http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/560.html
Tweet |
民主党はなぜみすみす再生のチャンスを逃したのか? 党首を変え、経済政策を変えれば可能性はあったのに…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48287
2016年03月28日(月) 高橋 洋一「ニュースの深層」 現代ビジネス
■自ら再生のチャンスを逃してしまった
27日、民進党が衆参両院議員合わせて156人の参加によって旗揚げした。
民進党は、1996年に誕生し、結党20周年目となる民主党が党名を変更することによって誕生した形だ。ただし、英語名はDemocratic Partyと以前のDemocratic Party of Japanとほぼ同じであり、なんとも中途半端だ。かつて、財務省は大蔵省から名称変更したが、そのときの英語表記はMinistry of Financeとそのままにして、対外的には同じ、国内的には一応名称変更したというのを彷彿させた。
代表は岡田克也氏、幹事長に枝野幸男氏は、政調会長は細野豪志氏に代わり山尾志桜理氏を起用した。
政治的にいえば、もったいないチャンスを逃したものだ。せっかく伝統ある名前を変更したのだから、一気にイメージ・チェンジして政権時の失敗を払拭すべきだった。代表は蓮舫氏、幹事長に山尾氏を抜擢すればよかったのだ。
かつて英国労働党が41歳のトニー・ブレア氏を党首にして政権交代したときの手法を学べば、政治的には40歳代を中心にして、さらに安倍政権の向こうを張るなら、女性の代表、幹事長コンビで刷新すべきだった。
ただし、政策は今のままでは駄目だ。少なくともマクロ経済政策の基本を押さえてもらいたい。その上で、憲法、格差など価値観の違いによって差が出るものについては、おおいに政策論争してもらえばいいだろう。
民進党はマクロ経済政策の基本ができていない、ということについて、先週末、筆者はツイッターでいくつかつぶやいた。そのなかから一例を挙げよう(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/713325852537192448)。
<スティグリッツとクルーグマン。彼らは日本を知らないとか言っているエア御用人がいるけど、全く失礼だね。そもそもそのエア御用人は彼らとまったく面識もない。多少とも知っていれば、彼らがきちんとした日本の情報提供を受けているのがわかるはずだが。英語もまともにできないからやむを得ない>
これは、池田信夫氏のコラム(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46435)について、冷やかしたものだ。そのコラムの中にはGDPのグラフがあるが、季節調整済みではない原系列の数字を使っている、論評する以前の欠陥があり、吹き出しものだ。データリテラシーがないのは日本のマスコミの特徴であるが、その典型である。
■経済政策は簡単に予想できる
冷やかしついでに、
<デタラメ情報。クルッグマンらは日本を知らないという嘘情報はかつて日銀の十八番だった。陰で言っているやつに「実際に会ったことがあるのか」と聞いたらだんまり。本人に確認したら知らないとの返事。エア御用人はT大某ゼミ出身といい教官をDISっていたが、その教官に確認したら「いたかよく覚えていない」との返事>
ともつぶやいた(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/713329852070305792)。
それに対して、何を勘違いしたのか、民主党の長島昭久氏(@nagashima21)から、
<アベノミクスの支持者がスティグリッツ教授をもて囃す図には違和感。同教授は、たしか安倍政権のようなGDP拡大至上主義を強く戒めていたはず。GDPでは測れない国民の福利厚生や教育、とくに幼児期教育の重要性や格差是正を強く訴えて来た学者。>
という返答があった。
長島氏は、外交や安全保障について、きわめて見識が高く、民主党内でもしっかりとした意見の持ち主であると筆者は思っている。ただし、経済分野は苦手なのかこの返答は意外だった。
これに対して、筆者は、
<スティグリッツ氏はかつて政府紙幣も言っていたし、金融緩和+積極財政というマクロ政策を私は評価します。残念ながら民進党のマクロ経済政策は金融引締+緊縮財政なので、これと真逆ですね。それでは雇用を確保できないでしょう>
と返答した(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/713351994585403392)。
さて、民進党のマクロ経済政策である。これは代表が岡田氏、幹事長が枝野氏ということから、簡単に推測できる。
岡田氏は、先日ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ・米コロンビア大教授が訪日したときに、意見交換をしている。そのとき、岡田氏は「日本は過大な債務が企業の投資や個人の消費の妨げになっている」として、財政健全化を主張した。これに対して、スティグリッツ氏は「今、消費税を上げたら経済は弱体化し、状況はさらに悪くなる」と反論した。いずれにしても、岡田氏は財政再建主義者である。
■甚だ疑問の珍理論
枝野氏には、かねてより「金利を上げれば経済成長する」という持論がある。筆者にはどうしてもこの「理論」がわからない。
これまでの経済理論では、実質金利を下げれば経済拡大になり、その効果が大きいか小さいかは議論になるが、金利を上げて経済成長というのは、高校レベルでの教科書にも書かれていない。
枝野氏は、異色の「金融引締め論者」である。というか、因果関係を完璧に間違えているのだろう。経済成長すれば、経済活動が盛んになって金利が上昇するが、金利を先に引き上げたら金融引き締めとなって経済活動は萎縮する。
こうしたことから、民進党は金融引締と緊縮財政を採るとみていいだろう。その結果、政府が国債を発行して、それを日銀が買い取り金融緩和することを極端に嫌うことになる。
実際、岡田氏は3年前に岩田規久男副総裁が選任される国会同意人事の際、日本国債について、自身のブログ上で「国債の買い入れについて、懸念されるのは、財政赤字のファイナンスを日本銀行がすると見られることである。そう見られてしまえば、国債の格下げや長期金利の上昇ということにつながりかかねない、大変リスクが高い」と述べている。
国債の買い入れ残高については、2013年3月20日で125兆527億円だったが、2016年3月20日には352兆8120億円となっている。黒田日銀体制になってからしっかりと日銀は国債を買い入れている。
ところが、岡田氏の見通しはまったく間違っていた。金利については、10年国債金利で2013年3月25日0.558%であったが、2016年3月25日には▲0.1%である。長期金利は上昇どころか、マイナスにまで低下している。
しかも、2013年2月の失業率は4.3%だったが、その後、低下し、2016年2月は3.2%となった。岡田氏は代表として民進党を指導していくわけだが、左派政党として肝心要の雇用確保のパフォーマンスでも明らかに自民党に負けていてはマズイだろう。
さらに皮肉なことに、2015年12月28日付け本コラム「「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした〜それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう!」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156)で書いたように、岡田氏がいう財政再建も同時に達成されようとしている。
■まったくの方向違い
筆者は、政党によってマクロ経済政策の基本に違いがあってはマズイと思っている。というのは、ここで間違うと、雇用の確保というマクロ経済政策で最も重要なところで間違ってしまうからだ。
その上で、格差問題、中小企業や地方経済をどの程度重視するのか、福祉厚生、教育、環境のどこに力点が置くのかなどは好みの問題であり、いろいろな政党が価値観の違いを出せばいいと思っている。
民進党の場合、それ以前の問題であるマクロ経済政策でまったく方向違いであるのが、大問題である。その背景には、格差、福祉厚生、教育、環境を重要視すると、同時に経済成長を否定してしまう戦後の「へたれ左翼思想」がある。
経済成長を否定すると、必然的に雇用の確保まで否定することになる、ということまで頭が回らないのは、傍から見ていて痛い限りだ。
筆者は、ゲーム論的な見方で政治と経済を考えている。その前提は、与野党ともに合理的な戦略を採るというものだ。
この観点から、自民党が消費増税をスキップして大型経済対策とともに、ダブル選を行うというのは、ある程度合理的な戦略である。
しかし、筆者はそのシナリオの可能性が高いといいながら、民進党の出方をみたうえで、自民党が戦略の練り直しをすることもあるとみて、ナイーブに「ダブル選がある」と決め打ちするのは避けてきた。
ダブル選を主張する人に対して、その可能性はあるが、民進党が間抜けである、ということが前提になっているともいってきた。
今回の民進党の動きをみると、対与党戦略としては明らかに合理的でない。女性の代表・幹事長コンビで、金融緩和・積極財政に舵を切るのが合理的な戦略であった。そうなっていれば、自民党はダブル選を仕掛けにくくなっただろう。
この民進党の動き方は、安倍政権からすれば戦を仕掛けたくなるものだ。北海道衆院補選という不確定要素は残るものの、ダブル選挙の可能性はまた高まっただろう。
民進党の結党大会に呼ばれた学者は、相変わらず「非正規雇用ガー」と言っていた。昨年12月21日付け「民主党は雇用政策のキホンすら知らないのか…安倍政権批判のつもりが、自らの経済オンチっぷりを露呈」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47022)を読んでいないのだろうか。
さらに、岡田代表は挨拶で「民進党」を「新進党」と言い間違ってしまった。なにやら将来を暗示しているようで、いまから気がかりだ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK203掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。