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2016年03月29日 (火) 午前0:00〜[NHK総合TV]
時論公論 「民進党結党~自民党の対抗勢力となりうるか?」
安達 宜正 解説委員
民進党が結党しました。今夜はこの新党が自民党の対抗勢力となりうるか、そして、夏の参議院選挙への影響を考えます。
参議院選挙に向けたギリギリのタイミング。私は今回の動きを取材し、これが新党の結成を促したというのが正直な印象です。4年前、民主党の政権転落、第2次安倍政権の発足以来、国政選挙で与党の圧勝が続き、自民党の一強多弱、安倍安定政権が続いてきました。民進党代表に就任した岡田氏は野党がバラバラの状態で参議院選挙を迎えれば、与党の勝利を許すという危機感を抱き、それが新党の結成につながりました。
民進党には民主党、維新の党など衆参156人の国会議員が参加しました。400人を超える自民党とは国会議員の数を見る限り、差はありますが、野党第1党としてはそれなりの勢力を確保することになります。
新党は主要政策に格差是正を掲げ、安倍政権のもとで教育、子育て、雇用などの分野で格差が拡大していると批判。その是正に取り組むとしています。また、きょう施行される安全保障関連法の廃止を求めています。参議院選挙を意識、安倍政権との対決姿勢を前面に打ち出しました。
ただ、この新党が自民党に対抗できる政党になれるかどうか、疑問視する声もあります。1つは新党の人事。もう1つは国民の視線です。まず1つ目。新党の人事です。岡田代表と枝野幹事長。民主党の人事を引き継ぐ形となったことに加え、代表代行には維新から江田元代表が就任しました。政調会長には当選2回の女性、山尾志桜里氏が就きましたが、トップ3が同じような顔触れでは清新なイメージはない。何も変わらないという声が出ています。2つ目。国民の視線です。NHKの今月の世論調査です。
新党に期待するは25%、期待しないが70%にも上っています。しかも、無党派層でも期待しないが期待すると答えた人を大きく上回っています。
結党前、民主党では代表選挙の実施を求める意見があがりましたが、執行部がそれを受け入れなかった経緯もあります。岡田代表は党大会で「代表として、すべての責任を負う」と、参院選の結果によっては代表を退くことも辞さない覚悟で臨む考えを示しましたが、党内にも不満を抱えた船出となりました。
もっとも執行部は参議院選挙に向けた、もう1つの対策を用意しています。共産党・社民党・生活の党との連携強化。事実上の選挙協力です。参議院選挙の勝敗は全国32にある定員1人の1人区の行方で決まると言われています。
実際、過去3回の選挙見ると、平成19年の選挙。この時は29の1人区のうち、23を獲得した民主党などが圧勝。次の22年、前回・25年の選挙は自民党が1人区で勝ち、全体でも勝利しました。
この1人区で野党4党は候補者の1本化を進め、これまでに32の1人区のうち、少なくとも11で調整が整ったか、整いつつあります。ほかの選挙区でも協議が行われています。各選挙区で共産党は強固な固定票を持ちますので、選挙情勢に変化を産むと言う見方が与野党双方にあります。
また、比例代表。社民・生活両党には民進党との統一名簿を期待する声があります。民進党にも岡田執行部にさらなる野党結集に動くべきだと言う声があります。非自民票のより大きな受け皿とするためです。
こうした状況にあって、安倍総理は参議院選挙を、「民共対自公の戦い」と指摘。自民党の閣僚経験者も「民進党結党は問題ではない。野党4党の野合を有権者がどう受け止めるかだ」という見方を示しています。
こうした発言の背景には▼民進党内外の、共産党アレルギーを刺激したいという想いがあります。具体的には▼共産党との連携に民進党議員を刺激し、分断を図ること、▼選挙の争点を体制選択選挙と位置づけ、民進党から有権者の離反を誘うことです。
さらに安倍総理が参議院選挙とあわせ、衆議院選挙を実施する、衆参同日選挙に踏み切るのではないかという見方が出てきました。安倍総理は伊勢志摩サミットに向け、ノーベル経済学賞の受賞者など、世界的に著名な経済学者から意見を聞いています。この中には来年4月に予定されている、消費税率の10%への引き上げ見送りを求めている学者も含まれ、こうした学者からは想定通りの提言を受けています。
安倍総理が増税見送りを決断したうえで、衆議院を解散、同日選挙に踏み切るための環境整備に動きだしという見方が出るのも、うなずけます。自民党には参議院を中心に同日選挙を歓迎する声があります。有利な戦いができるという期待感からです。同日選挙となれば▼野党各党はそれぞれの公認候補を当選させるための活動に専念しなければならず、選挙協力どころではなくなる。▼衆参一体で組織をあげて選挙が戦える。さらに▼サミット直後、しかも消費税率引き上げ見送りを掲げることによって、外交と経済に焦点があたり、安保法制や憲法改正問題への関心が相対的に下がると言う見方からです。
過去2度行われた同日選挙はいずれも自民党が圧勝しています。ただ、いずれも与野党の勢力が伯仲していたなかで衆議院解散。選挙制度も中選挙区制度でした。しかし、現状は衆議院で与党が3分の2を確保しています。与党にも小選挙区比例代表並立制という、現在の選挙制度のもとで行うのはリスクが大きいとの、指摘もあります。小選挙区制は選挙結果にブレが大きく、与野党逆転もありうるからです。安倍総理が実際に同日選挙に踏み切るかどうかの見方は分かれ、野党をけん制しているだけという声もあります。
実際、同日選挙が囁かれて以降、衆議院選挙に向けた連携をめぐり、民進党とほかの野党3党の間でズレも出ています。衆院選でも候補者調整を求める共産党や社民党などに対し、民進党には慎重な意見があります。衆院選は次の総理大臣を決める選挙。ここで共産党と協力すれば政権をともにすることを意味するという理屈からです。しかし、民進党は来月の衆議院北海道5区の補欠選挙ではすでに共産党と連携しています。国政選挙ごとに対応が分かれる、民進党の姿勢こそ整合性がない、これこそ国民に分かりにくいという不満もあります。
これまで見て来ました通り、民進党の結成、野党4党の連携強化は政府・与党側にも、対応を急がせています。一方で、民進党が自民党と対抗しうる政治勢力になれるかどうかは今の段階では未知数です。かつてリクルート事件で自民党が窮地に陥った時、党長老・伊東元外務大臣の「表紙を変えても、中身が変わらなければダメだ」という有名な言葉があります。
今回の新党にも表紙を変えただけ、中身は変わらないという冷ややかな声があることも事実です。これを払しょくできるかどうか。民進党の党名には「国民とともに進む」という意味が込められているといいます。それならばなお、これまでとどこがどのように違い、何がどう変わるのか、それを国民にわかりやく示し、何よりも国民に受け入れられるかどうか。新党の命運はそれにかかっているように思います。
(安達 宜正 解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/241036.html
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