http://www.asyura2.com/16/senkyo203/msg/355.html
Tweet |
大企業も春闘失速…中小企業と弱者の惨状
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/177876
2016年3月23日 日刊ゲンダイ 文字お越し
安倍首相(C)日刊ゲンダイ
世間は桜の開花にはしゃいでいるが、この間にも恐ろしい勢いで、日本経済はヘタっている。それに拍車を掛けているのが、安倍政権のトンチンカンな経済政策だ。
ズバリ、弱者を切り捨て、消費を完全に冷え込ませ、経済の血を止めてしまうような政策である。
こんなデタラメを続けさせていたら、庶民はあっという間に奈落の底に沈んでしまう。北朝鮮のミサイルは将来の脅威だとして、経済の方は今、現実に起こっている人災なのである。
たとえば、安倍首相が今年も「賃上げ」を呼びかけた官製春闘。結果はトヨタでさえ、要求額の月3000円ベアに対して1500円という渋チンに終わった。大メディアは「ベア失速」なんてのんきに書いていたが、日本企業の99%は中小企業なのである。こちらの方はどうなっているのか。新聞はちっとも書かないが、悲惨の一語だ。
信金中央金庫の調査では昨年、中小企業の賃上げ実施率はたった28%だった。昨年は官製春闘の効果もあって東証1部の上場企業の9割が賃上げしたのに、中小は違った。今年は、その上場企業さえヘタっている。トヨタの社長まで「経営環境の潮目が変わった」(豊田章男氏)などと言いだしている。中小企業はボロボロなのだが、安倍政権は昨年11月、最低賃金を今後、毎年3%ずつ引き上げることを明言した。そうしないと、2020年にGDP600兆円に達しないからだ。自分で花火を打ち上げ、そこから逆算したのである。
さあ、そこで何が起こるか。減収減益の企業がどうやって賃金を上げるのか。
最低賃金が上がれば、それに伴ってパートの時給が上がる。世の中、全体の人件費が上がっていく。上げなければ、人材が逃げてしまう。いずれにしても、企業の負担は増して「間違いなく倒産が増える」(東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏)ことになる。
■減収減益企業に退場を迫る冷血政治
最低賃金の引き上げは一見、弱者にやさしい政治に見えるが、現実は違う。ない袖は振れない企業に退場を迫る冷血政策なのである。
「与党から消費税10%凍結発言が相次いでいることからも分かるように、景気の先行きは非常に厳しい。だから、大企業も賃上げできないのですが、中小企業はもっと厳しい。昨年9月の段階で、資本金1億円未満の中小企業5万社のうち、増収増益は28・1%しかなかった。27.7%が減収減益でした。これがさらに悪化しているわけですから、賃上げを迫っても、どだい無理な話なんです」(友田信男氏)
こうなる理由はハッキリしている。大企業は自社の社員の給料は上げても、部品メーカーにはコストカットを迫る。だから、中小企業は減収減益になる。社員をリストラし、給料を下げざるを得なくなる。政治が切り込まなければならないのはここであって、大企業の春闘だけ見ていたってしょうがないのだ。
それなのに、安倍政権は儲かっている大企業には法人減税という果実を与えて、見返りにガッポリ政治献金をせしめた。その一方で、赤字企業からも税金をふんだくる外形標準課税を強化、拡大した。
今のところ対象は資本金1億円超の中堅企業だが、政府与党の税制大綱にはバッチリ、次のように書かれている。
「(資本金1億円以下の中小企業への外形標準課税の拡大を)引き続き慎重に検討していく」
参院選が終われば「待ってました」で資本金1億円以下の企業にも外形標準課税をかけてくる。そうなれば、中小企業はまず持たない。人件費高騰と課税強化のダブルパンチだ。
政府の試算によると、資本金1億〜10億円の中堅企業の場合、赤字の4800社が平均300万円の負担増になるという。所得1億円以下の6000社も平均300万円の負担増になる。一方、資本金10億円超所得10億円超の大企業は平均6700万円の減税になるというから、ふざけた話だ。血も涙もないというか、正義もヘッタクレもありゃしない。
大豪邸減税のトンチンカンで見えた正体
最低賃金デモ(C)日刊ゲンダイ
安倍首相は倒産件数が24年ぶりに1万件を割ったことも自慢しているが、従業員5人未満の零細企業の倒産は過去20年間で最悪になっている。これがアベノミクスの現実で、要するに金持ち優遇、大企業優先、弱者切り捨てそのものだ。これでは個人消費も増えないし、景気も上向かないが、安倍は平気だ。GDPは金持ちや大企業が引っ張っていけばいい。そんな魂胆だからである。
それを物の見事に表しているのが、昨今問題になっている3世代同居減税だ。
安倍の肝いりで国交省の最優先事項になった減税で、風呂、トイレ、台所、玄関のうち2種類以上の設備を複数にするリフォームには費用の10%(最大25万円)が所得税から戻るというもの。どでかい2世帯住宅減税だ。若い女性は親との同居なんて望んじゃいないし、そもそも誰がこんな豪邸を建てられるのか。
笑っちゃうようなデタラメ減税なのだが、安倍は「社会保障をはじめ、あらゆる社会システムの中、その負担を軽減する制度改革を議論すべきだ。3世代の近居や同居を促しながら、現代版家族の絆の再生を進めていきたい」と2年前に語っていた。この発言からは、家父長制度を復活させて、家にいる女性が子供を育てるべきだという安倍流「美しい国」が透けて見える。安倍の頭の中には、子供を保育園に預ける発想そのものがないのだろう。貧乏人や弱者は「美しい国」の足を引っ張る「コスト」という感覚なのではないか。
このトンチンカンや無知、冷血ぶりは犯罪的と言ってもいいくらいなのだが、折も折、同志社大教授の浜矩子さんが毎日新聞のコラム、「危機の真相」(3月19日)でこんなことを書いていた。日本は「地下経済化している」というのである。
■庶民が不条理を放置していいのか
〈人々は自己防衛のために地下に逃げ込まざるを得なくなるかもしれない。善良な人々による地下経済の誕生だ。現に今の日本でその兆候が表れている。日銀によるマイナス金利政策が発表されるや、人々は金庫の購入に走った〉
〈カネは、天下の回りものでなくてはいけない。ところが、人々が不安に駆られると、カネの回り具合は悪くなる。(中略)そこにマイナス金利時代到来のニュースが追い打ちをかけた。もはやこれまでと、人々は地下に潜ることを考え始めている〉
金庫が売れる、金も人気だ。こうした人々の言動は戦中戦後の預金封鎖を連想させる。その背景で共通しているのは、政府の経済政策や貨幣への拭い難い不信感だ。それが人々を地下経済へ、闇市へと走らせるのか。
「まさしく、その通りだと思います。このままではどんな目に遭わされるか分からない。マトモな人であれば、みんなそう思っていると思います。それは国が財政破綻する、円の信用が毀損する。そういう話だけではなく、“保育園落ちた、日本死ね”という怒りに象徴されるように、この政権に対する不信です。人を人と思わない。関心がない。ただ、強い国家を目指す。一握りが引っ張る強い経済を目指す。それに役立つものだけを引き立て、そうでない人やモノは切り捨てる。そういう政権の正体が見えてしまった。だから、何をされるか分からないと皆が身構え、地下に潜ろうとしているのです」(浜矩子氏)
浜氏のコラムは〈真面目で普通な市民たちが、地下経済づくりに追い込まれる。こんな不条理が起こっていいのか〉と締めくくられていたが、その不条理がまさしく今、起こっている。この政権を続けさせ、夏の参院選で勝たせたら、それこそ日本の庶民はオシマイだ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK203掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。