http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/102.html
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記者会見で辞任を表明する安倍晋三首相(2007年9月12日、首相官邸)
体調に問題があるとしても、翌日に首相を辞任しなければならないほど酷い状態であったなら、所信表明演説を行う前に辞任するのが、首相まで登り詰めた政治がとるべき最低限の身の処し方である。
日経新聞記者は、「健康問題には触れなかった。現職首相が体調を理由に辞任するのは潔いことではないとの考えからだが、その理由は誰の目にも明らかだった」と安倍晋三氏を“擁護”しているが、「今の状況で政策を前に進めるのは困難な状況だ。局面を転換しなければいけない」といった政治的政局的理由を付けて首相職を辞任するのなら、最低限、所信表明演説を行う前でなければならないと批判するのが政治記者のつとめでありモラルだろう。
笑えることに、この記事は、辞任を表明した日、翌日発売されるはず「週刊現代」に安倍首相が父親晋太郎氏から相続した政治資金団体に関して脱税の疑惑があるとの記事が掲載されているという情報が流れた事実を無視している。
仮に体調不良であったにしても、前日に所信表明演説を行い、代表質問を受ける当日に突然辞任を表明するという異様な動きであったことを考えれば、仮にそれが直接の理由でないとしても、「脱税疑惑記事」の存在をスルーすることはできないはずだ。
日経新聞記者は、「安倍は再起を果たした12年12月以降、見違えるほどの安定運営を続ける」と書いているが、主要メディアがこぞって安倍政権を支える報道を行っているのだからそう見えてしまうのは当然である。(「新安保法制」では憲法解釈をめぐって安倍批判もあったがほぼ3ヶ月間の“公演”:これも深層では安倍サポート)
民主党政権時代も、主要メディアが“公平”に報じていれば、国民の評価は変わったものになっていただろう。
当時、参議院選挙で敗北し政局運営が難しくなったことが背景にあったとしても、「脱税疑惑記事」が出るや、前日の所信表明に対する代表質問を受ける日に内閣総理大臣職をを投げ捨て病院に遁走するという不様で醜悪な姿を晒した政治家失格の人間が再び内閣総理大臣に就任してしまうという頭がくらくらするような政治状況に日本はある。
さらに言えば、次の総選挙後に内閣総理大臣がほぼ間違いないと考えられていた12年9月に安倍氏が自民党総裁に選任されたのも、米国・中国そして両国の意向を受けた自民党長老たちの働きかけとメディアのサポートによるものである。
その総裁選では党員投票で石破氏が安倍氏を上回ったが、総裁・総理の前に国会議員としての資格さえない安倍氏に票を入れた自民党国会議員の政治的資質の低さがよくわかる。
政治家失格の安倍氏が自民党総裁に選任される一方で、同じく米国・中国の意向を汲むかたちで、尖閣諸島東京都買い上げをぶち上げた石原東京都知事とそれに対抗すべく尖閣諸島国有化を表明した野田首相の二人が辞任(野田氏は辞任ではなく衆議院解散だが当時の解散は辞任に直結)することになった。
安倍氏が再び内閣総理大臣になった使命(ワケ)は、「日朝国交正常化」を政治生命を賭して成し遂げることである。
(その安倍式別表現が、「任期中に必ず拉致問題を解決する」というものである。脱税疑惑記事を目の当たりにして遁走した政治家にできるかどうかはわからないが...)
舛添氏は、言い訳にさえなっていない内容だったが、ともかく政治資金に関する疑惑の説明を行った。主要メディアも揃って、いつまでそれを続けるかという問題はともかく、舛添批判を展開した。
しかし、安倍首相の場合、第一次政権を投げ捨てた日に明らかになった「政治資金団体相続をめぐる脱税疑惑」について、まったく説明しないまま現在に至っているのである。
※関連参照投稿
「[衆議院解散劇の裏を読む]米国も絡む日中関係に規定され動いてきた日本の12年後半政局」(http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/769.html)
「首相「犯罪者扱い」に激高 社民・吉田氏の脱税疑惑質問に:あの所信表明直後の遁走に絡む脱税疑惑で説明責任を果たさず逆ギレ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo173/msg/887.html
「茶番劇!?石原氏は、息子も出馬した総裁選での安倍勝利を予め知っていた可能性:無視されたままの党首討論会「石原重要証言」」
http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/780.html
「安倍首相は、奇妙なかたちで「戦後レジームからの脱却」をめざし、自ら“しばかれ隊”を買って出ている変態」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/533.html
「左派(共産党・社民党)と親米派が共有する「戦術的護憲論」:共産党・社民党も安倍政権と同類:米国改憲要求説は捏造か錯覚」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/714.html
「首相「占領時代の仕組み変える」 改憲へ意欲:志は良だが、従米政治家たちに米国支配層が厭う改憲をやれるはずもなく」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/653.html
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「首相辞任で局面転換」(07年9月、安倍首相) 政権放棄、健康問題触れず
「体力的に限界だ」。2007年9月10日、首相の安倍晋三はアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれたシドニーから帰国する政府専用機で、辞任について真剣に考えた。大腸に持病を抱えていたが、8月のインド訪問でウイルス性大腸炎にもかかった。自ら生んだ「ねじれ国会」で国内政局も混迷していた。
帰国したその日に召集された臨時国会。参院本会議での所信表明演説では集中力が続かず、原稿を3行読み飛ばす失態を演じた。直後、国会内で会った幹事長の麻生太郎に「もう辞めたい」。その夜、首相公邸で夫人の昭恵にも決意を伝えた。
テロ対策特別措置法の延長は道筋をつけたいと求めていた民主党代表の小沢一郎との会談は12日昼までに断られた。
ボロボロの体で臨んだ午後2時の緊急の辞任会見。「今の状況で政策を前に進めるのは困難な状況だ。局面を転換しなければいけない」
健康問題には触れなかった。現職首相が体調を理由に辞任するのは潔いことではないとの考えからだが、その理由は誰の目にも明らかだった。
戦後最年少、初の戦後生まれの首相ともてはやされ、「戦後レジームからの脱却」「美しい国づくり」を掲げてきた安倍。幕切れは「政権放棄」と批判されながらの退陣だった。
安倍が自らの口で本当の理由を語ったのは、辞任から12日後の入院先での会見。「体調は悪化し続け、自らの意志を貫く基礎となる体力に限界を感じた」と明かした。
安倍が生んだ混乱を自民党は立て直せず、09年に同党は野党に転落。安倍は戦犯の烙印(らくいん)をおされる。しかしこの経験を糧とし、安倍は再起を果たした12年12月以降、見違えるほどの安定運営を続ける。
=肩書は当時、敬称略
(酒井恒平)
◆政治が大きく動いた場面を検証し、象徴する言葉とともに人間模様を描いた「政 その瞬間」は今回で終わります。
[日経新聞5月8日朝刊P.12]
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