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被災地で渦巻いています。
[CML 043141] 熊本地震:南阿蘇村からの報告
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坂井貴司です。 転送・転載歓迎。
4月23日に、熊本地震で被害を受けた南阿蘇村の親戚のお見舞いと後片付けに行った父から、現地の状況を聞きました。
国道57号線と俵山越えの県道が地震による崩壊などで通行止めになっているため、熊本県北部を斜めに縦断する国道325号線を走り、菊池市を経由して、阿蘇外輪山北側を通り阿蘇カルデラ内に降りようとしたそうです。しかし、その道も通行止めや迂回の連続でした。それで、小国町まで行って、そこから国道212号線を南下して阿蘇市へ行きました。JR阿蘇駅前を通りました。阿蘇駅の駅舎は全壊していました。
阿蘇大橋の崩落で、阿蘇市から阿蘇山南側の南阿蘇村へ行くには、大分方面へ走って阿蘇市宮地から国道265号線を走るしかありません。
ノコギリが大きく裂けたような根子岳を見ながら走る国道265号線。普段は交通量はほとんどありません。今日は渋滞していたそうです。その道も地震によってデコボコになっていたそうです。
なお、別府と阿蘇をつなぐ「やまなみハイウェー」は地震による陥没などで通行止めになっています。この道は観光道路である他、別府と阿蘇を最短距離で結ぶ産業道路です。やまなみハイウェーの通行止めで、別府方面からの輸送ができなくなっています。
また、阿蘇外輪山北側の稜線を走る「ミルクロード」は地震の被害をあまり受けませんでした。国道57号線が通行不能となった今、阿蘇市と熊本市方面を結ぶ唯一の道路になっています。
5時間以上走ってようやく親戚の家にたどり着きました。元気な様子だったそうです。しかし、家は半壊していました。屋根は波打っていました。室内は床が抜け落ちていました。
大工さんに見てもらったところ、解体して建て直すしかないとのことでした。
問題は費用です。解体費用に200万円、建築費は2000万円かかるそうです。小さな平屋建てであっても、その位はかかると言われました。石垣も崩れています。
それを片付けて建て直す費用も嵩みます。妻と小学生の娘がいる三人家族の親戚には、そんな高額のカネは出せません。貯金はありません。阿蘇市に住む息子も被災者ですので、援助してもらうのは不可能です。
「いっそのこと、家が全壊すれば良かった。半壊なので、補助金は少ししか出ない。だが、いつまでも自動車に寝泊まりをするわけにはいかない。
屋根にシートをかぶせ、壁に突っ張り棒をして倒壊しないようにし、床を作り直すしかない。それだけでも相当な費用がかかる」と嘆いたそうです。
また崩壊した石垣は、少しずつ後片付けをすると言いました。危険なので、今すぐ全部片付けたいけれど、それはできないとのことです。
電気は22日に復旧しました。ところがそれは全国からかき集めた電源車をフル回転させて供給している電気だそうです。村のあちこちに電源車が止まって送電しています。父はその中に東北電力の電源車を見つけて驚いたそうです。
九州電力は川内原子力発電所の運転を続けています。「被災地に電気を供給するため、川内原発を止めるわけにはいきません」と言っています。ところが、阿蘇地方は送電線網が地震で寸断されているため、川内原発の電気は送られていません。
さらに私が初めて知ったことです。川内原発の電気は鹿児島県と宮崎県に送電されていて、熊本県には送られていないそうです。熊本県の電気は県内にある水力発電所や火力発電所から送られているそうです。南阿蘇村は村内にある黒川第二水力発電所から電気を供給されています。それが地震で壊れたため、村は全戸停電しました。
「被災地に電気を送るために、川内原発を運転させています」という九州電力の説明はウソです。いくら川内原発が発電しても、南阿蘇村には1ボルトも供給されません。
電気は復旧したものの、プロパンガスのボンベが空になったため、ガスを点けることができなくなりました。プロパンガスを販売しているJAには在庫はありません。それで父はガスコンロと、カートリッジを買って、渡しました。
ガソリンスタンドは電気の復旧で営業を再開しました。しかし、道路の寸断や、石油施設の損壊でガソリンが送られてきません。それで、ガソリン価格が上がっています。福岡県では1リットル110円なのが、南阿蘇村内では130円です。
風呂は地震で壊れたため、使えません。幸いなことに、村の中にある温泉施設は被害を免れたたため、入ることはできるそうです。
地震で運転を休止している南阿蘇鉄道の終点である高森駅は、臨時の消防署になっているのを父は見ました。駅前広場はテント村になっていて、全国から応援に駆けつけている消防士が寝泊まりをしているそうです。
全国から警官が南阿蘇村に派遣されています。父は東京から来た警視庁の警官を見たそうです。
村にある道の駅や「グリーンピア南阿蘇」の駐車場は、避難している村民の自動車やテントで埋め尽くされているのを見ました。
避難所の食料の供給は起動に乗っているそうです。食料不足は解消されました。
しかし、避難所に避難していない親戚には関係ないそうです。
商店は電気が通じたことで、営業を再開しました。しかし、商品の供給が充分でないためすぐに売り切れてしまい、早仕舞いするそうです。
さて、南阿蘇村へアメリカ軍海兵隊の「オスプレイ」が救援物資を輸送していることは大きく報道されています。
父はオスプレイが飛行するのを見ました。
「ビニールハウスで後片付けをしていたら『ドンドンドン!』という今まで聞いたことがない大きな音が空から聞こえた。驚いて外に出ると、オスプレイがヘリモードで飛んでいた。ヘリコプターよりもやかましい音を出していた」。
このオスプレイによる輸送を南阿蘇村の村民は感謝していると安倍政権や産経新聞は言います。
しかし実際は感謝どころか、怒りを抱いているそうです。
「アメリカ軍は地震を利用して、オスプレイの訓練をしている。安倍首相も自衛隊のオスプレイ配備を進めるために、救援物資輸送を口実にして宣伝している」と、村人は口々に言っているそうです。
被災者は、アメリカ軍と安倍首相の真意を見抜いています。
口は達者でも、行動は起こさない安倍首相に対する不満が、被災地で渦巻いています。
父の報告から、親戚の生活再建は困難な道のりが予想されることがわかりました。特に経済的問題です。東日本大震災で被災者が直面した問題が、私の身近な人にふりかかっています。
私も近い内に南阿蘇村に行きます。
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp
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