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舞台裏が教えてくれるオバマ広島訪問実現の不誠実ー(天木直人氏)
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12th May 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
きょう5月12日の各紙は一斉に今度のオバマ広島訪問の舞台裏を書いている。
そして、その舞台裏をもっとも端的に表現していたのが、きょう5月12日の読売新聞の次の見出し記事だ。
「オバマ米大統領の広島訪問が決まった背景には、
日米両政府の周到な準備とオバマ氏、安倍首相の政治的な思惑があった
(ワシントン支局小川聡、政治部今井隆)」
まさしく、私が指摘して来た通りだ。
しかし、この舞台裏を書くのは早すぎた。
なぜならば、その舞台裏を知れば知るほど、
日米両政府の外交的努力の成果よりも、外交的不誠実さのほうが目立つからだ。
いうまでもなく今度のオバマ広島訪問のキーワードは「謝罪」と「核廃絶」だ。
安倍首相はオバマ広島訪問を何としてでも実現したいために、
日本側から率先して「謝罪はしなくてもいい」と迎合した。
各紙が報じる舞台裏がこの事を教えている。
これは、あたかも吉田茂が日米安保の時に、
米国が言い出しにくければ日本側が米軍駐留を求める形にしてもいい、と米国側に伝えた事を彷彿させる。
しかし、この日本側から率先した謝罪放棄こそ、末代まで語り継がれるオバマ広島訪問の汚点となるだろう。
安倍首相は自らの政権浮揚のために、
唯一の被爆国である日本国民の悲願や被爆者の心を犠牲にしたからだ。
その一方で、舞台裏はオバマ大統領の汚点も浮かび上がらせた。
それは謝罪の拒否と、核廃絶宣言という偉業(レーガシイ)づくりだ。
今のオバマにとって最大の課題は就任直後に行った核廃絶演説を、どう「成功裏」に終えるかだ。
それにはどうしても広島に行って核廃絶演説を完結させなければいけない。
だから広島行を決断したのだ。
単に広島を訪問するだけならオバマにとってはメリットはなく、行かなかったと思う。
謝罪をするか、しないか、だけが焦点になるからだ。
今度の舞台裏をオバマ側から見れば、自らの核廃絶演説を成功させながら、
如何にして謝罪の為に広島に行ったのではないという事を米国内に示すことができるか、
それこそがオバマの最大の腐心点であったことがわかる。
これを要するに、メディアが一斉に書いた舞台裏は、
日米双方の指導者が、自らの政治的野心を優先し、
謝罪問題に正面から向かい合うことなく、
人類への核兵器使用という最大の歴史的悲劇を曖昧決着しようとした事を明らかにした。
私が、舞台裏を明かすのは早すぎると書いた理由がここにある。
しかし、まだ最終評価を下すのは早い。
まだオバマにはなすべき事がある。
今度のオバマの広島訪問の評価を決めるのは、オバマが被爆者に面談することだ。
そしてオバマが広島でプラハ演説を超える演説を行うかどうかだ。
明示的な謝罪がなくても被爆者と面談する事は、これ以上ない謝罪の気持ちの表現だ。
任期中の核廃絶は出来なかったけれど、
必ず米国は核廃絶の先頭に立つと演説する行う事が出来れば、それこそがプラハ演説を超えるものだ。
これが出来れば歴史に残る米国大統領の広島訪問になる。
不誠実な広島訪問が誠実な広島訪問となる。
結果的に安倍首相はよくやったということになる。
すべては5月27日に明らかになる。
水面下で、この二つについて日米間で協議が進められることになるだろう。
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