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悪がますます肥えていく 「パナマ文書」こそデフレの正体
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/179047
2016年4月8日 日刊ゲンダイ 文字お越し
屁とも思っていない2人(C)AP
タックスヘイブン(租税回避地)への法人設立を代行するパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の金融取引に関する内部文書が大量に流出。今では「パナマ文書」として知られるようになった機密文書が世界を揺るがしている。
過去40年にわたって記録した1100万件以上の文書の電子データの容量は2.6テラバイトに上る。iMacの最高級モデルのハードディスク容量に匹敵する膨大なデータを、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が分析すると、衝撃の事実が判明。各国の首脳や首脳経験者12人を含む政治家など140人がタックスヘイブンを利用して莫大な富を隠していたのだ。
文書に名前が記されていたのは、ロシアのプーチン大統領の側近、中国の習近平国家主席ら最高指導部3人の親族。さらにパキスタン、ウクライナ、マレーシアなどの現役首脳の親族……。いずれも秘密のダミー会社や、オフショアと呼ばれる規制逃れの取引を用いた巧妙な手口で、課税を逃れていた疑いがある。
裕福なブローカーだった亡父の名前が記されていた英キャメロン首相は、G8などで課税逃れを批判してきただけに大打撃である。貧困層への福祉支給を減らそうとしているタイミングでの醜聞炸裂で、首相本人の取り調べを求める声が高まっている。
世界のトップに先んじて辞任したのは、アイスランドのグンロイグソン首相だ。リーマン・ショックの影響で国がデフォルトしたのに、自身と裕福な夫人が世界有数のタックスヘイブン、英領バージン諸島に資産を隠し持っていたのだから、国民の怒りの火の粉をかわせるわけがない。
経済アナリストの菊池英博氏はこう言った。
「国民に税を課し、時には強制的に徴収する国家のトップが、恐らくは親族らの名義を借りてダミー会社をつくる。そして資産をタックスヘイブンに移し、課税を逃れるなんて、モラルもへったくれもありません。しかも、その資産を同じくタックスヘイブンに籍を置くファンドに預け、あらゆる国のマーケットで株価をつり上げ、配当利益を得ていく。
マトモに課税されていれば、自国の社会基盤の整備や国民の福祉に使われたはずのカネが、ひたすら指導者個人のキャピタルゲインを増やすためだけのマネーゲームに費やされてしまう。結局、そのカネは自国に何も生み出すことはないのですから、本当にヒドイ話です」
パナマ文書が暴いたのは、権力者のおぞましいまでの拝金主義、株価至上主義、配当至上主義である。
どうせ捕縛されないとタカをくくる支配層
再び怒りの声を上げろ!(C)AP
これだけフザけた実態が明るみに出ながら、アイスランドの首相のように権力の座を追われた世界の指導者は、極めてまれだ。
ロシアの大統領報道官は「プーチン大統領に対する根も葉もない攻撃だ」として、パナマ文書の内容を否定。「虎もハエもたたく」と綱紀粛正を看板にしてきたはずの中国の習近平指導部は、パナマ文書について徹底した報道規制を敷いた。NHKの国際放送が現地でパナマ文書のニュースを伝えた途端に画面は真っ暗になるほどで、臭いモノにはフタの強権姿勢を貫いている。
資産隠しの疑いが明らかになった世界の指導者が開き直っていられるのにはワケがある。タックスヘイブンで資産や企業を保有し、金融取引を行うこと自体は違法ではない。ダミー会社を通じた怪しげな取引も一概に違法性があると決めつけることはできないのだ。
今回の騒動について、オバマ大統領は「多くの取引が合法で、それがむしろ問題だ」と指摘したが、その通りだ。道義的な責任はどうあれ、いくら資産隠しの巧妙な手口を法的に追及されたところで、多くの指導者は訴追できっこない、とタカをくくっているのだ。
だから、権力を持つ者はますます居丈高になる。人口の2割が1日1・25ドル以下で暮らす超格差社会のパキスタンでは、文書に名前が出てくるシャリフ首相が「自らの財産は合法的に獲得したもの」と強弁し、腹立たしげに辞任要求をはねつけた。首相の娘は「証明せよ、さもなくば謝罪せよ」とわざわざツイッターで発信した。
とことん、庶民をなめきった態度だが、筑波大名誉教授の小林弥六氏は「残念ながら、それが世界の現実です」とこう続けた。
「国家の指導者や富裕層たちは、しばしばタックスヘイブンを悪用しており、その大部分は違法スレスレの脱法取引である。パナマ文書は、そんな専門家なら長年知っていた事実を改めて確認したものに過ぎないのかも知れません。本来、資産隠しを取り締まる立場の国家の指導層が率先して脱法取引に精を出していれば、法で縛り切れないのは当然です。自国では規制される課税逃れや不当蓄財、資金洗浄など闇の“悪行”が、ひとたびタックスヘイブンに資産を移せば法に問われない。こんなデタラメの限りが、ホンの1%の支配層だけには許されてしまう。悪徳の極みです」
■もはや資本主義に「希望」の2文字はない
パナマ文書流出を受け、アメリカ、フランス、ドイツ、オーストラリア、韓国などの司法当局が調査に着手。マネーロンダリングや脱税にいたるまで汚職の有無を調べるというが、どうせ、型通りの捜査を行って、ウヤムヤ決着となるに決まっている。
08年に世界4位の銀行、HSBCのスイス支店で13万件の秘密口座の顧客データが流出した事件も、そうだった。顧客データを盗んだのは、同支店でシステム管理を担当していた“金融界のスノーデン”こと、ファルチアーニという男だ。
顧客データには欧州の名だたる政治家や大企業のオーナーの名前があり、秘密口座が巨額脱税に利用されていた実態が明るみに出た。ところが、疑惑が浮上した大物には誰ひとりとして司法のメスは及ばず、スイス当局に国際手配されたファルチアーニは逮捕されてしまった。
「偉ければクロでもシロになる」というのは何も日本だけの格言に限らず、かくして莫大な資産がタックスヘイブンに流入している。ボストン・コンサルティング・グループの試算によると、2014年にオフショア取引に流出した私有財産は前年比7%増の11兆ドル、日本円にして約1200兆円に上った。特にアジアと中東からの資金が増えているという。
「これだけの規模の資金がアングラ市場に流出せず、マトモな使われ方をすれば、世界レベルのデフレ不況はアッという間に片付きます」とは、前出の菊池英博氏の言葉だが、富が集中する「1%」の支配層には自分の資産が大事。菊池氏は「パナマ文書は強欲資本主義の成れの果て。すでに一握りの支配層は完全に人間らしさを喪失していることを証明したのではないか」と嘆いた。
「パナマ文書は、いきなりパンドラの箱を開けてしまったようなもので、その衝撃は計り知れません。国際レベルで、富める者と貧する者との経済格差がケタ違いに広がりつつある中、ここまで権力者や富裕層の腐敗をまざまざと見せつけられたら、“マジメに働くだけ損”という風潮が蔓延しかねません。支配層が『報酬は労働の対価』という経済の根幹を進んでブチ壊し、庶民の怨嗟をあおる。国際社会全体で人心が荒廃し、秩序を失っていく。世界経済は未曽有の混乱に陥り、朽ち果てていくことでしょう。改めて資本主義は限界に近づいているな、と思えてなりません」(小林弥六氏=前出)
今回のパンドラの箱の底には「希望」の2文字はなさそうだ。
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