>>73 ちゃんと対策は考えているし、原子力規制委員会も了承している。 ケチばかりつけていないで、少しは勉強したら。 言うことがあまりにも低レベルなんだけど。 原発再スタート 安全強化1200設備追加 2015年8月12日 「ただいまより1号機の原子炉起動します」 九州電力川内原子力発電所の中央制御室。2015年8月11日午前10時半、かけ声を受けた担当者が盤上のレバーを前方に押し込んだ。炉内の制御棒の位置を示す表示板の白色が黒く変わり始めた。この瞬間、日本の「原発ゼロ」が終わった。 原子力規制委員会の安全審査が最も早く進んだ川内原発。しかし、東日本大震災を機に強化された審査に、規制委と九電の手探りが続いた。 2015年6月中旬、川内原発構内の駐車場では、作業員たちが非常時に原子炉を冷やす水を供給するポンプ車や電源車をチェーンで地面につなぐ工事に追われていた。 当初は竜巻で車が吹き飛ばないよう、車を固くつなぐ予定だった。しかし、規制委は「適度な緩みがないと地震の揺れで車が壊れる。ただ、竜巻に対応するにはピンと張っておく必要もある」と指摘。難解な注文に九電は苦悩した。 九電が出した回答は、「普段は緩んでいるが、竜巻注意情報が出れば機械で緩みを取り除く」という二段構えの対策。3カ月かけて駐車場8カ所に、チェーンを張るための「たるみ巻き取り装置」を設置した。津波の監視カメラ、がれきを撤去する大型重機ー。規制委の田中俊一委員長が「世界最高レベル」とする基準に「適合」するため、九電が追加した設備は1200点、費用は数百億円に及んだ。 九電が全ての原発を停止したのは2011年12月。その2カ月後、新大分火力発電所(大分市)が寒波によるトラブルで緊急停止した。関係者は「停電は避けられない」と覚悟した。 この時は、他社からの電力融通で窮地を切り抜けたが、原発の穴を火力で補う状況は今も同じだ。その構図は電力各社に共通する。大手10社の発電電力量に占める火力の割合は2010年度の約62%から2014年度には88%に上昇している。 国の試算では、原発停止で電力各社が負担する燃料費は年間約3.7兆円増えた。国民1人当たり約3万円。輸入増で貿易収支は赤字となり、多額の国富が流出した。 東日本大震災後、北海道電力と関西電力は2度の値上げに踏み切った。九電のある幹部は振り返る。「再稼働が更に遅れていれば、料金の再値上げに踏み切らざるを得なかっただろう」 川内原発1号機が国内原発では約2年ぶりに稼働した。しかし、後続の動きは鈍く、再稼働への道のりは険しい。原発を取り巻く変化を振り返り、今後を展望する。 川内原発再稼働を考える 電力安定 国は展望を ようやく1基目の再稼働が実現した。もっと早いと思っていたが、原子力規制委員会も電力会社も手探りで審査をやっていた。今後は裁判所の判例のように審査の論点や判断基準などが文書で整理され、電力会社が速やかに対応できるようになることが望ましい。 今の日本の電力供給で最大の問題は脆弱性だ。原発の停止を火力発電で補っており、2014年度は発電量全体の約88%が火力だった。大規模な停電こそ起きていないが、設備の老朽化でトラブルが増え、ぎりぎりの綱渡りが続いている。 東日本大震災後、火力発電の燃料に使う天然ガスや石炭、石油の輸入が膨らみ、電力10社の燃料費は2010年度の約3.6兆円から、2014年度は約7.2兆円に増えた。電気料金が上昇し、上昇分を転嫁しにくい中小企業や低所得者ほど負担は重い。地球温暖化を招く二酸化炭素(CO2)の排出量も大幅に増えた。 電力の安定供給と料金抑制、地球温暖化対策を同時に進めるには、原子力を重要な手段として位置付ける必要がある。日本は資源に乏しく、1つの電源に依存し過ぎないことが大切だ。どの電源にもメリットとデメリットがあり、組み合わせることでデメリットを減らせる。 再生可能エネルギーの拡大は必要だが、コストが問題だ。再生可能エネルギーを1%増やし、原子力を1%減らすと、約2180億円の国民負担が発生する。脱原発を決めたドイツは送電網がつながった周辺国と電気をやり取りできる。日本とは事情が違う。 東京電力福島第一原発事故後、電源喪失に備えて電源車を置いたり、津波対策で水密扉を設けたりと、事故に備えた対策が進んだ。ゼロとは言えないが、リスクは小さくなった。 原子力は、かつて将来を託され、日本の国力を表す象徴だった。だが、原発事故の失望感で、「原子力は日本に不可欠だ」という考え方は絶対的ではなくなった。関係者は、安全技術に不足があったことを深く反省するとともに、なぜ原子力が必要かを改めて示さねばならない。 政府には、中長期的な原子力事業の環境整備が求められる。国内に使用済み核燃料がたまり、それを再処理した後に残る高レベル放射性廃棄物の最終処分場も決まっていない。国が前面に出て、明確な展望を早く示すべきだ。原発事故が起きた場合に損害賠償が滞らないよう、国と事業者の責任を考えておき、地域復興まで視野に入れた措置を規定するなどの法整備も必要だ。 福島教訓に安全対策 川内原発再稼働 事故想定 電源や人員増強 九州電力川内原子力発電所1号機(鹿児島県)が2015年8月11日、再稼働した。東京電力福島第一原発事故の教訓を生かし、安全対策が大幅に強化された一方、周辺住民の避難などに課題も残る。 ■分散配置 「安全確保を最優先に慎重に発電を再開させたい」。1号機の起動を終えた川内原発の藤原伸彦所長は2015年8月11日、緊張した面持ちで語った。 川内原発では、福島第一原発事故の直接の原因となった電源や原子炉の冷却機能の喪失を防ぐため、冷却用の海水ポンプを津波から守る防護壁を設置。さらに、非常用の電源車やポンプ車も、敷地の高台に分散して配置した。 原子力規制委員会の要求に応じて、地震の揺れは安全審査申請時の540ガルから620ガル(ガルは加速度の単位)、津波の高さは4bから5bに想定を引き上げた。620ガルは、福島第一原発で観測された揺れの最大値550ガルを上回る想定だ。森林火災の延焼を防ぐ防火帯なども整備した。 規制委の田中俊一委員長は「福島と同じような事故が起きないよう対策を求め、審査した。一定のレベルは確保されている」と話す。 ■専従指揮者 福島第一原発事故では事故発生時の態勢が不十分なことも浮き彫りになった。複数の原子炉で同時に事故が進むことを想定していなかったため、素早い初動対応ができなかった。 川内原発1号機は、運転態勢を福島事故前より10人以上多い52人に増員。このうち、36人を事故対応の専門要員として配置することで、「夜間や休日でも迅速に収束作業に当たれる態勢になった」(九電)という。重大事故を想定した訓練も約460回に及んでいる。 事故時に発電所長らにあらゆる仕事が集中することを避けるため、1号機と2号機に事故収束に専従する指揮者をそれぞれ指名。福島第一原発事故では通信手段が限られ、指示や報告がうまく伝わらなかったことから、衛星携帯電話やトランシーバーなども常備した。 ■「万が一」に備え 福島第一原発事故は、津波による浸水などで全ての非常用電源が使えなくなった結果、原子炉の冷却機能が失われ、炉内の燃料が溶けた。格納容器の破損や水素爆発で、大量の放射性物質が敷地外に拡散した。 国際原子力機関(IAEA)は、事故の最終報告書案で「福島第一原発事故の主因は『大きな事故の発生は考えられない』という思い込みだった」と、重大事故対策の不備を指摘。新たに作られた規制基準は、こうした教訓を踏まえ、「事故は起こらない」という考えを排し、重大事故が起きることを前提にした対策を電力会社に義務付けた。 鈴木和彦・岡山大教授(システム安全工学)は、川内原発の安全対策について、「新基準に対応した設備の対策で、原発のリスクはかなり下がった」と評価。そのうえで、「『万が一』に備えた設備も多く、使いこなせるかは、発電所員の力量に委ねられる。訓練の継続で技術が維持できているかチェックしていく必要がある」と指摘している。 審査書案要旨 2014.7.17 13:23 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140717/dst14071713230003-n1.htm 【はじめに】 原子炉等規制法に基づき、九州電力が提出した川内原発1、2号機の設置変更許可申請書の内容が、発電用原子炉の重大事故の発生と拡大を防止するために必要な技術的能力や原子炉施設の位置・構造などについて、新規制基準などに適合しているかどうか審査結果を取りまとめた。 《設計基準》 原子炉建屋など重要施設について、再稼働に向けた新規制基準に基づく安全審査の結果が十分に反映されているかどうか確認する。 【地震による損傷の防止】 震源を特定した地震として平成20年の岩手・宮城内陸地震などを検討。さらに、震源を特定しない地震として16年の北海道留萌支庁南部地震を反映し、基準地震動(想定される最大の揺れ)を620ガルと設定。 【津波による損傷の防止】 最も影響の大きい琉球海溝北部から中部による津波(マグニチュード9・1)を基準津波(最大時の津波の高さ)と定義。最大水位上昇量は1・98メートル、最大水位降下量はマイナス1・60メートルで、干満との重ね合わせなどで遡上(そじょう)高さは最高で約6メートルとなる。津波が到達する可能性のある海水ポンプエリア(海抜5メートル)に防護壁や水密扉を設置する。 【外部からの衝撃による損傷の防止】 (1)竜巻 最大風速を毎秒92メートルとし、防護設計を行うため、余裕を持たせ毎秒100メートルによる設計荷重を想定。 (2)火山噴火 敷地から半径160キロにある39火山のうち将来活動する可能性がある14火山について、原発運用期間中に火山爆発指数7(9段階で上から2番目の規模の噴火)以上の噴火の可能性は十分に小さいと評価。指数6以下の噴火が起きても敷地への影響はない。 原発運用期間中の活動可能性が十分小さいものの、過去に影響が敷地に到達したことが否定できないとして、姶良(あいら)カルデラなどについては地殻変動の観測などのモニタリングを行い、噴火の可能性がある場合は原子炉停止や燃料の搬出を実施する方針を示した。 (3)外部火災 森林火災は現地調査などにより可燃性植物を設定した上で、解析で火災の到達時間を約5時間と算出し、防火帯などを設置。近隣の石油コンビナート爆発や、航空機墜落に伴う火災も想定し、影響が生じる距離や施設の強度を確認した。 【溢水(いっすい)による損傷の防止】 燃料貯蔵プールからの溢水など経路を設定する。影響軽減のため、施設の壁や扉の保守点検を徹底。重要設備が水を浴びても、安全性を保てるように防水機能などを強化する。 【不正アクセス対策】 安全保護回路のデジタル計算機は、盤を施錠するなど直接接続できないよう物理的に分離する。コンピューターウイルスが動作しない環境設計を構築し、パスワード管理により電気的アクセスを制限する。 【電源喪失対策】 (1)外部電源 500キロボルト送電線の1ルート2回線と、220キロボルト1回線の計3回線を確保。上流側の変電所が停止した場合でも、電気供給が停止しないことを確認した。 (2)非常用電源設備 ディーゼル発電機を2台設置し、発電用燃料は7日分以上の連続運転を可能とする燃料を備蓄する。2系統の蓄電池をそれぞれ別の場所に設置する。 《重大事故対策》 川内原発の安全機能の喪失を引き起こす事故シーケンス(事故で想定されるトラブルの流れ)が適切かどうか、原発で起こり得る重大事故を網羅的に分析し発生頻度や影響などを数値で示すPRA(確率論的リスク評価)などの手法により確認し、重大事故の拡大を抑える方法を審査した。事故を十分に収束できるかどうか有効性も見極める。 【炉心損傷の防止対策】 (1)2次冷却系からの除熱機能の喪失 炉心の熱を除去するための1次冷却系配管を冷やす「2次冷却系」が高温・高圧となり、配管の継ぎ目などから冷却水の漏洩(ろうえい)が続き炉心損傷に至る。対策として、ベント(排気)弁の操作などにより1次冷却系を強制的に減圧し炉心注水を行う。 (2)全交流動力電源喪失 交流動力電源で稼働するECCS(非常用炉心冷却装置)による炉心注水ができないため、1次冷却系から冷却水が失われ炉心損傷に至る。対策として、移動式大容量ポンプ車や高圧注水ポンプなどにより海水を注入する。 (3)原子炉格納容器の除熱機能の喪失 原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制できなくなり、原子炉格納容器内の最底部に設置された槽内の水が減圧して炉心注水ができなくなるため、炉心が破損する。対策として、高圧注入ポンプなどによる炉心への注水と合わせ、原子炉格納容器内最底部に設置された槽を正常化させる。 (4)原子炉停止機能の喪失 原子炉の出力を下げることができないため、1次冷却系の温度が上昇して高圧となり、配管の継ぎ目などから冷却水の漏洩が続き、炉心損傷に至る。対策として、蒸気を隔離し出力を低下させた後、ホウ酸注入で臨界を抑え、主蒸気逃がし弁の操作で1次冷却系を冷やし圧力を下げる。 (5)ECCSの注水機能の喪失 原子炉の冷却水喪失が起きた際、ECCSが自動的に稼働する。だが、ECCSも注水機能を失えば、炉心を冷やしている1次冷却系の冷却水が蒸発し、最終的に炉心損傷に至る。対策として、主蒸気逃がし弁の操作などにより、1次冷却系を冷やす2次冷却系を強制的に冷やした上で、ポンプなどで炉心への注水を行う。 【格納容器の破損防止対策】 (1)格納容器の過圧 水蒸気やガスの蓄積により格納容器内の圧力が上昇し、数時間後には容器が破損する。対策として、新設した常設電動注入ポンプにより、格納容器内に冷却のため水を注ぐ「格納容器スプレイ」を起動させ冷却。その後、新たに配備した大容量ポンプ車から送水した冷却水を注水し容器内の圧力を下げる。 (2)格納容器の過温 溶融炉心の崩壊熱などにより格納容器内の温度が上昇し、事故発生から数時間後には最高使用温度に達する。格納容器の過圧対策と同じ方法で収束が可能。 (3)圧力容器外の溶融燃料と冷却水の相互作用 水素爆発の可能性は極めて低い一方、溶融燃料に冷却水が接触して水蒸気が発生して圧力の急上昇が起こり格納容器が破損する可能性がある。常設電動注入ポンプにより格納容器スプレイでの減圧を行う。 (4)水素爆発 燃料を覆うジルコニウム製の燃料被覆管と水が反応して水素が発生。その水素が格納容器内の酸素と反応し、激しい燃焼が起こり破損に至る。川内原発1、2号機のような加圧水型軽水炉(PWR)は格納容器が大きいため、水素濃度が高濃度にはならない。低濃度状態で水素を燃焼させ、高濃度状態での大規模燃焼を防止する装置や、水素を安全に水に戻す水素再結合装置を新たに整備する。 【重大事故対処施設】 (1)地盤対策 免震重要棟の位置する敷地東部の断層の変位や後期更新世のうち13万から12万年前以降に動いた形跡はない。地盤沈下や液状化、地殻変動による傾斜などの影響も十分に小さい。 (2)地震対策 免震重要棟の耐震設計の目安となる基準地震動に、マグニチュード9級のプレート間地震などを想定した400ガルを設定。 (3)津波対策 原子炉建屋など設計基準の対象となる施設と同じ対策を施した設計とする。 【重大事故対処設備】 (1)手動により原子炉を緊急停止する「原子炉トリップスイッチ」の整備 (2)炉心注水の代替機能を確保するため、可搬型ディーゼル注入ポンプなどを新たに配置する。 (3)海水ポンプの代替となる移動式大容量ポンプ車を配備する。 (4)事故時に原子炉からの放射性物質拡散を放水によって抑えるため、屋外に放水砲などを設置する。 (5)外部電源喪失に備え、電源車や大容量空冷式発電機などを設ける。 (6)中央制御室は外部からの放射線防護を徹底し、1週間の被曝(ひばく)線量が100ミリシーベルトを超えないようにする。 【テロ対策】 故意による航空機衝突やテロリズムによる広範囲の損壊や機器の機能喪失に対応するため、原子炉建屋から100メートル以上離れた場所に、消火用具や放射線防護の資機材、通信手段などを確保する。 《審査結果》 九電が提出した設置変更許可申請書を審査した結果、新規制基準に適合していると認められる。
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