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2016年04月14日 「ジャーナリスト同盟」通信
<神道を軸にした宗教政治イデオロギー>
安倍内閣を背後で操る日本会議は、どうやら新興宗教・生長の家教団が神社本庁と深く連携・関与して立ち上げた政治組織であることが分かってきた。生長の家という新興宗教は、むろんのこと一般人はわからない。早大中退の谷口雅春が創始者。彼は皇室の宗教である神社神道を軸に宗教政治イデオロギーを打ち立てたとされる。そうして、右翼勢力に食い込んだ。一時は自民党右翼グループと連携して、政治の分野に深く食い込んだが、現在は、一歩距離を置いた、と報じられている。人脈をたどると、中曽根康弘と谷口、谷口門下の玉置和郎・村上正邦と中曽根の深い関係を見てとれる。
<反共・反憲法の岸信介人脈>
戦後の右翼政治の系譜は、東條内閣の商工大臣で敗戦時、A級戦犯となった岸信介と、もう一つが海軍主計中尉の中曽根康弘である。両者の間に、戦後右翼暴力団のドンといわれた児玉誉士夫が君臨してきた。児玉と同様の笹川良一は、岸人脈に接触して、その後継者と安倍はゴルフ仲間ともなっている。中国にも羽を伸ばしている。
日本右翼の共通点は、靖国信仰・国家神道復活・改憲軍拡に特段の関心を抱いていることだが、これは神社神道を正当化(国家神道復活)するための行き着く先でもある。日本国憲法が否定する天皇制国家主義である。
ちなみに、岸人脈は福田赳夫・安倍晋太郎・石原慎太郎・森喜朗・小泉純一郎・平沼赳夫・安倍晋三らで、森の「日本は天皇中心の神の国」という時代錯誤の宗教イデオギー論者で知られる。
現在は、日本会議の誕生によって、岸と中曽根の二つの右翼勢力が一体化したことになる。ここが深刻な日本政治を現出させている元凶である。その政治思想は、神道信仰と谷口信仰の合体で、カルト・神がかりに特徴がある。
<「人間は神の子」と谷口イデオロギー>
キリスト教徒なら「人間は神の子」といっても不思議はないだろうが、多くの日本人にとって「日本人は神の子」といわれてもピンとこない。むしろ不気味に映るだろうが、これこそが谷口宗教なのだ。
神は、天皇のことであろう。「天皇は神」、「国民は神の子」は、まさに戦前の天皇制国家主義の祭政一致の政治体制を意味する。生長の家の教義は、神道を礼賛することにあるらしい。
<皇国史観>
「天皇中心の神の国」という明治の天皇主義の観念が、谷口の皇国史観を現出することになるのであろうか。神がかりの歴史認識は、近代合理主義を前提とした客観的な史実とかみ合うことはない。
アジア諸国との歴史認識の大きすぎる落差は、この皇国史観に発する。靖国神社の歴史館は、これに従っているといって、リベラル派の加藤紘一(元自民党幹事長)らが強く反発、指摘している。
皇国史観を受け入れる国は、目下存在しないだろう。谷口教は、国粋主義に立った主張なのだ。
<「日本国憲法は日本弱体化のため」と決めつける>
すなわち、天皇中心の神の国を否定した日本国憲法を、谷口は「日本弱体化のため」と決めつける。自民党右翼議員の認識でもある。
生長の家が自民党右翼と連携・一体化する理由なのだ。戦後体制の破壊が、谷口イデオロギーにほかならない。
<「戦前の大日本帝国憲法に復元せよ」と叫ぶ>
「戦前の大日本帝国憲法に復元せよ」と叫ぶ谷口の訴えに共鳴する政治グループが、今の安倍・日本会議の本音に相違ない。平和憲法を敵視する日本会議の立場ということになろうか。
さすがに、戦後体制を正当化しているワシントンなど欧米諸国や侵略された隣国の反発を想定して、日本会議の面々は言葉を濁しているが、その正体はこの谷口イデオロギー?で露呈している。
<玉置和郎の宗教政治研究会>
この谷口の熱心な信者が玉置和郎だった。彼は右翼系の教団の票をちらつかせて、議員の取り込みに躍起となった。
筆者の現役時代には、なんどか国会裏手の1億円マンション内の広い玉置事務所をのぞいたものだ。元秘書の話では、事務所内の金庫には、数十万円や数百万円の札束が、いくつも積んであった。「株にも手を出して資金を集めていた」という。
右翼の宗教票と金を武器にして、彼はとうとう大臣ポストをつかんだ。中曽根内閣である。中曽根と谷口の仲を利用したと見られた。
<村上正邦が日本会議の黒幕?>
玉置の秘書からのし上がった政治屋が、村上正邦である。彼も谷口と中曽根の関係を利用して、ついには「参院のドン」と言われるような実力をつけた。しかし、自身の腐敗の発覚で検察に逮捕、有罪判決を受けたが、出獄するや、最近の情報では彼が力づくで「日本会議」を発足させたようだ。
村上の配下の者が安倍ブレーンとの声も聞く。村上事務所は、玉置が活躍した1億円マンションにある。事務所内に谷口の色紙を掛けている、との報道もあった。
<中曽根康弘の陰謀>
平和憲法破壊に執念をたぎらせた岸と中曽根である。
二つの右翼人脈を「日本会議」で、1本に束ねた中曽根と彼の広報官のような読売のナベツネの二人三脚の実績なのか。
両者の強みは、1%・財閥を糾合した点にある。さらに言うと、集票マシーンで知られる創価学会をからめとったことだ。改憲3分の2議席確保へとまっしぐらだ。
既にNHKも抑え込んだ。日本国内に敵なしの布陣に驚くばかりだ。まさに、それゆえに、日本共産党が清水の舞台を飛び降りたのだろう。民主と維新は、合体して民進党を誕生させた。小沢の生活・吉田の社民も、必死となって野党統一に政治生命をかけている。
「戦争か平和か」の戦いを目前にして、安倍内閣は日本社会をハチャメチャにするTPP先送りを決める。それを読売が公表した。10%消費税も凍結するはずだ。
改憲・戦争勢力と、リベラル・平和勢力の戦いの序盤戦が、北海道5区の衆院補欠選挙(24日)だ。結果いかんで、日本会議・中曽根の陰謀の行方が決まることになる。
2016年4月14日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)
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