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自民党党大会で「絶対に負けるわけにはいかない」と参院選へ向け決意を表明した安倍首相(写真:共同)
燻る消費増税延期論、財政再建公約は反故? 増税延期=同日選のシナリオが消えない
http://toyokeizai.net/articles/-/112033
2016年04月09日 山田 徹也 :東洋経済 記者
「リーマンショックや大震災のような事態が発生しないかぎり、来年、(消費税率を10%へ)予定どおり引き上げていく考えに変わりはない。衆院解散は頭の片隅にもない」
2016年度予算が成立した3月29日、安倍晋三首相は会見で従来の表現を繰り返し、再延期観測を打ち消した。
しかし、「デフレ脱却には思ったより時間がかかっており、増税するとインフレ期待が高まらなくなる。延期を決断するのではないか」(モルガン・スタンレーMUFG証券のチーフエコノミスト、ロバート・フェルドマン氏)などという、見方が消えない。
5月18日には16年1〜3月期の四半期GDP(国内総生産)速報値の発表、5月26日からは日本が議長国を務める伊勢志摩サミットを控える。内閣支持率を見極めつつ、7月の参議院選挙を衆参同日選にするのかを含め、5月に消費増税の可否を判断するとの見方が浮上している。
■GDP不調、冴えない個人消費
1〜3月期の実質GDP成長率についてエコノミストらの予想の平均は0.81%のプラス(3月のESPフォーキャスト調査)。ところが、成長率、消費者物価ともに、下方修正が続く。17年度の成長率は今回初めてマイナスと見込まれるなど、日本経済の先行きに明るい展望が描けない。
アベノミクスがスタートして3年経ったが、円安株高になったとはいえ、個人消費は冴えない。GDPの約6割を占める家計最終消費支出は、8%への消費税率引き上げ直前の、駆け込み需要のあった14年1〜3月期の約314兆円を例外に、近年は300兆円付近で推移。過去3四半期は300兆円を割り込む。
年間80兆円の増加ペースという、すさまじい規模の国債を日本銀行が買い占めても、事態は好転しない。金融政策の限界が強く意識される中、アベノミクスの軸足は少しずつ財政出動に移りつつある。
「日本の累積債務は大きいが、財政出動すべきだ。金利がマイナスということは、財政出動のニーズがあるということで、債務の懸念はゼロではないが、自国通貨で借り入れているかぎり、ギリシャのような危機は起きない」
3月中旬に開催された安倍首相肝いりの国際金融経済分析会合で、米ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授はこう述べた。
■「無責任な金融政策と大胆な財政政策」の誘惑
1998年に同教授は「将来高い物価水準を目指すために、中央銀行が無責任になることを、信用してもらえる形で約束できれば、金融政策は効果を持つ」と述べていた。が、15年に米紙に「日本再考」というコラムを掲載し、無責任な金融政策と大胆な財政政策の組み合わせが必要だと、軌道修正を図った。
だが、仮に消費増税を見送り、当座の消費低迷は避けられたとしても、日本財政の持続可能性の問題が消えてなくなるわけではない。
財務省が15年に財政制度等審議会に出した日本財政の長期推計によれば、60年度以降に債務残高対GDP比を安定させるためには、現行制度を前提とすると、20年度時点で必要な収支改善幅は、GDP比で9.53〜11.12%、50兆円程度になる。
前出のフェルドマン氏が、必要な財源調達額は60兆円との前提で講演会の参加者らに財政再建の進め方を尋ねたところ、「消費税率16%と社会保障費の35%削減」と「消費税率22%と社会保障費の23%削減」という組み合わせを支持する人が多かったという。増税だけでなく、より一層の歳出削減が必要と考える人が増えている。
■格下げで国債が売られるリスクも
29日に成立した16年度予算案では、改善されたとはいえ国債依存度は35.6%。消費増税を先送りすれば、20年度の基礎的財政収支黒字化の政府公約は実現不可能だ。
メリルリンチ日本証券の大崎秀一・チーフ金利ストラテジストは「日本国債の格下げリスクがある。格下げされても安全とみられ、逆に国債が買われることもあったが、最近は海外勢の買いが増加していることもあり、一時的に売られるリスクもある」と言う。日本国債の格付けは現在シングルAだが、トリプルB格に引き下げられれば担保価値が下がり、国債の売却を迫られる投資家も出てくる。
新たに発足した民進党の岡田克也代表は29日、消費増税の可否について「判断するのは秋」と述べたが、安倍自民党との違いを打ち出す、いいチャンスなのではないか。衆参同日選になるにせよ、ならないにせよ、先々の負担も含め、消費増税の可否を国民に問う。そんな機会がこの夏、やってくる。
(「週刊東洋経済」2016年4月9日号<4日発売>「核心リポート03」を転載)
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