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連休狂騒の裏に見え隠れ 国民のやりきれない不安と苛立ち
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/180907
2016年5月7日 日刊ゲンダイ 文字お越し
外遊の成果はゼロ(C)AP
いったい何をしに行ったのか。安倍首相のゴールデンウイーク(GW)は、例によって外遊に費やされた。イタリア、フランス、ベルギー、ドイツ、英国を訪問。欧州連合(EU)や各国の首脳と会い、最後はロシアのソチに寄って、仲良しのプーチン大統領との会談でシメたのだが、この外遊がニュースになることは、ほとんどなかった。
「あまりに中身がないから、ニュースにもできなかったのでしょう。財政出動でドイツや英国との溝を埋めることもできず、安倍外交の成果として報じることができるような話は皆無でした。そもそも国内経済がこれだけボロボロなのに、誰が世界経済の牽引役を期待するというのでしょう。国内は熊本の地震などで大変な時なのに、それを放り出して外遊に明け暮れたこの1週間は何だったのかという話です」(元外交官の天木直人氏)
安倍首相は日本時間の5日夜、ロンドンで訪欧の成果をアピールする記者会見を開いた。「アベノミクスの3本の矢をもう一度世界レベルで展開させる」とか言っていたが、この期に及んで、よくそんな妄言が口をつくものだと呆れる。
あれだけ御用メディアがもてはやし、国民の目をくらましてきた日本国内でさえ、もはやアベノミクスの破綻は誰の目にも明らかなのである。もともと厳しい視線を向けていた外国メディアの前で、ぬけぬけとアベノミクスの成功譚を披歴する。その感覚が異常だ。
五輪招致の際の「汚染水はアンダーコントロール」しかり、口から出まかせで世界を騙せると、今でも思っているのか。
「内外記者会見といっても、外国メディアは安倍首相の会見になど興味を示さないでしょうから、実質は国内向けのアピールです。アベノミクスは失敗していないと言い張り、まるで各国首脳からお墨付きをもらったかのようにゴマかす。国民を欺く場でしかありません。しかし、安倍外交が国際舞台で相手にされていないことは明らかで、それは、連休中にこぞって中国に出かけた自民党重鎮たちが受けた対応を見ても分かります」(政治評論家・本澤二郎氏)
■ヨコシマな言動が見透かされた
自民党の二階総務会長は4月28日から5月1日まで北京を訪問したが、まったくニュースにならなかった。4日には、高村副総裁ら超党派の日中友好議連が北京入り。これまでは中国共産党の最高指導部である常務委員と会談していたが、今回の会談相手の李源潮氏は常務委員でなく、ワンランク下の政治局員だ。あからさまな待遇格下げである。
極め付きだったのが4月30日の日中外相会談で、王毅外相は岸田外相に「4つの要求」を突きつけた。いわく、「歴史を直視し反省する」「中国脅威論をまき散らさない」「中国を対等に扱う」「中国への対抗心を捨てる」というもの。
「日中関係が何度も問題にぶつかるのは、日本の歴史認識と中国に対する認識のせい」と断じ、安倍首相の存在が障壁になっていることをにおわせた。
「今回の中国側の一方的な要求は、非礼ともいえるものです。それでも日中関係の改善をお題目に、お歴々が続々と訪中し、首脳会談の開催をお願いしに行ったのに、冷遇された。ここまで相手国にコケにされる政権に、なぜ日本の右翼は怒らないのか、不思議なくらいです」(天木直人氏=前出)
その場しのぎのテキトーなことを言っておけば、自国民同様、相手も騙せるとタカをくくっていた岸田や高村にとって、中国側の態度硬化は大誤算だっただろうが、その程度のナメた感覚だから、こうなる。
南シナ海問題で中国脅威論をことさら振りまき、対中国包囲網にシャカリキの安倍政権が、口先で友好だの関係改善だの言ったところで、信頼関係など築けるはずがないのだ。安倍首相がトップでいるかぎり、関係改善はあり得ない。
刹那の連休に浮かれている場合なのか(C)日刊ゲンダイ
「心配停止状態」こそが連休のにぎわいの正体
連休中に物見遊山に繰り出したのは、国会議員だけではない。今年のGWは、2日と6日に休めれば最大10連休ということもあって、旅行に出かける人も多かった。JTBの調査では、GWに1泊以上の旅行に出かけた人の数は、国内旅行、海外旅行とも前年より増加して過去最高になりそうだという。
もっとも、旅行費用は減少傾向にあって、国内旅行の平均費用は前年比1・7%減、海外旅行は同1.5%減となっている。景気は低迷、実質賃金が下がり続け、株価もメタメタの現状では、ぜいたくなんてできるはずがない。それでも、連休となれば、観光地や交通機関の混雑にゲンナリするのを承知で旅行に出かけるのだ。
そういう日本人の姿は、無理して刹那の連休に浮かれているようにも見える。作家の五木寛之氏は、6日の本紙連載コラムでこう書いていた。
〈街に出れば、連休を楽しむ人びとの活気に圧倒される思いがする。駅も、商店街も、観光地も、人の波、波、波でごった返している〉
〈その楽しげな表情の陰に、どこかいま一つ、活気が欠けているような気がしないでもない。よく見れば、人びとの晴れやかな顔の背後に、えも言われぬ不安が横たわっているように感じられるのだ〉
テロ、戦争、恐慌、病気、地震など、さまざまな問題がわれわれの心に暗い影を落としている。老後の生活不安は大きくなるばかり。経済見通しも絶望的だ。その不安を忘れようとして、人びとは走り回っているのではないかと五木氏は続ける。
〈巨大地震が発生したとき、原子力関係施設が安全だとは誰も思ってはいない。さらに国民の国家から、国家の国民の時代へ、この社会はあきらかに動きつつある〉
〈あまりにも多くの不安材料が重なって目前にあるため、一種の判断停止状態におちいっているのが、現状ではないのか〉
この、心肺停止ならぬ〈心配停止状態〉こそが、この連休のにぎわいの正体ではないかと指摘する。慧眼である。
■国民の不安をよそにパフォーマンスに明け暮れる
まるで現実から目を背けようとするように、目先の享楽に浮かれる群像。過去にも、似たような狂騒はあった。
直木賞作家の中島京子氏は、映画化された「小さいおうち」で、戦争が静かに普通の生活に忍び込んでくる過程を描いている。幻に終わった昭和15年の東京五輪が決まった頃、人々は五輪招致と好景気に浮かれていた。日中戦争が始まっても、誰も悲惨な結末を予想せず、三越の戦勝バーゲンは大盛況で、みな「勝った」「勝った」と騒いでいたのだ。
江戸末期の「ええじゃないか騒動」では、7日間にわたり日常生活が麻痺することもあったというが、狂った世相や庶民の鬱屈をバカ騒ぎでしのぐさまは、今の日本の姿と重なって見える。前出の本澤二郎氏が言う。
「そういう国民性を利用しているのが安倍政権。各国首脳と会って握手すれば、それをメディアが流してくれるから、いい宣伝になる。地震対応を放り出して遊び歩いていても、しっかり働いているように見える。国民の不安と苦しみをよそに、選挙向けのパフォーマンスに明け暮れているだけなのです。自分たちの保身のためには、平気で国民を騙す。サミットや五輪のお祭り騒ぎで国内の深刻な問題を覆い隠してしまおうという態度は、国民を愚弄しています」
有名人と写真を撮って回るだけなら、林家ペー・パー子夫妻とやってることは変わらない。内政も外交も八方ふさがりの中、無意味な外遊に精を出す首相。国民はその成果に関心を示すこともなく、現実逃避のレジャーに走る。それは、この国が言葉に尽くせない不安と苛立ちに覆い尽くされていることの表徴でもある。絶望が、人々を支配している。
静かに、澱のようにたまった怒りはどこへ向かうのか。それが政権ではなく他国への敵意に変換されれば、為政者の思うツボだということを忘れてはいけない。
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