に「同一労働・同一賃金」に近い制度を導入したシャープは、月給が30万円も下がる管理職が出ている。経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「90年代以降、“自由競争こそが経済を成長させる”と喧伝され、日本は市場中心主義へ向かい、グローバル経済へ突入していきました。でも、過激なコスト競争になり、デフレ不況をもたらしただけでした。大きかったのは、“会社は株主のもの”という考え方が蔓延し、構造改革と称して、政府が“雇用”の規制緩和に手をつけたことです。労働者の立場は弱くなり、社員は利益を稼ぐためのツールにされてしまった。安倍首相は“脱時間給”制度を導入するつもりのようですが、これ以上、“雇用”の規制を緩和したら、日本社会は崩壊しかねませんよ」
アメリカの大統領選を見ても分かるように、さらに構造改革を進めようなんて、時代遅れもいいところだ。完全に時代に逆行している。
■「日本型経営」は正しかった
アメリカの要求に従って、90年代以降、日本は“労働規制”を片っ端から撤廃し、「終身雇用」「年功序列」「系列」といった日本独特のシステムを捨ててしまったが、いま考えると「日本型経営」は、日本経済にとっても、労働者にとっても、決して悪いシステムじゃなかった。
「アメリカから系列を批判され、終身雇用や年功序列は“経済合理性がない”“効率が悪い”と指摘されましたが、本当は、どれも日本株式会社の強みでした。社員は将来の計画を立てられるので、安心して子どもを育てられ、ローンを組んでマイホームを買うことができた。結果的に消費を伸ばすことに一役買っていました。ところが、新自由主義が持ち込まれ、構造改革の美名のもとに労働規制が緩和された結果、給料は上がらず、社員はいつクビを切られるかビクビクするようになってしまった。これでは、消費は冷え込み、景気だってよくなりませんよ」(荻原博子氏=前出)
労働規制が厳しい欧州は、高い人件費を反映してサービス産業の物価は高いが、その結果、1人当たりのGDPも高く、トップ20に13カ国も入っている。欧州各国に比べ、雇用の規制を緩和した日本は26位である。
サミットの議長を務める安倍首相は、始まる前から舞い上がっているという。バカな男の暴走を止めないと庶民生活は恐ろしいことになりそうだ。
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