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破綻必至…黒田日銀“異次元緩和”で4500億円の税収がパー
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/181909
2016年5月24日 日刊ゲンダイ
暴走を止めないと国民負担は増すばかり(C)日刊ゲンダイ
日銀が近く公表する15年度決算で、初めて4500億円程度の引当金を積む――と報じられ、市場に衝撃が走っている。
日銀は昨年11月、黒田東彦総裁が進める「『量的・質的金融緩和』で生じる収益の振幅を標準化し、財務の健全性を確保する」として引当金制度の検討を財務省に要請。今回の措置はそれを実施したものとみられるが、コトは単純ではない。
「日銀は原則として、企業の最終利益に当たる剰余金の95%を『国庫納付金』として政府に納めています。引当金を積んで国庫納付金が減るということは、税収が減るのと同じ。裏を返せば国民負担が増すことなのです」(財務省担当記者)
15年度の納付金は前年度(7567億円)を大きく下回る4000億円程度とみられ、10年度以来、5年ぶりの低水準になるという。黒田日銀は「異次元緩和」と銘打ち、市場をカネでジャブジャブにするために今も国債や株を買い続けているが、その尻拭いを国民がさせられるなんて冗談じゃない。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「異次元緩和の出口すら見えない中で、引当金を積まなければならない状況というのは、日銀自身が政策の失敗を認めたのも同然でしょう。そもそも、マイナス金利を導入したのも、このままではニッチもサッチもいかなくなると分かったからであって、もはや誰の目から見ても黒田バズーカの誤りは明らかです」
■民間銀行もバタバタ潰れる恐れ
日銀が買い入れ、異様に膨れ上がった国債の保有残高は5月時点で約360兆円。市場に流通する国債の3割にも達するという。もはや中央銀行というよりも、“ファンド”と化した日銀が「異次元緩和」の終了を打ち出せば、国債の値崩れは確実。長期金利の上昇は必至だ。日銀の試算だと、長期金利が1%上がると、国債の時価は21兆円減るというから、日銀の保有国債も大損する。となると、資本金と準備金で3兆円余りの日銀が数千億円の引当金を積んだところで、しょせんは焼け石に水だ。
「今のような異常な金融政策が、日銀の収益構造を悪化させることはハッキリした。引当金を積み増しても、負債に耐えられなくなる可能性もあります。そうなったら最悪の場合、日銀はすぐに債務超過、破綻です。世界で日本の中央銀行の信用は失われ、民間銀行もバタバタ潰れます」(斎藤満氏=前出)
日銀の木内登英審議委員も昨年12月に都内で開かれた講演で、量的・質的金融緩和の出口で日銀の損失が7兆円に達するとの試算を示した上で、引当金についても「年間4000億〜5000億円(の金額)だと思うので、十分ではない」と指摘。「日銀はとても大変な政策をやり、そんな政策をやってよかったのかという議論になってこないとも限らない」と断じていた。
市場では、安倍政権とタッグを組む黒田日銀が7月の参院選で与党を“援護射撃”するため、「6月の金融政策決定会合でさらなる緩和策を打ち出すのではないか」(大手証券マン)なんて声も出ているが、安倍政権と同様、早く黒田日銀の暴走を止めないと国民負担が増すばかりだ。
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