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トランプ、安倍、ヒトラーに共通する「強い国」への扇動
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/181590
2016年5月18日 日刊ゲンダイ 文字お越し
似た者同士(共和党大統領候補ほぼ確定のトランプ氏と安倍首相)/(C)AP
摩訶不思議な現象だ。熊本地震の対応では不手際が目立ち、国民生活にプラスになることはナーンもしていないのに、安倍内閣の支持率が上がっている。
読売新聞が13〜15日に実施した全国世論調査で、安倍内閣の支持率は53%と前回(4月1〜3日)調査から3ポイント上昇した。不支持率は4ポイント減の34%だった。NHKが6〜8日に行った調査でも、内閣支持率は前回から3ポイントアップの45%。不支持率は36%に減った。
時事通信が6〜9日に実施した世論調査では、内閣支持率が前月比2.3ポイント増の47.6%。不支持率は4.7ポイントも減って、約1年半ぶりに3割を下回った。
政治学者の五十嵐仁氏が言う。
「ひと言で言えば宣伝効果でしょう。ゴールデンウイーク中の外遊などをメディアが盛んに報じたから、何だか仕事をしているように見える。熊本地震の対応にマズさがあっても、対策を盛り込んだ補正予算が成立すれば、しっかりやっているように見える。こういう非常時に政府を批判できないというムードもあります。ただし、実際は外交の成果など何もないし、経済状況だって、ちっとも好転していない。勇ましいことを叫ぶだけで実態のないキャッチフレーズ政治に、国民が目くらましされている感じはあります」
かくして「日本を取り戻す」と叫ぶだけの安倍首相が支持されているわけだが、これは世界的に共通する現象だ。
海の向こうでは、やはり「強い米国」の復活を掲げるドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補になることが事実上、決まった。キワモノ扱いで泡沫とみられていたトランプが本当に候補者になるなんて、1年前は誰が想像しただろうか。
■「アベ的権力者という妖怪」
今月行われたフィリピン大統領選でも、「10万人の犯罪者を殺してマニラ湾の魚の餌にする」と公約するなど、過激な発言で知られるロドリゴ・ドゥテルテ氏が圧勝した。彼はダバオ市長時代、自警団が犯罪者をその場で射殺する超法規的措置を容認。市長自らマシンガンを手にしていたというウワサもあるほどで、「ダバオのダーティハリー」とか「フィリピンのトランプ」と呼ばれる人物だ。
法政大教授の山口二郎氏が15日付の東京新聞コラムで、「いま世界にアベ的権力者という妖怪が増殖している」と書いていた。この妖怪には、以下のような特徴があるという。
「第一に自己愛がきわめて強く、自分を正しい、美しいと思い込む。第二に自己愛の裏返しで、自分に対する批判や責任追及に対しては一切耳を閉ざし、欠点を是正するという意欲を持たない。第三に自己愛の過剰さゆえに、自分を攻撃するものに対して過度に攻撃的になる。第四に自分が敵とみなす者を攻撃する際には、うそ、捏造も平気で行い、虚偽の主張が明らかになっても恥じることがない」
自己愛の強さ、攻撃性、詭弁、敵に対するレッテル貼り、決して非を認めず言い逃れしようとする姿勢……。欧米では、拝外主義者で独善的なトランプをヒトラーになぞらえて批判する声が続出したが、こう見てみると、安倍とトランプも同じ種類の“妖怪”だということが分かる。
山口氏は「アベ化を防ぐには、事実に基づく議論をすることと、自分自身を的確に認識して、長所と短所をバランスよく評価することが必要である」と言い、「この夏の選挙では、日本人がどこまで知性と品性を保っているかが問われる」とコラムを結んでいる。
アベ的な独裁的権力者が跋扈する背景には、国民の思考停止があるということだ。
フィリピンのトランプ(次期大統領のドゥテルテ)/(C)AP
単純な言葉の繰り返しで大衆を操るプロパガンダ
ヒトラーら独裁者がどうやって権力の座についたか、その“処世術”を解説した「悪の出世学」の著者、中川右介氏が言う。
「大衆ウケする単純な言葉を繰り返す。理論的な整合性がなくても、その場その場で感情に訴える演説を行う。そうやって大衆心理をコントロールするのが独裁者の手法で、それはトランプ氏や我が国の首相にも共通する危険な特徴です。冷静に考えれば、彼らの言うことは中身がなかったり、理屈が通らなかったりすることが分かる。しかし、勇ましい言葉が大衆の不満を一瞬だけ解消してくれるので、瞬間的な勝負で支持を集めてしまう。何しろ議論が成り立たない相手だから、反対派もサジを投げてしまう。そこが問題で、勇ましい言葉や空虚な甘言に気持ち良くなった国民が喝采していれば、ヒトラーの二の舞いになりかねません」
米国のボストン・グローブ紙が行った分析では、トランプのスピーチは小学校2年生レベルの英語だという。意図的に音節の少ない言葉を使って、短い文章で言い切る。子どもにも分かる単純なスピーチを繰り返す。
ウソも100回言えば本当になると、単純なスローガンを繰り返すプロパガンダ政策は、ヒトラーが確立したものだ。ヒトラーの「わが闘争」には、プロパガンダのキモは「対象とする者の中で最も程度の低い者の受容力に合わせること」とある。これを忠実に実行したのが宣伝相のゲッベルスだった。フランスの精神分析家ベーラ・グランベルジェは「ヒトラーがかくも権力を持ち、暴力的行為を成し得たのは、マスコミュニケーションという強大な武器を手にしたからである」と分析している。
■民主主義で独裁者がのさばる理由
ヒトラーはユダヤ人と共産主義を敵視することで、「ドイツ人の誇り」を鼓舞した。マスコミュニケーションで大衆心理を扇動し、ナショナリズムの高揚がヒトラーに強大な権力を与えた。
どこまで計算してやっているのかは分からないが、移民を排斥して「強い米国」を掲げるトランプも、中国・韓国を敵視して「世界の中心で咲き誇る」と言う安倍も、やっていることはヒトラーのパクリのようなものだ。「アベノミクスは成功している」「安保法で日本が平和になる」「国民に丁寧に説明する」「汚染水はアンダーコントロール」等々、口から出まかせのウソを平気で言うところも似ている。
「現状への不満や将来への不安から強力なリーダーを求める傾向は、どこの国にもある。日本人の誇りを取り戻す、経済を良くするという勇ましい言葉を心地良く感じる気持ちは分かります。しかし、政治はその場だけ楽しむ娯楽と違って、生活そのものです。実際に経済が良くなって誇りを持てるようになったのか。権力者に自分たちの生活を破壊されないためには普段からきちんと権力を監視して、正しい時は支持し、間違ったことをしたら批判するという態度を取り続ける必要がある。独裁的な政治が跋扈する一方で、米国のサンダース旋風もあるわけで、ここまで格差が広がれば、本来は日本でも政権を批判する声が広がってもおかしくない。そうなっていないのは、国民がスローガン政治に洗脳されて現実を見ようとしない反知性主義に陥っているとしか言いようがありません。民主主義のシステムで独裁者がのさばるのは、国民が容認しているからなのです。その結果、自分たちの生活がボロボロになっても文句は言えないということです」(五十嵐仁氏=前出)
後になって、こんなはずじゃなかったと後悔したところで、独裁者はシレッと言うだろう。「選んだのは国民じゃないか。こうなったのは君たちの責任だ」と――。それもまた民主主義のプリンシプルだということを忘れてはいけない。
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