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日経新聞の大石格編集委員は改憲問題にこだわっているが、安倍首相は、すでに憲法第九条は対象にならないと明言している。
また、改憲勢力が国会議員の3分の2を確保したとしても、自民党のなかでさえ改憲に対する思いは様々だから、条文というかたちの具体的な改憲案がそう簡単にまとまるわけではない。
14年4月の消費税増税までの1年間、かりそめでも景気が良くなったのは、ひとえに円安基調のおかげである。
円安基調ゆえに、グローバル企業の収益増加を期待して株価も上昇したのである。株高が資産効果で一定の消費拡大に貢献した。
(爆買いの中国人をはじめとする訪日観光客の急増も、円安に負う部分が大きい)
そして、円安基調をもたらした要因は、黒田日銀「異次元金融緩和」政策ではなく、欧州銀行(債務)危機の終息である。
ユーロ建て債券を保有するリスクを回避するために日本円建て投資に動いた流れが、リーマンショック以後とりわけギリシャ危機以後の円高基調をもたらした要因である。
その流れを逆転させたのが欧州中央銀行の南欧諸国国債無制限購入宣言であり、宣言があった12年9月をもって円高の流れに終止符が打たれ、円安傾向に転じた。
グローバル企業の円ベース利益が増加する理由で株高を支えてきた円安傾向は、黒田氏が日銀総裁に就任する前から始まっており、その意味で、13年段階からすでにアベノミクスは景気と無関係なのである。(アベノミクスは膨らんだ国債残高のスムーズな管理を企図した政策)
日本経済は、90円台→100円台→110円台→120円近傍という円安の流れに終止符が打たれたことで(米国FRBの金利政策の影響)、かりそめの好景気さえ再現しない条件になった。
仮に、安倍首相が来年4月の消費税増税を中止するという判断をすれば、(違憲だが)衆議院を解散して総選挙で信を問うほかない。
そうでなければ、首相に実施の判断が委ねられていた15年10月消費税増税を延期したことで信を問うた14年末の解散・総選挙との整合性が採れない。
一方、既定方針通りに来年4月に消費税を10%に引き上げれば、経済はさらに悪化し多数派の国民生活もより厳しいものになる。
いずれにしろ18年末までには否応なく総選挙をやらなければならない。経済が悪化した状況で総選挙を迎えれば、韓国の総選挙でわかるように、政権与党が惨敗する可能性が大きい。
そういうことで、安倍政権が課された“使命”を果たすために長期政権を望むなら、7月の参議院選挙に合うタイミングで来年4月の消費税増税を中止すると表明し、解散・総選挙に動くほかないのである。
(安倍首相の“使命”とは、前々から書いているように日朝国交正常化の実現である)
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[風見鶏]「寸止め」という選択肢
消費増税で景気が後退する来年4月以降の衆院選は自民党に不利である。参院選での野党共闘にひびを入れるには衆院選をぶつけるのがいちばん簡単だ。今年夏は衆参同日選があると読むのが政治の常識である。
1983年も似たような年だった。干支(えと)は亥(い)年。12年にいちど春の統一地方選と夏の参院選が重なる年だ。次の選挙まで間がある地方議員の動きが鈍り、亥年の参院選で自民党はいつも苦戦を強いられてきた。
秋にはロッキード事件で起訴された田中角栄元首相の一審判決がある。有罪は必至である。その前に衆院選を終えたい、というのが自民党の大勢だった。
この2つをみたす解は夏の衆参同日選しかない。当時の中曽根康弘首相は就任直前の82年秋に最大派閥のオーナーである田中氏と会った際、早々と「6月にダブル選をせよ」と厳命されたそうだ。
それだけに中曽根氏が83年4月に「解散見送り」を表明すると、野党も含めて政界は耳を疑った。
自民党は6月の参院選はダブル選で圧勝した3年前を1つ下回るにとどめた。だが、10月の田中有罪判決を受けた12月の衆院選は案の定、勝てなかった。単独過半数を6議席も下回り、新自由クラブとの連立でかろうじて政権を維持した。
なぜ中曽根氏はあえて不利な戦いを選んだのか。同日選見送りを表明する前日の日記にこう書き残している。「ここで解散をやれば鈴木氏の権威は落ちる」。中曽根氏の前の首相で、鈴木派を率いる鈴木善幸氏は田中支配が強まると福田赳夫氏との角福戦争で党が空中分解すると懸念。同日選に内々、反対していた。
選挙後、中曽根氏はいわゆる田中影響力排除声明を出し、幹事長を田中派の二階堂進氏から鈴木派の田中六助氏に交代させる。田中派で竹下登氏による代替わり狙いのクーデターが起きるのはこの1年後だ。
中曽根氏は選挙に負けることで自身を首相に押し上げた恩人の田中氏の力をそぎ、政局の主導権を握って長期政権への道を開いた。恐るべき深謀遠慮である。
3月の本欄で今年夏の参院選の見通しについて(1)衆院選との同日選(2)消費増税の先送り――などの後押しがあれば、改憲勢力が3分の2に「達しない方が驚きである」と書いた。
達したら改憲を求める声はいまの比ではすまない。保守派は安倍晋三首相の強力な応援団だが、2年以上も靖国神社に参拝しないなど現実路線をとっていることにはかなりの不満を抱いている。改憲の国会発議を可能にするだけの議席を持ちながら「様子をみよう」で納得するだろうか。
問題はさらにその先だ。国政選ではアベノミクスに期待して自民党に投票したが、改憲は反対という有権者は少なくない。国民投票で改憲案が否決されたら、ときの首相の退陣は避けがたい。吉田松陰に心酔する安倍首相でも確たる見通しなしに「無志はおのずから引き去る」ではあるまい。
改憲勢力が3分の2に届かなければ保守派との摩擦は起きない。自民党が改選51議席を上回りさえすればいちおうの勝利であり、政権への打撃にはならない。長期政権への一番の近道は「寸止め」である。そう考えれば、同日選である必要はなくなる。
現職議員が大型連休に選挙区を走り回ったら解散風は止められなくなる。だから中曽根氏はその前に決断した。安倍首相はどうするだろうか。24日の衆院補欠選挙に敗れて「おじけ付いて見送った」では格好が付かない。決断は意外に早いかもしれない。
(編集委員 大石格)
[日経新聞4月10日朝刊P.2]
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