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証言通り「25〜30%が押し紙」なら200万部減
朝日新聞 660万部のうち「25〜30%が押し紙」で200万部減
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160420-00000021-pseven-soci
週刊ポスト2016年4月29日号
3月末に公正取引委員会は朝日新聞に対し「押し紙」問題で「注意」を行なった。新聞販売店からの訴え(タレコミ)があったのだという。押し紙とは、新聞社が販売店に実際の宅配部数以上の新聞を押しつけて買い取らせること。販売店は折り込みチラシの利益で買い手のいない新聞代を支払い、見せかけの公称部数を支えてきた。だが、押し紙は独占禁止法で禁止されているうえ、発行部数の水増しは広告主に対する詐欺行為にあたるとして問題視されてきた。
これに先立ち、2月15日、杉本和行・公取委委員長は日本記者クラブで行なった記者会見で「公取委は押し紙を禁止しており、きちんとモニターしているところだ。実態がはっきりすれば必要な措置をとる」と発言していた。この発言の前に朝日新聞のO記者が、販売店へ行った時の話をもとに、杉本氏にこう質問したのだ。
「私が見聞きしたところだと、25%から30%くらいが押し紙になっている。どこの販売店主も何とかしてほしいのだけれど、新聞社がやってくれない。おそらくこれは朝日に限らず、毎日、読売、日経もみな同じような問題を抱えていると思うのですね。そこで押し紙の問題については委員長、どのようにお考えになっていますか?」
朝日の記者が自社の押し紙という不正行為を暴露して当局の見解を求めたのだから、会見の場を利用した“公開内部告発”というほかないだろう。
一体、朝日に何が起きているのだろうか。O記者も質問の際に言及していたが、朝日新聞は慰安婦報道の検証記事(2014年8月)をきっかけに部数を大幅に落とした。
日本ABC協会調査によると、同年6月に約740万部あった部数が社長の謝罪会見後の同年10月には約700万部とわずか4か月間で40万部減らし、現在は約660万部まで落ち込んでいる。購読者から契約を打ち切られた販売店は当然、本社に買い取り部数の削減を要求し、それが認められずにトラブルが増えて公取委への“タレコミ”につながった──というような経緯が想像される。
「押し紙」問題を追及してきたジャーナリストの出井康博氏が語る。
「販売店にとって契約部数を上回る押し紙は損失になるが、これまでは損失分を折り込みチラシの収入で補って利益も出ていた。ところが、折り込みが減ったために販売店のビジネスモデルが成り立たなくなっている。
朝日の本社は今回、公取委の指摘を受けたことで販売店に表向き『押し紙は断わっていい』と通告したが、実態は押し紙1部につき月額1500円の補助を出し、販売店が簡単に押し紙を切れないようになっている。販売店にとっても痛し痒しなんです」
朝日新聞広報部は「取引制度の改定は、経緯についても改訂の趣旨についても事実と異なります」と答えている。
だが、公取委が本格的に押し紙摘発に乗り出せば、新聞社は大打撃を受ける。O記者がいうように660万部のうち「25〜30%が押し紙」だとすると、朝日の部数は一気に200万部近く減る。
それだけにはとどまらない。新聞社の経営状況に詳しい経済評論家の渡邉哲也氏は「不当利得返還請求」が起きる可能性を指摘する。
「新聞の広告料は販売部数で決まる。仮に公取委が押し紙の是正命令を出せば、部数の水増し、つまり広告料金水増しを示す法的証左になり、広告主は新聞社に対して民法上の不当利得返還請求を起こすことができる。サラ金の過払い金の返還と同じで過去10年間さかのぼって請求できます」
公取委の「押し紙規制」の動きに戦々恐々となるのは当然だろう。
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