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2016/04/23 06:17
<政府は非正規雇用の待遇改善などを柱とする「ニッポン一億総活躍プラン」の原案を固めた。非正規雇用の賃金を正規の7〜8割程度まで早期に引き上げ、欧州並みにする目標を明記した。高齢者の活躍で経済全体の生産性を高めるため、今後5年間を65歳以上の継続雇用の延長と定年引き上げの集中期間と位置づけ、実施した企業には助成金を増やす。5月中旬にまとめ、同月末に閣議決定する>(以上「日経新聞」より引用)
正規雇用の7,8割まで非正規雇用の賃金を引き上げることが安倍氏のいう「同一労働、同一賃金」ということのようだ。それでなくとも非正規労働者は雇用の打ち切りをいつ言い出されるかわからない不安な日々を送っている。それでも正規雇用の7割から8割の賃金に甘んじなければならないのだ。
非正規労働者は正規労働者ほど労働現場に精通していないから労働生産性が低いから格差があって当然だ、という批判は当たらない。なぜなら正規雇用の労働者も雇用当初は現場に精通していなかったはずだ。それを企業が研修などを通して労働者の能力向上を行ったに過ぎない。
非正規労働者に正規労働者と同じ熟練度を求めるのは間違っている。そもそも現状の非正規雇用労働者は「あなたは一時的な雇用だ」と宣言しているに等しい。非正規雇用から正規雇用へ採用される道は限りなくゼロに等しいからだ。
むしろ安倍自公内閣の派遣業法改悪により正規雇用が非正規雇用へと近づいている。正規雇用でも地方工場などに採用されることが条件であれば、地方工場が撤退となれば自動的に解雇できるような「限定条件」つきの正規雇用が可能になったからだ。
同一労働同一賃金、というのは当たり前の大前提であって、それが目標となっていることがこの国の労働環境の劣悪さを物語っている。なぜ出生率があまり改善されないのか、それは「恒産」がないからだ。非正規労働に従事している若者が自分の「未来」を見通して結婚し、二十年近く子育てをしようと考えるのは困難だ。
一億総活躍社会と称して安倍自公政権は目先の労働不足を解消と目論んでいるが、それが長期的な視点を伴っているとは言い難い。まさしく安倍自公政権の最大の特徴である「場当たり的」な口先政治だ。
同一労働同一賃金が達成されれば、企業にとって企業帰属意識や企業忠誠心の希薄な非正規雇用の労働者を多く抱えているデメリットの方が大きくなる。出来るだけ正規雇用にして企業の雇用環境の改善や生産現場の改善提案などを促進した方が企業にとってメリットになる。
非正規で雇用するメリットをなくせば企業は非正規雇用の労働者を正規雇用へと切り替える。そうすれば「恒産」を得た若者たちは自分の未来を考える目安を立て易くなる。それにより出生率が向上し労働力供給の好循環が始まる。そこを目指すためにも「同一労働同一賃金」は必要だ。
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