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夏の参院選「民共合作」は日本の政治レベルを下げる暴挙である “打倒安倍”の一点張りでは政権は担えない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48567
2016年04月29日(金) 長谷川 幸洋「ニュースの深層」 現代ビジネス
■それでいいのか「民共合作」
夏の参院選は「自民、公明の与党vs野党共闘」という構図が鮮明になってきた。先の北海道5区補選で野党統一候補が善戦した結果を受けた形だ。さて、そうなると「政権交代可能な野党」という民進党のスローガンはどうなるのか。
5区補選は、自民党公認で公明党と日本のこころを大切にする党が推薦した和田義明氏が当選した。負けた池田真紀氏は無所属で立候補し、民進党と共産党、社民党と生活の党と山本太郎となかまたちが推薦した。
和田氏の13万5842票に対して池田氏は12万3517票と迫り、その差はわずか1万2325票だった。負けはしたものの大健闘に勢いを得たのか、野党は参院選でも野党共闘を進める構えを示している。
4月27日付けの読売新聞によれば「32ある1人区のうち23選挙区で野党候補の一本化のメドがつきつつある」という。今夏の参院選だけでなく、将来の衆院選でも野党共闘を目指す動きが加速しそうだ。
5区補選で池田氏の獲得票数は、単純計算で2014年の総選挙で民主党と共産党が獲得した票の合計とほぼ同じだった。だから、同じような「民共合作」が実現すれば、参院選で安倍晋三政権を追い詰められるという皮算用が働いているのだろう。
だが、ちょっと待ってほしい。政党の側はそれでいいのかもしれないが、選ぶ有権者の側から見ると、野党統一候補というのは当選したら、いったいどんな政策を進めてくれるのか、はっきりしない。ひとくちに野党と言っても、それぞれの政策はてんでんばらばらであるからだ。
■共産党に吸い取られやしないか
具体的に言えば、共産党は綱領で安全保障政策で将来の日米安保条約の廃棄、自衛隊の解消を目指している(http://www.jcp.or.jp/web_jcp/html/Koryo/)。民進党は日米同盟を認める一方で、集団的自衛権については認めない立場と一部を容認する立場が混在している。
経済政策でも共産党は消費税廃止を唱える一方、民進党は消費増税反対と増税すべき派がやはり混在している。そもそも経済成長を目指すのかどうかについても、あくまで格差是正を優先すべき派と旧維新グループなど成長重視派がここでも混じっている。
つまり、一口に「野党統一候補」といっても個々の候補者がどういう考え方をしているか、よく分からない。当選した後、無所属で活動するのか、それともどこかの野党に所属して活動するのかもはっきりしない。もちろん「野党統一党」という党も存在しない。
北海道5区の補選で野党連合が唱えたのは、一言で言えば「安倍政権NO!」だった。つまり安倍政権が進めた安全保障関連法を廃止する。アベノミクスもやめる。安倍政権に反対なのは分かったが、では対案として、どういう政策を進めるのかがあきらかにならなかった。
なぜかといえば、根本的には候補を支援している野党各党の政策がばらばらであるからだ。これでは、とうてい責任ある野党勢力とはいえない。もしも政権を握れば、それぞれが勝手な事を言い出して、たちまち分裂してしまいかねない。
民進党は「政権交代可能な野党」を目指していたはずだ。ところが、実際には「安倍政権を倒す」の一点張りで、倒した後、どんな政権を作っていくのか、リアリティを感じられる政権基盤と政策がないのである。
それは世論調査にも表れている。フジテレビの調査では、民進党の支持率は3月19〜20日調査で12.8%だったのに、最新の4月23〜24日調査では7.3%に落ち込んだ。それと対照的に共産党は前回が3.0%だったのに対して、今回は5.2%に増えた。
この結果を見る限り、民共合作といっても、躍進しているのは共産党であり、民進党ではない。民進党は民共合作の甘美な誘惑にのって、自力で党勢拡大を図る努力を放棄した結果、共産党にエキスを吸い取られてしまったのではないか。
■これぞサヨクの本質
5区補選では象徴的なシーンもあった。共産党の小池晃政策委員長と前原誠司民主党元代表が並んで選挙カーの壇上に立ち、真ん中に立った法政大学の山口二郎教授が池田氏の応援演説をした(https://www.youtube.com/watch?v=6-3AunFNJK4)。
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衆院北海道5区補欠選挙街頭演説(1) 山口二郎氏
山口教授が演説を終えた後、小池氏が前原氏の元に歩み寄り両手で握手を求めると、両者はしっかり手を握り合ったのである。前原氏といえば、民進党内でも集団的自衛権の容認論者として知られている。
その前原氏が選挙とはいえ、日米同盟廃棄を唱える共産党の小池氏と壇上で握手したのだ。まさに「勝つためには悪魔とも手を握る」であり、政策よりも選挙優先と受け止めざるをえない。
ついでに言えば、山口教授は安保法案廃止を求める昨年夏の国会デモ集会でマイクを握り「安倍に言いたい、お前は人間じゃない。たたっ斬ってやる」と絶叫したこともある。これで大学教授か、とあきれるほかない。だが本当を言えば、実はこういう発想こそがサヨクの本質である。
私は高校、大学と左翼運動に関わったから、よく知っている。昔から私の周辺のサヨクは体制側を指して「あれは人間じゃない」というセリフをよく吐いた。山口の絶叫に対しても、集会参加者から一斉に「そうだ!」と歓声が上がっている(https://www.youtube.com/watch?v=mifhF05u9AA)ではないか。
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山口二郎「安倍に言いたい、お前は人間じゃない。たたっ斬ってやる!」
参加者たちが山口の意見に賛同している証拠である。彼らは自分と異なる意見の持ち主を「人間じゃない」と一刀両断する人々なのである。その一方、政権側に対しては「あいつらは反知性主義。おれたちこそが知性派」とののしって平気な顔をしている。
人を「人間じゃない」とののしる人間のどこが知性派なのか。かつては、せいぜい若い学生のたわごと程度だった。ところが、いまやテレビに登場して、それなりに論陣を張る著名大学教授がこういうセリフを吐いて、支持者がそれに熱狂するようになったのだ。こういう勢力が権力を握ると、何が起きるか。私はそれこそ毛沢東やポル・ポト派の大虐殺を思い出す。
元サヨクとしては「いまやサヨクはここまでダメになったか」とがっかりする思いだ。
■暗澹たる思い
さらに言えば、山口教授は「戦争法を作ったり、メディアに圧力を加えるような政権は許せない」と公言している。だが、私の実体験に即して言えば、テレビに圧力を加えたのは自民党ではなく、政権を握っていた当時の民主党である。
私がコメンテーターを務めていた複数の番組で「長谷川が出るなら、オレは出ない」といって現職大臣が出演拒否したり、逆に私がその回を降板させられたりした。いま私がMCを務めているTOKYO MXの番組『ニュース女子』(月曜夜10時)で最近、この体験を話したら、似たような経験があったのだろう、コメンテーターたちが「その通りだ」と同意してくれた。
話が脱線した。
野党連合に話を戻せば、基本政策が一致していない野党がいくら「安倍政権NO!」で選挙を戦ってみても、安倍批判票をそれなりに集めるだけが関の山だ。けっして政権は担えない。空中分解するに決まっているからだ。
こういう野党連合がしばらく続くのだとしたら、日本の政治は本当に空しい。野党は大きな声で時折、外から暴言を交えてののしるだけの「ヤジ係」になり下がってしまうだろう。安倍政治をチェックして建設的な批判をする役割は、同じ与党である公明党が担う形にならざるをえない。
北海道5区補選の結果と山口教授の絶叫、小池氏と前原氏の握手を見ながら、そんな暗澹たる思いにとらわれた。
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