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災害政治利用現地視察より川内原発運転停止命令ー(植草一秀氏)
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16th Apr 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
昨日のブログ記事、メルマガ記事に
1596年に発生した慶長伊予地震、慶長豊後地震、慶長伏見地震について記述した。
420年前のことだ。
1596年9月1日に、愛媛の中央構造線・川上断層セグメント内M7.0規模の地震が発生。
3日後の9月4日に、豊予海峡を挟んで対岸の大分でM7.0−7.8の慶長豊後地震(別府湾地震)が発生。
この豊後地震の震源とされる別府湾−日出生断層帯は、
中央構造線と連続あるいは交差している可能性があるとされている。
さらにその翌日の9月5日、
これらの地震に誘発されたと考えられるM7.0−7.1の慶長伏見地震が京都で発生。
「こうした連鎖、連動関係に十分な警戒が求められる」
と記述した。
そして、4月14日のM6.5の地震に続き、4月16日午前1時25分頃に、M7.3の大地震が発生した。
熊本市では震度6強の強い揺れが観測された。
気象庁は4月14日の地震を4月16日の地震の「前震」とし、
4月16日の地震を「本震」であるとの「訂正」を発表した。
熊本ではさらに、
午前1時46分頃に 震度6弱
午前3時55分頃に 震度6強
午前9時48分頃に 震度6弱
の地震が観測された。
地震の震源は熊本、阿蘇、大分に分散している。
しかし、共通している点は、これらのすべてが
「中央構造線」
上で発生していることである。
1596年の
慶長伊予地震、慶長豊後地震、慶長伏見地震
は4日以内に連続して発生したものであるが、共通点は、これらの地震が
「中央構造線」
上で発生していることだ。
日本列島を縦断する
「中央構造線」。
この「活断層」が活動を活発化させていると考えられる。
阿蘇山が小規模噴火したが、当然、因果関係があると考えるべきである。
熊本から離れた地域でも、中央構造線上の地域では、連動する大規模地震の発生を警戒するべきである。
とりわけ、愛媛県の伊方原発と鹿児島県の川内原発は、この中央構造線上、あるいは、間近に立地しており、
特段の警戒が求められる。
私たちは地図で位置を確認するから、九州と四国、本州を別のものと勘違いしてしまいやすい。
しかし、離れているのは陸地の低いところに水が集まって、これが「海」と呼ばれているからだ。
しかし、この水たまりを除外して考えれば、全部つながっている。
そのつながっている地球の表面に亀裂が走っている。
これが「断層」と呼ばれるもので、この「断層」が時折ずれる。
この「ずれ」が地震である。
九州の八代湾から大分湾にかけて断層が走り、
この断層が四国北部を西南西から東北東に通過し、さらに淡路、京都につながっている。
九州の川内原発のあたり、愛媛県の伊方原発あたりで、大地震が発生する可能性は十分にある。
4月14日の地震で観測された地震加速度は、昨日記事に記述したように、
今回の地震による揺れの強さは、
1580ガル
だった。
この地震動は、
九州電力川内原発の耐震性能基準規制値 620ガル
をはるかに上回る。
四国電力伊方原発の耐震性能基準は 570ガルである。
福島の原発事故を受けて、規制基準は厳格化された。
これを安倍政権は
「世界でもっとも厳しい規制基準」
だと自画自賛しているが、今回のM6.5の地震によって観測された1580ガルの揺れをはるかに下回る。
これで「安全」などと言うならおへそでお茶が沸く。
川内原発は直ちに運転を中止するべきだ。
九州電力川内原発は、鹿児島県薩摩川内市に所在する。
川内市では1997年5月13日に発生した地震で震度6弱の揺れを観測している。
川内原発も中央構造線上、あるいは、そのごく近くに立地していると考えられる。
原発の耐震基準は、明らかに低すぎる。
日本では2008年6月14日に発生した宮城岩手内陸地震で、
4022ガルの地震動が観測されている。
したがって、全国の原発の耐震性能基準は、少なくともこの4022ガルを上回るものでなければならない。
ところが、
川内原発は 620ガル
伊方原発は 570ガルだ。
これでも、福島原発事故後に引き上げられた。
安倍政権が自画自賛する
「世界でもっとも厳しい規制基準」
だ。
川内原発は 372ガル から 620ガルに
伊方原発は 450ガル から 570ガルに
引き上げられた。
ところが、
東京電力柏崎刈羽原子力発電所1〜4号機
だけは、
450ガル から 2300ガルに
一気に引き上げられた。
元の水準は他の原発と変わらなかったのに、これだけが例外的に突出して高い水準に引き上げられたのだ。
その理由は、
2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震によって、東京電力柏崎刈羽原子力発電所第3号機で、
2058ガル
の地震動が観測されてしまったことにある。
だから、新しい規制基準では、東京電力柏崎刈羽原子力発電所1〜4号機だけ、耐震性能基準が
2300ガル
に設定されたのである。
東京電力柏崎刈羽原子力発電所5〜8号機は、
450ガル から 1209ガル に引き上げられた。
5〜8号機の基準が低く設定された理由を合理的に説明することはできない。
2008年に4022ガルの揺れが観測され、
2007年の地震で原発敷地内で2058ガルの揺れが観測され、
今回の4月14日の地震で1580ガルの揺れが観測されている。
実際に強い揺れが観測された柏崎刈羽原発の耐震性能基準だけが
実際に観測された揺れの水準に引き上げられ、
それ以外の原発の耐震性能基準はほとんど引き上げられていない。
このような不誠実な姿勢を、ほとんどの国民が知らされていない。
日本列島を縦断する巨大な活断層が活動を活発化させている疑いが強い。
このために、地震と火山の活動が活発化している疑いが強い。
安倍首相は現地が混乱しているにもかかわらず、4月16日に現地を視察する予定を発表した。
災害対策を政治的アピールとして利用しよとしたのだと思われる。
ところが、熊本県で余震が続くことが確認されると、突然、現地視察を取り止めてしまった。
我が身の安全を優先したのだろう。
こうした自己の利益優先の政府の姿勢は、国民の不信感を強めるだけのものだ。
現地の視察が必要と考えるなら、余震が続いている状況の方が、
さらに視察が必要ということになるのではないか。
本来は、そのような視察よりも、川内原発の運転中止を命じることの方がはるかに重要性が高い。
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