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2016/04/20 04:31
鳥越俊太郎氏が総務大臣・高市早苗氏の「連邦議会立法調査官」との経歴に対して「無給のお茶くみ程度だ」として、経歴詐称ではないかと発言したことから高市早苗氏が「立法調査官」だったと取り消しを求めている。
しかし高市早苗氏のいうコングレッショナル・フェローとは<高市氏は、1987年-1989年2年間の米国滞在中に、「1988年からは『アメリカ合衆国議会立法調査官(コングレッショナル・フェロー)』として議員を補佐した」と言ってきました。
しかし、実際は「パトリシア・シュローダー下院議員の個人事務所の二十数人いるスタッフの一人で無給の手伝い」だったのです。「米下院議員の個人事務所の無給手伝いだった」のに、あたかも米国議会の正式職員「アメリカ合衆国議会立法調査官」だったというのは経歴詐称です>(以上<>内「浅野健一同志社大学大学院教授のNHKに対する抗議文」から引用)ということからも明らかだ。
百歩譲って高市早苗氏が米国議会下院議員事務所のスタッフとして働いていたとして、それが連邦議会立法調査官」だということにはならない。なぜなら学生時代に○○会社でアルバイトをした人が「私は○○の社員だった」とは自称しないからだ。
コングレッショナル・フェローとは学生などに米国議会の立法の仕組みなど議会のあり方を学習するプログラムに過ぎない。高市早苗氏は一年間コングレッショナル・フェローとして下院議員の事務所に出入りしたのは間違いないだろうが、連邦議会の職員だったわけではない。もちろん下院議員の正規の政策スタッフでもない。あくまでも米国議会の仕組みを学習するプログラムに一年間参加したに過ぎないのだ。
経歴詐称は政治家のみならずコメンテータにとっても致命傷だということはショーンK氏の馬鹿げた詐称騒動からも明らかだ。ショーンKなる人物はそれによりテレビのコメンテータとしての職を失った。
経歴詐称により騙される側にも問題がないでもない。テレビに登場したショーンK氏の経済評論は自称している国際的な「経営コンサルタント」としては瞠目すべき発言は何もなかった。むしろ平均的な経済学を学習した大学生の発言水準を下回っていた。
高市早苗氏の総務大臣として「電波停止」発言も「連邦議会立法調査官」だったとして聞けば明らかに法の趣旨を履き違えていると気付くべきだ。電波停止は時の政権側が行うのではなく、報道の自由を侵害した放送局の側が自主的に行う場合がある、と規定したものだ。
そうした意味から高市早苗氏は法の趣旨を履き違える程度の政治家だというしかない。いや、そもそも安倍自公政権が日本国憲法に反した「解釈」を行って「戦争法」を強行成立させた違憲内閣だ。この国の司法が先進国並みの独立性を保持していたなら、直ちに記者会見を開いて最高裁判所の名に於いて「違憲立法の疑いが濃厚であり、係争を提起された場合は「戦争法」を無効とするしかない」と述べるだろう。しかし砂川判決以来、日本の司法は完全に隷米の府に堕してしまった。
昨今の原発再稼働に際して住民から提起された原発停止の仮処分が次々と破棄されていることからも、この国の司法が法に基づいた判決を下していない、極めて政治的な立場を堅持していることが明白だ。
高市早苗氏の「経歴詐称」が政治家として致命傷にならないのも、この国の司法の府が腐り切っているからだ。人気投票に近い現在の国会議員の選挙実態からみれば「経歴詐称」は選挙運動の道具としてかなり有効だろう。いかにも高市早苗氏がバリバリに英語を駆使して連邦議会の職員として「立法調査官」として働いていたかのような幻想を選挙民に抱かせるのは投票行動で高市氏側に大きくプラスに働くだろう。それを放置しているマスメディアや国会は腑抜けというしかない。
政治家の経歴詐称に対しては厳罰を以て対処すべきだ。製品が宣伝文句や取説で謳っている性能が嘘なら消費者は訴えるに違いない。それと何処が異なるというのだろうか。不完全な製品を買わされた消費者が怒るのは尤もではないだろうか。
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