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日銀の黒田総裁(C)日刊ゲンダイ
無知な日銀総裁と身勝手首相では不幸だ 日本経済一歩先の真相 高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/177935
2016年3月25日 日刊ゲンダイ
いやはや、驚いた。日銀の黒田総裁はグローバル時代を理解していないらしい。黒田総裁が無知をさらけ出したのは、国際金融経済分析会合の初回の席。ゲスト参加した米コロンビア大のジョセフ・スティグリッツ教授に「不可思議なことがある」と切り出し、あきれた質問を投げかけた。
「急速な賃上げが起きるのが普通だと思われるが、実際の賃上げのペースは緩い」
本人は異次元緩和の“黒田節”で、企業収益は伸び、雇用も改善したと思い上がっているのだろう。そこで、ベア幅さっぱりの今年の春闘にイラ立っている。インフレ目標2%が、はるかかなただからだ。焦る気持ちを質問に込めたのかも知れないが、ノーベル経済学賞に輝いた世界的エコノミストも面食らったに違いない。優しくたしなめるように、「失業率はもはや労働市場を正確に表していない」「失業率とインフレ率の関係も瓦解してきている」と応じた。
スティグリッツ教授のコメントは、グローバル時代の“模範解答”だ。ヒト・モノ・カネが国境を飛び越え、自由に行き来する時代には、かつての経済概念は通用しない。国境の垣根を前提とした古い経済学は死んだも同然なのである。
黒田総裁の質問は、古い経済学の常識に依拠したものだ。政府の有識者会合で、口にすること自体が恥ずかしい。現在の世界経済の枠組みを理解していない日銀総裁と、一国の財政問題を身勝手に扱おうとする首相が経済の舵取り役を担っているのだ。これでは日本経済はとても良くはならない。国民にとって不幸な状況である。
消費税10%の先送りについては多くを語る必要はない。日本の財政再建という大きなテーマを「政争の具」にする時点で、首相失格。かような人物に国政を委ねるべきではない。
増税を先送りすれば、国民の負担はもちろん、軽くなる。そこで、先送りを名目に衆参ダブル選に打って出れば、確かに人気取り策にはなる。だが、日本政府はGDPの2倍強、1000兆円を超える世界一の債務残高を抱えているのだ。この問題解決に一筋の光を見つけたのなら、いざ知らず、選挙目当ての先送りは、一国のトップとしての責任放棄に等しい。
しかも、安倍首相は14年11月の最初の先送り会見で、「国民全体の所得を押し上げ、消費税率引き上げに向けた環境を整えることができる」と国民に約束した。この間、「3本の矢」を2度も放ったのに成果なし。今年は一段と厳しい景気の冷え込みが予想される。
この公約違反の責任を取ることが、安倍首相には先決である。そして、今の時代を踏まえた新たな経済の舵取り役を据えなければ、日本は沈没してしまうに違いない。
高橋乗宣エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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