http://www.asyura2.com/16/senkyo205/msg/196.html
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03年の米英連合による「イラク侵攻」に小泉政権は支持を表明した。そして、戦争の一環である占領支配を支援するため、自衛隊部隊をイラクやクウェートに派遣した。
イラク侵攻の“大義”の一つであった「大量破壊兵器」が見つからなかったことやその後のイラクの破滅的混乱を踏まえ、米英では「対イラク戦争」について曲がりなりにも検証が行われている。
しかし、日本は、先の大戦に関する検証も国家として主体的に行っていないから当然ということになるが、支持し自衛隊も派遣した「対イラク戦争」について検証と言えるような検証を行っていない。
それどころか、安倍首相は、14年春、「集団的自衛権」をめぐる国会論戦のなかで、小泉政権が米英のイラク侵攻を支持した問題について問われ、フセイン政権が“大量破壊兵器の不保有”を証明できなかったことが悪かったのであり、米英などの対イラク戦争を小泉政権が支持したことに問題はないと主張している。
※参照投稿
「フセイン政権に「悪魔の証明」(「不存在の証明」)を求めることで対イラク戦争支持を正当化している“危険で度し難き”安倍首相」
http://www.asyura2.com/14/senkyo167/msg/558.html
その安倍首相が、今年2月3日の衆議院予算委員会で、民主党(当時)岡田代表の「金銭授受が安倍政権の政策決定を左右したことはなかったのか」との質問に、「環太平洋経済連携協定(TPP)や経済財政運営に影響するはずがない。一切ないとはっきり申し上げる」と断言し、岡田代表がさらに「根拠を示すべきだ」と追及したが、「ないことの根拠を求めるのは“悪魔の証明”だ」と言って突っぱねている。
米英のイラク侵攻を支持した小泉政権の正当性の根拠して「悪魔の証明」を持ち出した 安倍首相だが、ないことを証明するのは「悪魔の証明」だという論理を16年2月3日時点で理解していたことがわかる。
イラク戦争について、フセイン政権が“大量破壊兵器の不保有”を証明できなかったことが悪かったと言い放った安倍首相の答弁を引き出したのも確か岡田代表だったと思うが、甘利斡旋利得疑惑をめぐる質疑応答で「悪魔の証明」を利用して追及をはねのけた安倍首相に対し、イラク戦争フセイン政権責任論を「悪魔の証明」でこじつけた答弁との矛盾を指摘し、安倍首相の欺瞞性を指摘することすらできなかったのである。
日経新聞は、さすがというか気を利かせて、安倍首相の「悪魔の証明」発言を記事にはしていない。
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[風見鶏]検証なき国は廃れる
市場の競争にさらされる企業は失敗から教訓を学び、生かさなければ、廃れてしまう。国も同じだ。
その意味で、日本として注目すべきできごとが近く、英国である。2003年、イラクが大量破壊兵器を隠しているとして、当時のブレア英首相は世論の猛反対を押し切り、米国とイラク戦争を始めた。だが、結局、そんな兵器は見つからなかった。
だれが、どこで、なぜ、間違ったのか。英政府が09年に設けた独立調査委員会が今月、8年越しの検証を終え、6月にも結果を公表するのだという。ブレア氏をはじめ、尋問に応じた当時の要人や軍幹部は百数十人にのぼる。
「あの戦争は英国民に、英米同盟への強い疑念を植え付けてしまった。その後遺症は癒えていない」。当時を知る英政府の元高官はこう自省する。それでも英国にはなお、失敗から学ぼうとする能力がある。
一方、米政府はイラク戦争だけでなく、01年の同時テロの教訓も独立調査委で洗い出し、それぞれ約600ページの報告書を10年ほど前に出している。
では、日本はどうか。残念ながら、あまりにもお粗末と言うほかない。
小泉政権(当時)は大量破壊兵器があるという前提でイラク戦争を支持し、復興に自衛隊も送った。支持を決めた経緯については、民主党政権の指示を受けた外務省が調査し、12年12月に結果をまとめた。
しかし、発表されたのは、たった4ページの要約だけ。同省は「これ以上、公表すると、各国との信頼関係を損ないかねない情報がある」と説明する。
むろん、日本は戦争を始めたわけではない。だが、攻撃に参加しなかったオランダも、戦争を支持したことが正しかったかどうか調査し、約550ページの結果を発表している。
日本はなぜか、失敗を深く分析し、次につなげるのが苦手だ。「小切手外交」とやゆされた1991年の湾岸戦争、安保理常任理事国入りに失敗した05年の国連外交、小泉純一郎首相による2度の北朝鮮訪問。外交だけでも、検証すべきできごとはたくさんある。
だが、元幹部を含めた複数の外務省関係者によると、これらを正式に調べ、総括したことはないという。多くの人が原因にあげるのが次の2点だ。
*日本人の性格上、失敗の責任者を特定し、批判するのを好まない。
*これからも同じ組織で働く上司や同僚の責任を追及し、恨まれたくないという心理がみなに働く。
同省にかぎらない。日本の組織には多かれ少なかれ、こうした「ムラ的」な風土がある。ならば、ときには第三者が必要な検証をしていくしかない。国家の場合、その役割をになうべきなのは立法府である。
ひとつの試金石になるのが、約1年前、衆参両院にできた情報監視審査会だ。メンバーは与野党の議員。政府が「特定秘密」の指定を乱用し、開示すべき情報を隠していないか、チェックするのが役目だ。
特定秘密とは、漏れたら安全保障が脅かされる情報で、漏洩には厳罰が科せられる。政府は約19万点の文書を指定ずみだ。まず審査会が知ろうとしたのが、この大まかな実態だ。
ところが「政府側は19万点の文書の件名も、すべては明かそうとしない」(審査会メンバー)という。
衆院審査会の額賀福志郎会長(自民)は「1年目は改善を要求するにとどめたが、対応が改められなければより重みがある勧告権を発動する」と語る。
日本は先の大戦で、自国民だけで約310万人の命を失った。再び、国策を誤ることはないのか。国の検証力の貧しさを考えると、不安になる。
(編集委員 秋田浩之)
[日経新聞4月24日朝刊P.2]
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※参考記事
甘利氏問題 残る疑念 衆院予算委 民主、「裏金」と追及
2016年度予算案の実質審議が3日、衆院予算委員会で始まった。野党は経済財政・再生相を辞任した甘利明氏の金銭授受問題で安倍晋三首相らを引き続き追及した。事実関係が明らかになるなか、安倍政権は幕引きをしきれずにいる。
「まず甘利氏についてお聞きしたい」。民主党トップバッターとして質問に立った岡田克也代表が真っ先に取り上げたのが金銭授受問題だった。
甘利氏は辞任表明した1月28日の記者会見で13年11月と14年2月に千葉県の建設会社から50万円ずつ受け取った事実を認めた。13年11月は大臣室での授受だった。
岡田氏は「黙ってお金を置いていった。危ないお金だと思うのが普通だ」と指摘。甘利氏が政治資金規正法にのっとり適正処理を指示したと説明していることに「お金は11月に受け取り、届け出は翌年2月。裏金とみざるを得ない」と述べた。
民主党の大西健介氏は2回の現金授受を政治資金収支報告書に計100万円の寄付と記したことに疑問を呈した。高市早苗総務相は一般論として収支報告書には「12月末現在のその年の収支を書く」と説明。大西氏は「年が違うものを足し上げて書くことは法の趣旨に反する」と強調した。
もう一つの論点は「口利き」の有無。当時、建設会社と都市再生機構(UR)は道路工事を巡って補償額の交渉をしていた。甘利氏は交渉への介入を否定しているが、民主党はURが公開した元秘書との面会記録に基づき事実関係をただした。
元秘書とURの面会は13年6月から16年1月までに計12回。大西氏は「元秘書は『少し色をつけて』と言った。金額交渉への介入だ」との見方を示した。URの上西郁夫理事長は「やり取りで影響を受けたとは考えていない」と答弁。ただ、URが元秘書に「これ以上は関与しない方がよい」と伝えたことを認め、理由を「本来、当事者同士の話し合いで行うべきだと考えた」と話した。
金銭授受が安倍政権の政策決定を左右したことはなかったのか。首相は「環太平洋経済連携協定(TPP)や経済財政運営に影響するはずがない。一切ないとはっきり申し上げる」と断言。岡田氏は「根拠を示すべきだ」と納得しなかった。
甘利氏側は事実関係を調査、報告する予定。新たな疑問が生じる可能性もある。安住淳国会対策委員長代理は記者会見で「本質を明らかにしていきたい」と意欲を示した。
[日経新聞2月4日朝刊]
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