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被爆者との面談はない(C)AP
オバマ大統領の広島訪問は「めでたさも中くらい」 永田町の裏を読む
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/181573
2016年5月19日 日刊ゲンダイ
オバマ米大統領の広島訪問は画期的なことで、現職大統領として初めてのその決断は称賛に値する。が、そう言って素直に喜べない事情が日米双方に存在する。
米国では「原爆投下は戦争を早く終わらせるためにやむを得なかった」というのが一般常識で、教科書にもそう書いてあるほどだから、大統領が広島を訪れること自体に反発が広がる可能性がある。そのため、ホワイトハウスは「謝罪はしない」のはもちろんのこと、長い演説も被爆者との面談もせずに短時間で引き揚げることを示唆するなど、国内向けに煙幕を張るのに忙しい。
オバマは、82年にニューヨークのセントラル・パークで米史上最大といわれた100万人規模の反核デモが行われた頃にコロンビア大学で反戦・反核の学生運動に加わり、学内誌に「戦争心理を打破する」という論文を寄稿していたほどの“筋金入り”だから、就任直後、09年4月のプラハでの演説で「核兵器を使用した唯一の核保有国の道義的責任」に言及したのも本気だった。
当然、退陣直前の広島訪問でも再度、核なき世界を実現する覚悟をもう一歩踏み込んで宣言して8年間の任期を締めくくりたかったはずだが、国内事情はそれを許してくれそうにない。
他方、日本側では、この出来事を参院選向けの政局に利用しようという魂胆が見え見えである。安倍晋三首相は、伊勢志摩サミットで「世界経済の低迷を救うために先進国が一致して財政出動に踏みだそう」という宣言を出し、それを口実として消費増税の再延期を合理化しようと画策してきたが、欧米の足並みは揃いそうになく、サミットそのものが無内容なものに終わることはほぼ確実となった。そこでオバマの広島訪問の方を大いにプレーアップして、それがあたかも「安倍外交の成果」であるかにマスコミを通じて大宣伝し、その勢いで参院選になだれ込もうというわけである。本来、日本の首相がこの絶好の機会にやらなければならないのは、唯一の核使用国である米国と唯一の核被使用国である日本とが手を携えて核なき世界へのイニシアチブを発揮する決意を世界に向かって表明することであるはずだが、安倍にそんな上等な考えがあるわけがない。
こうして、せっかくのオバマの広島訪問は「めでたさも中くらい」のあたりで終わる見通しである。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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