2016年5月19日(木) 消費税 景気悪化でも10%増税か 党首討論 志位委員長が追及 首相 否定せず 日本共産党の志位和夫委員長は18日、今国会初となった党首討論で、「増税不況」を引き起こした総括も反省もなく、「景気判断条項」まで削除して消費税10%増税をはかろうとする安倍晋三首相の姿勢を厳しく批判し、増税中止を求めました。安倍晋三首相は「リーマン・ショック級あるいは大震災級の影響のある出来事が起こらない限り、予定通り引き上げていく」と増税強行の姿勢を繰り返しました。 (詳 報) (関連記事) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-19/2016051901_01_1.jpg (写真)党首討論で安倍晋三首相(右)に質問する志位和夫委員長=18日、衆院第1委員室 2014年4月に消費税を8%に引き上げて以来、日本経済の6割を占める個人消費は冷え込み続けています。 志位氏は、今年1〜3月期の国内総生産(GDP)をみても、個人消費は増税前と比べ、実質で年額8兆円も落ち込んでいることを指摘。首相も、これまでの国会答弁で「予想以上に消費が落ち込んだのは事実であり、予想以上に長引いているのも事実」と認めていることをあげ、「原因をどう考えているのか」とただしました。 首相は原因について答えられず、自らの経済政策について「雇用においても収入においても大きな成果が出ている」と強弁。「約20年間続いているデフレに新たな政策で臨んでいるが、道半ばにおける消費税の引き上げで、消費の低迷が続いた」と述べ、消費の落ち込みに対する、まともな総括も反省も示しませんでした。 これに対し、志位氏は「働く人の実質賃金は4年連続マイナスだ」と指摘。長期にわたって働く人の賃金が減り続けているのに、首相がその事実をみようとせず、「足元では雇用と所得が改善」していると増税を強行したことが、消費の落ち込みが「予想以上」になった原因だと強調しました。 さらに、志位氏は、来年4月に予定されている消費税10%増税について、首相が“景気判断条項を削除した。消費税を引き上げるかどうかについての景気判断を行うことは考えていない”と繰り返し答弁していることを指摘。「『景気判断をしない』ということは、消費税を10%に引き上げることで景気が悪化することが明白な場合であっても、引き上げは行うということか」と迫りました。 首相は「イエスか、ノーか、という単純な問題ではない」とまともに答えず、景気悪化が明白な場合でも10%への増税を行うことも否定しませんでした。 志位氏は「こんな国民生活に対する無責任な姿勢はない」と批判。消費税10%増税はきっぱり中止し、「富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革によって、暮らしを支える財源をつくるべきだ」と主張しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-19/2016051901_01_1.html 2016年5月19日(木) 首相の増税問題での無責任な姿勢はっきり 党首討論受け 志位委員長が会見 日本共産党の志位和夫委員長は18日、党首討論を終えて記者会見し、消費税10%増税に関して二つの角度から安倍晋三首相をただしたことについて感想を述べ、増税中止に追い込む決意を表明しました。 志位氏は、消費税8%増税に対する総括と反省で安倍首相が「予想以上に消費が落ち込み、予想以上に長引いた」原因について全く答えなかったと指摘。「1997年(消費税5%実施)をピークに働く人の賃金が減り続け、70万円も減りました。家計の足腰が深刻な打撃を受ける事態が20年近く続き、そこに消費税をかぶせたことが『想定外』の深刻な消費の落ち込みの原因です」と強調し、「安倍首相は原因については反省もなければ総括もない」と述べました。 志位氏は、景気悪化が明白な場合でも消費税10%へ引き上げるのか重ねて問いただしたことについて、「安倍首相がノーと言わないことが特徴だった」と指摘しました。 こうした安倍首相の答弁について、志位氏は「これは増税問題に対して非常に無責任な姿勢です。8%への増税で“増税不況”を引き起こしながら、『想定外』の一言だけで総括も反省もない。消費税10%への増税にいたっては『景気判断』そのものをやらず、景気悪化が明白な場合でも引き上げをしないと言わないことがはっきりしました。非常に無責任極まる姿勢です」と批判しました。 その上で志位氏は「10%増税は中止し、富裕層や大企業に応分の負担を求める税制改革によって暮らしを支える財源をつくることに切り替える必要があることを強く求めて、引き続きたたかっていきたい」と表明しました。 さらに熊本地震に関して「来年4月(消費税10%実施予定)は、被災者の方々が住宅と生活の再建に取り組んでいる真っただ中になり、ここに増税をかぶせることは大きな問題です。二重三重に中止するべきです」と述べました。 同日の党首討論で民進党の岡田克也代表が消費税10%増税を「先送りせざるをえない状況だ」と発言したことについて問われ、志位氏は「来年4月の増税には反対するという接点があり、ここでの協力はできると考えています」と語りました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-19/2016051902_01_1.html 2016年5月19日(木) 消費税10%は きっぱり中止せよ 党首討論 志位委員長の発言 日本共産党の志位和夫委員長が18日に行った安倍晋三首相との党首討論は次のとおりです。 志位 消費の落ち込みが「予想以上」「想定外」になった原因をどう考えるか 首相 (原因を答えられず) 志位 長期の賃金減少のもとで、追い打ちをかける増税を行ったのが原因だ http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-19/2016051903_01_0.jpg (写真)党首討論に立つ志位和夫委員長=18日、衆院第1委員室 志位 今日は、消費税増税問題について総理の姿勢をただしたいと思います。 2014年4月に消費税を8%に引き上げて以来、日本経済の6割を占める個人消費は冷え込み続けています。増税から2年あまりが経過しましたが、個人消費は増税前に比べて、この2年間一貫してマイナスが続いています。今日発表された今年1〜3月期の数値でも、個人消費は増税前に比べますと、実質で年額8兆円も落ち込んだままとなっています。(グラフ参照) 3月3日の参議院予算委員会で、わが党議員の質問に対して、総理は、8%の引き上げで「予想以上に消費が落ち込んだのは事実であり、予想以上に長引いているのも事実」とお認めになりました。予想が外れたことを認められました。 そこでうかがいます。消費の落ち込みが「予想以上」=「想定外」になったのはなぜか。その原因をどうお考えになっているのか、端的にお答えください。 首相 われわれは、2012年の12月に政権を担当して以来ですね、デフレから脱却をし、そして所得を増やし、また職を増やす、この挑戦を続けてきたわけでございます。そして、デフレではないという状況をつくることはできたのでございますが、デフレ脱却にはいたっていないわけであります。そのデフレ脱却にはいたっていないなかにおいて、この消費税を引き上げたことによってですね、いわばまだデフレマインドが残っているなかにおいて、消費について国民のみなさまが非常に慎重になっている。同時に、経営者の方々もですね、投資に対して慎重になったのも事実であろうと思います。 しかし、雇用においては、有効求人倍率においては、47の都道府県の46で1を超えておりますし、所得についても、ベアが3年続き、またパートのみなさんの時給は過去最高になっていることは事実であります。つまり、雇用においても、収入においても、これは大きな成果が出ているのは事実でありますが、約20年間続いてきたデフレ、これは世界には、それをどう解決をするかという教科書がないわけでありますから、私たちは新たな政策で臨んでいる、まだその道半ばのなかにおける消費税の引き上げにおいてですね、この消費の低迷が続いたと、このように考えております。 志位 私はですね、消費の落ち込みが「予想以上」になった原因についてたずねたんですね。お答えがありませんでした。総括も反省もないという態度だと思います。賃金が上がってきたということをおっしゃいますが、働く人1人あたりの実質賃金は4年連続のマイナス、5%も目減りしております。 なぜこんなに消費が落ち込んだのか。 私は、8%への増税実施直前の2014年1月の本会議での代表質問で、「働く人の賃金が減り続け、ピーク時の1997年に比べて70万円も減っている」ことを指摘して、「このような経済情勢のもとで、増税を強行すれば、景気悪化の悪循環の引き金を引くことになることは明らか」だと述べて、増税の中止を求めました。それに対して総理は答弁で、「足元では雇用と所得が改善」しているとして、増税を強行しました。長期にわたって働く人の賃金が減り続けているのに、その事実をみようとせず、追い打ちをかけるように増税をかぶせた、これが消費の落ち込みが「予想以上」になった原因といわなければなりません。 志位 景気悪化が明白な場合でも10%への引き上げを行うのか 首相 (引き上げを否定せず) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-19/2016051903_01_0b.jpg (写真)答弁する安倍晋三首相=18日、衆院第1委員室 志位 もう1問、聞きます。来年4月に予定されている消費税10%への増税について、総理は、この間の国会答弁で、“景気判断条項を削除した。したがって、消費税を上げるかどうかについての景気判断を行うことを考えていない”と繰り返し述べておられます。 そこでうかがいます。「景気判断をしない」ということは、消費税を10%に引き上げることで景気が悪化することが明白な場合であっても、引き上げは行うということですか。イエスかノーかでお答えください。 首相 あの、まずですね、実質賃金でありますが、足元の3月においてはですね、1人あたりの実質賃金においてもですね、1・4%のプラスになりました。そして、総雇用者所得でいえば、これはみんなの稼ぎでありますから、こちらでみたほうがいいんです。というのは、先ほど申し上げましたように、110万人新しい私たちは雇用をつくっているわけでありますし、たとえば正規職員、正社員もですね、26万人増えたわけであります。生産人口が減っているなかで26万人増えるというのは、これは結構大変なことだったんですが、これは8年ぶり、前の安倍政権以来のことであります、8年ぶりのことであるということは申し上げておきたいと思います。働く人が増えるなかにおいてはですね、1人あたりの実質賃金ということについてはですね、これは、どうしてもですね、これは下がっていくわけでありますが、しかし、みんなの稼ぎでみる総雇用者所得においては、名目はもちろん、実質についても上がってきているわけであります。(質問に答えない長い答弁に対し、志位委員長が抗議し、議場も騒然となる) しかし、いまいろんなことを指摘をされましたから、いくつか指摘をされたなかにおいて、私はその指摘を一つひとついまお答えをさせていただいているわけであります。当然、1対1でやっているわけでありますから、私にも当然一つひとつ違うことをおっしゃっていれば、それに反論をする権利はありますから、反論はさせていただきたいと、このように思います。 そこでですね、そこでいま申し上げましたように、私たちはしっかりと実質賃金においてもですね、実質賃金というのは、まさに3%消費税を上げましたから、この3%分をですね、削られてしまうわけですから、そこで上げていくというのは大変なんですが、3月においては1・4%プラスになったということはまず申し上げておきたいと思います。 そして(議場騒然)、そして、その上でですね、まあ、消費税につきましては、先ほどらい申し上げているとおりでございまして、これはですね、リーマン・ショック、あるいはまた大震災級の影響のある出来事が起こらないかぎり、予定通り引き上げていくという方針に変わりはないということでございます。 志位 私が聞いていることにお答えになっていない。リーマン・ショックか大震災のような事態にならなければ、景気悪化が明白な場合でも(10%に引き)上げるというんですかと聞いているんです。イエスかノーか、答えてください。それを聞いたんです。 (浜田靖一衆院国家基本政策委員長「時間がきておりますので、終了していただかなければなりませんので、よろしくお願いします」) 首相 あのー、これはイエスかノーかということでは、単純な問題ではなくてですね、えー、つまり、これはですね、そういう状況、そういう状況が起きているのか、そういう影響が出てくるのかということについては、これはまさに専門家のみなさんに分析をしていただかなければならないということでございます。これは、あの、お互いに時間を守りあってですね、時間がきたら終わらないとですね、私ももっとしゃべらさせていただかなければならないということになりますから、いま申し上げたとおりでございます。 志位 (景気悪化が明白な場合でも10%に引き上げることを)否定されなかった。 志位 こんな無責任な姿勢はない。10%増税は中止し、富裕層と大企業に応分の負担を求める改革を 志位 結局ですね、消費税8%への増税で、「増税不況」を引き起こしておきながら、「想定外」の一言だけで、まともな反省も総括もない。消費税10%への増税にいたっては、「景気判断」すらしない。こんな国民生活に対する無責任な姿勢はありません。(「そうだ」の声) 消費税10%への増税は、きっぱり中止することを強く求めます。そして、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革によって、暮らしを支える財源をつくるべきだということを求めて終わります。(拍手) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-19/2016051903_01_0c.jpg http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-19/2016051903_01_0.html 2016年5月19日(木) 主張 1〜3月期GDP 安倍失政の責任は動かし難い 来年4月からの消費税増税との関連で注目された今年1〜3月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表になり、物価変動を差し引いた実質で前期比0・4%増だったことが明らかになりました。マイナスだった昨年10〜12月期の反動や今年がうるう年だった影響があります。2015年度の成長率は0・8%にとどまり、個人消費は2年連続の減少です。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の破綻は明らかです。党首討論で日本共産党の志位和夫委員長が厳しく批判したように、安倍首相の失政の責任は動かし難く、消費税増税はきっぱり中止すべきです。 消費は低迷、投資も減少 1〜3月期のGDPの伸びは個人消費や輸出によるものですが、前期比0・5%の伸びとなった個人消費も名目ではマイナスになるなど、低迷は明らかです。一方、住宅投資や設備投資は落ち込んでいます。円安や減税で大企業のもうけを増やせば回りまわって消費も投資も増えるという「アベノミクス」の「トリクルダウン」(したたり落ち)の筋書きは、完全に破たんしています。 とりわけ志位委員長が党首討論でも指摘したように、一昨年4月に消費税の税率を8%に引き上げて以来の消費の冷え込みは深刻です。14年度マイナス2・9%、15年度マイナス0・3%と個人消費が2年連続マイナスになったのは初めてです。個人消費は増税前の駆け込み需要が明白になる前の13年10〜12月期に比べ8兆円も減っています。総務省の家計調査でも家計支出は2年連続マイナスです。直近の3月分でも勤労者世帯の消費支出は前年同月比で実質5・3%の大幅減少です。消費の低迷は否定のしようがありません。 安倍首相も、消費税増税後消費が予想以上に落ち込み、予想以上に長引いていることを認めています。しかし、なぜ「予想以上」になったのかという志位委員長の追及に、首相はデフレマインド(心理)が残り消費に慎重になっている、所得が改善しているので持ち直しが期待できるなどとごまかしています。「想定外」についてのまともな総括も反省もありません。 個人消費は「心理」だけで落ち込んでいるのではありません。消費税増税が国民の購買力を押し下げ、消費を冷やしているからこそ、消費の低迷が続いているのです。消費税増税の悪影響は明白です。安倍首相は所得が改善してきたように言いますが、実質賃金は消費税が増税される前から4年連続減少が続いており、10年を100とした指数で15年は94・6です。こんな状態で改善などとはとても言えません。 増税はきっぱり中止こそ もともと一昨年の消費税増税は、労働者の賃金が減り続けるなかで増税を強行すれば、景気悪化の悪循環の引き金を引くことになるとの“警告”を無視して安倍政権が強行したものです。安倍首相の失政の責任は重大です。 志位委員長は、消費低迷の総括や反省がないだけでなく「景気判断条項」まで削除して来年4月から10%への再増税を狙うのは国民に対して全く無責任だと力を込めて批判しました。安倍首相は中止するとは口にしません。 増税そのものをきっぱり中止に追い込み、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革がいよいよ重要です。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-19/2016051901_05_1.html
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