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事なかれ主義テレビ界に一石投じた 佐藤浩市の“反骨直言”(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/916.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 05 日 15:50:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

           テレビ界の矜持が問われている(C)日刊ゲンダイ


事なかれ主義テレビ界に一石投じた 佐藤浩市の“反骨直言”
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/178700
2016年4月5日 日刊ゲンダイ


 いまのテレビドラマのあり方に一石を投じた俳優・佐藤浩市(55)のインタビューの波紋が日に日に広がっている。

 先月30日付の朝日新聞朝刊に掲載されたもので、〈ナショナリズムに訴えかけるようなドラマしか、もう残された道はないんだろうか。冗談ですが、そんなことを口にしたくなるほど、テレビドラマの現状は方向性を見失っていると思う〉と厳しい意見を言い放っているのだ。

 これまで佐藤は踏み込んだ社会的、政治的な発言はほぼ皆無だっただけに、驚きとともに、業界の惨状を目の当たりにして言わずにいられない俳優としての覚悟が伝わる内容。

 ドラマの制作現場は自主規制でがんじがらめで、事なかれ主義に陥っており、自身が数年前に出演したあるドラマではこんなエピソードがあったそうだ。〈昭和30年代の雰囲気を描こうと会議中に皆が喫煙したら、相当数のクレームが来たことがあって。その後、同様の場面は姿を消しましたね〉。

 時代考証すらも曲げてしまう、そんな表現の自由を放棄した風潮は〈自らの首を絞めていくだけ〉という佐藤の言葉に、「身につまされた」と嘆くのは、某民放キー局プロデューサーだ。

「シートベルト着用が義務化されてからは、刑事ドラマの十八番であるクルマで逃走するシーンは激減しました。私有地で撮影すれば未着用でもぎりぎりセーフなんですが、放送後の反響を考えたらリスキーなことは最初から避けますね。こうした問題は情報系番組の現場でも言えること。ある地方ロケでは、町中で首輪をつけてヤギの散歩をしていた住民に偶然遭遇して話を聞けたものの、結局、地方自治法の動物愛護に違反する可能性があるからと自主規制をかけてお蔵入りになりました。テレビ全体がクリエーティビティーは二の次で、リスクヘッジが最優先となっています」

 今回の佐藤のインタビュー記事を読んだ上智大の碓井広義教授(メディア論)は、「勇気ある発言」とこう続ける。

「いまどきのテレビ界は何か意見すると敬遠されたり、偏見の目で見られる雰囲気があるが、50代半ばという年齢に差しかかり、彼の中で言うべきことは言わなければならないと腹をくくったのでは。もっとも、文化は社会とリンクして生まれるもの。今回の発言は放送界に限った話ではなく、日本社会が抱えている問題の指標にもなり得る。反権力や反戦争の姿勢を貫いた三国連太郎さんの反骨精神のDNAを受け継いだように感じます」

〈この島国では残念ながら、個人が自由に発言できる状況にはないのが現実だと思います〉とインタビューを結んだ佐藤の直言。テレビの現場に関わる人間全ての矜持が問われている。


関連記事
佐藤浩市がテレビの萎縮・右傾化に危機感表明!「このままだとナショナリズムに訴えるドラマしか残らなくなる」(リテラ)
http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/745.html
 

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コメント
 
1. 2016年4月05日 16:06:53 : IqOA04gWVw : z38eP0JbuBw[4]
方向性見失うテレビドラマ、希望はどこに 佐藤浩市さん
2016年3月30日09時53分 朝日新聞

 ナショナリズムに訴えかけるようなドラマしか、もう残された道はないんだろうか。冗談ですが、そんなことを口にしたくなるほど、テレビドラマの現状は方向性を見失っていると思う。

 若い視聴者におもねって失敗し、それならお年寄りが安心して見られるようにと医療ものと刑事ものに走った。でも、どっちに日和(ひよ)ったところで数字はとれない。悩んでないテレビマンなんて、いま一人もいないでしょう。

 お茶の間に届けるテレビドラマにも、かつては映画のようなイデオロギー性をはらむ、偏った番組が放映される余地がありました。それがいつしか、どこからもクレームがつかない安全な方向を向いていく。僕のドラマでも数年前、昭和30年代の雰囲気を描こうと会議中に皆が喫煙したら、相当数のクレームが来たことがあって。その後、同様の場面は姿を消しましたね。

 これだけ視聴者の裾野の広いメディアだけに、難しさはあるでしょう。でもそうやって現場で自主規制を重ね、表現の自由を放棄してしまっては、自らの首を絞めていくだけです。

 ではなぜ、僕がテレビドラマを続けていくのかといえば、映画表現とは別にやれることがあるという希望を、捨て切ってはいないからでしょうね。

 番組に参加する以上、できる限り監督やプロデューサーと話をするんです。台本に縛られず、三次元のテイストを出せないか。つまり説明的ではないせりふや肉体の表現によって、見る側に伝播(でんぱ)させることはできないか。10回という連続ドラマのもつ面白さをもっと生かす可能性もあるのでは? 配役も、その俳優おなじみのイメージを安易に反復せず、視聴者を裏切っていっていい、と提案しています。

 老若男女、生きてきた場所も経験も違う人たちにボールを投げるためには、高度な技術が必要です。だからこそ真剣な対話をあきらめない、スタッフとの「しがらみ」が、希望の源になっているのかもしれません。

 昨年、「戦後70年 千の証言」という番組で、ナビゲーターを務めました。反戦メッセージなどというつもりはない。残り少なくなった当事者の人たちに、どんな心境で戦地へ赴いたのか、肉声を聞きたかった。役者としての欲求で受けた仕事です。

 欧米に比べ、日本の俳優には社会的発言が少ない? スポンサーとの関係性という、海外にはないしくみの違いはあるでしょう。それと、世間もメディアも我々に社会的、政治的発言を求めていない側面もある。この島国では残念ながら、個人が自由に発言できる状況にはないのが現実だと思います。(聞き手・藤生京子)

     ◇

 俳優・佐藤浩市さん 1960年生まれ。80年にデビュー、映画とテレビで活躍。主演映画「64―ロクヨン―」前編が5月7日、後編が6月11日から公開予定。

http://www.asahi.com/articles/ASJ3R4S9ZJ3RUPQJ00W.html


2. 2016年4月08日 19:23:36 : FfzzRIbxkp : 2g2OgjP8du4[192]
このお話を読んでから、少しの間考えました。
何を見失っているのだろうかと。

頭の中に浮かんできたのは、ニューシネマ・パラダイスの最後のシーン。


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