2016年3月21日(月) NHK日曜討論 市田副委員長の発言 20日のNHK「日曜討論」での日本共産党の市田忠義副委員長(参院議員団長)の発言は次のとおりです。 「アベノミクス」 「アベノミクス」の破綻、事実が示す 冒頭、安倍政権の経済政策「アベノミクス」が議論となりました。自民党の溝手顕正参院議員会長は、「アベノミクス」の効果が着実に浸透していると自賛しました。野党各党は「アベノミクス」の失敗は明白だと批判しました。市田氏は次のように語りました。 市田 景気がよくなったという実感がまったくないという方が「読売」の最近の調査で84%でした。これは世界経済の影響とか暖冬が理由ではありません。「アベノミクス」の破綻、安倍失政と呼んでもいい。「アベノミクス」の一番の基本は「大企業のもうけが増えればやがてそれが雇用や家計や賃金にまわってくる」という考え方で、大企業を応援し、法人税の減税もしました。結果どうなったかというと、大企業の利益は史上最高、内部留保も300兆円を初めて超えました。ところが実質賃金は4年連続マイナスで5%減っています。年収400万円の人だったら20万円の目減りです。雇用が良くなったとおっしゃるが、増えたのは非正規雇用がほとんどです。個人消費は安倍政権になって4兆円もマイナスになっているわけで、「アベノミクス」は明確に破綻したことは事実が示しています。そこから切り替えて、家計を温めて暮らしと経済を立て直していくことが必要です。 消費税増税 国民1人あたり8.1万円の負担増――10%なんて論外 次に、来年4月の消費税率10%への増税をめぐって、安倍氏のブレーンやノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ氏が凍結・反対を表明したことなどが話題に。自民党の溝手氏は「税率を上げたら経済にマイナスという観点から見れば2人の言ったことは間違いない」と述べながら、「財政健全化は最終的には正しい選択になると思う」と語りました。市田氏は次のように指摘しました。 市田 暮らしも経済も景気も財政も悪くする消費税の増税はきっぱり中止すべきです。先ほど(溝手さんは)世界経済の影響で日本経済も影響を受けているとおっしゃった。しかし、消費税率を8%に引き上げたら日本経済は破綻するとわれわれは警告していました。安倍さんは、増税の影響は一時的なもの、ワンショットだとおっしゃっていましたが、予算委員会でのわが党の追及で「家計消費の落ち込みは自分たちが予想していた以上の落ち込みで、しかも長引きの度合いも自分らが予想していた以上の想定外だ」ということをお認めになった。もともと税率5%を3年間で10%にするとしていたのを、一気にやると抵抗が大きいから2段階でまず8%にしました。8%の段階でもうこうなっているわけですから、10%なんて論外です。だいたい世界の国々で3年間で消費税率を倍にした国はありません。日本の歴史の上でもない。10%になると13兆円、1人あたり8・1万円の負担増です。これはきっぱりやめるべきです。 公明党の魚住裕一郎参院会長は「税率を引き上げられる経済をつくっていくことが大事だ」と主張。参院選の前に引き上げを予定どおり行うか首相が決断した方がいいかと問われた自民党の溝手氏は「参院選前の方がよい」と答えました。 待機児童問題 公立の保育所を増やし保育士の待遇をきちんと改善することが必要 「保育園落ちた」という匿名ブログをきっかけに大きな問題となった待機児童の問題が議論されました。市田氏は次のように主張しました。 市田 この問題で大事な点が二つあります。10年以上前から待機児童問題は深刻な問題になっていたわけで、それに必要な手だてが講じられてこなかった。一つは、公立保育所が減り続けている問題です。10年間で2400カ所減っています。運営費と整備費が一般財源化されたために、保育のために使うお金が何に使ってもいいということになったために、保育にあてられなくなった。もう一つは、保育士の待遇です。一般の産業と比べると月給で11万円くらい安い。保育士さんの資格をもっている人、潜在保育士は76万人います。しかし、待遇が悪すぎるために続けられない。国の公定価格が低すぎ、補助金の単価が低いために給料が安いわけですから、公立の保育所を増やすことと保育士の待遇をきちんと改善することが必要です。だいたいEU(欧州連合)だったら保育などにかけるお金はGDP(国内総生産)比1%ぐらいなのに、日本はわずか0・45%で低すぎます。ここを抜本的にかえるべきです。 討論では、「本当に現在の公立中心でやるのがいいのか」(自民党の溝手氏)、「保育の形態をいろいろつくるべきだ」(おおさか維新の党の片山虎之助共同代表)などの主張が出されました。市田氏は反論しました。 市田 先ほど民間にもっと任せたらという話があった。この間も、規制緩和がずっと続けられてきました。しかし、民間任せにすることによって国や自治体の関与外に置かれて、保育事故が起こったり、器だけつくってそこに人をいっぱい詰め込むというやり方は児童福祉法の精神にも反するわけです。財源で一言いうと、やはりお金の集め方と使い方かえなければいけません。集め方では、大企業と富裕層に応分の負担をしてもらう、税金はもうかっているところにきちんと払ってもらう。使い方では、軍事費は5兆円を初めて超えました。私たちはこれを全部削れとはいいませんが、軍事費や「思いやり予算」、政党助成金をカットするなど、使い方と集め方を変えていけばいくらでも財源はうまれます。 憲法問題 憲法と戦争法は両立しない――9条守れの世論と結び奮闘 安倍首相が憲法改定を「在任中に成し遂げたい」などの発言を繰り返していることがテーマとなり、首相の発言を「評価する」が40%、「評価しない」が54%というNHK調査が紹介されました。市田氏は次のように語りました。 市田 安倍首相自身が、改憲勢力で3分の2以上を占めて明文改憲を目指すということを公言されています。ずばり狙いは9条です。安倍さんはこうおっしゃっている。「7割の憲法学者が自衛隊は憲法違反だといっている。だから9条を変えるんだ」と。こういうときだけ憲法学者を持ち出す。それを言うのだったら、95%の憲法学者が安保法制=戦争法は憲法違反だと言っているわけですから、安保法制=戦争法を廃止すればいい。ところが安倍さんは「閣議決定」で集団的自衛権の行使を容認して、海外で戦争できる国をつくる戦争法を強行しました。憲法と戦争法は絶対矛盾、両立し得ません。憲法9条との矛盾を、解釈改憲だけでなくて明文改憲までやることによって「解決」しようとしている。いま、戦争法廃止、立憲主義回復という希望ある道か、それとも戦争国家、独裁国家への道かが問われています。世論は憲法9条を変えてほしくないというのが圧倒的ですから、そこに依拠してがんばっていきたい。 参院選にむけて 戦争法廃止と立憲主義回復へ1人区では野党共闘進め、共産党の躍進へ力尽くす 最後に、夏の参院選にどう臨むか各党が一言ずつ発言しました。 市田 戦争法を強行した自公とその補完勢力を少数派に追い込んで安倍政権を退陣に追い込んでいく。民主主義・立憲主義・平和主義が輝く新しい政治の扉を開きたい。そのために、戦争法廃止と立憲主義回復で一致する野党がしっかり力をあわせて、1人区ではしっかりした野党共闘を進め、日本共産党自身の躍進のために力を尽くしたい。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-03-21/2016032104_02_0.html 2016年3月21日(月) 共産党躍進で暴走に終止符、政治の転換を 京都 志位委員長が訴え http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-03-21/2016032101_02_1.jpg (写真)志位和夫委員長が訴えた街頭演説=20日、京都市・京都駅前 大河原予定候補訴え 3カ月後に迫った参院選で、戦争法(安保法制)廃止・立憲主義回復を求める「野党は共闘」の市民の声に応え日本共産党の躍進を何としてもと20日、JR京都駅タワーホテル前で志位和夫委員長を迎えた党街頭演説が開かれました。子連れの女性など足を止めて聞き入り聴衆の輪が時間とともに膨れ、熱気に包まれました。「民意に逆らって進めてきた安倍政権の暴走はどの分野でも破たんしつつあります。日本共産党を躍進させていただき、この暴走に終止符を打ち、政治の転換をはかる選挙にしていこうではありませんか」との志位委員長の力を込めた訴えに「そうだ」の声援と大きな拍手がわき起こりました。 大河原(おおかわら)としたか京都選挙区予定候補は盛んな声援のなか、「普通に働いて暮らす当たり前のことが、難しくなっている社会を変えたい」「憲法まで変えようというとき、京都から正義を貫く議席を」と支持を訴えました。 志位氏は、参院選の対決構図は「『自公とその補完勢力』対『5野党プラス市民・国民』です」と切り出し、全国32の1人区のすべてで野党共闘の態勢をつくり、勝利へ全力をあげると表明。4月の衆院京都3区補選について「共産党との共闘をかたくなに拒む京都の民主党の態度はたいへん残念だ」としつつ、「5野党合意を誠実に実行するという大局に立って、候補者を擁立せず自主投票を決めました。『野党は共闘』の市民の声に応えた一番道理ある態度だと確信しています」と述べると、大きな拍手がわき起こりました。 志位氏は比例で8人以上の党躍進とともに、改選数2議席、大激戦の京都選挙区で、「数々の不当解雇事件やブラック企業問題などの裁判に取り組み、『若者に希望を』と頑張ってきた正義の青年弁護士、大河原としたかさんを必ず勝ち抜かせてください」と訴え。京都で共産党は2013年参院選でも14年総選挙でも比例で自民党に次ぐ第2党、地方議員数で断トツの第1位だとして、「京都で勝たずしてどこで勝つか。何としても勝利へ押し上げてください」と力いっぱい訴えると、聴衆は大きな拍手で応えました。 志位氏は、戦争法をそのままにしておくわけにはいかないとして、(1)自衛隊が「戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出す」現実的危険(2)民主政治の土台である立憲主義の破壊(3)明文改憲という三つの大問題を告発。「『戦争法廃止、立憲主義回復』という希望ある道に進むのか、解釈改憲に続く明文改憲によって戦争国家、独裁国家へと転落するのか。日本の政治は歴史的な分かれ道に立っています」と強調し、共産党躍進で、「自民、公明とその補完勢力―おおさか維新に厳しい審判を下そう」と呼びかけると、「そうだ」の声と大きな拍手が飛び交いました。 志位氏は、安倍暴走政治がどの分野でも破たんしつつあることを、格差拡大の「アベノミクス」、「原発固執政治」、強権的な沖縄米軍新基地建設という三つの点で解明しました。 ―アベノミクスのもとで大企業が史上最高の利益をあげる一方、労動者の実質賃金は4年連続のマイナス。消費税8%増税で家計消費のマイナスが続き首相も「予想以上に消費が落ち込み、予想以上に長引いている」と認めた。「アベノミクス」を中止し、格差をただし経済に民主主義を。 ―「原発安全神話」が国民の中で完全に崩壊し、原発なしでもやっていけることが国民的体験を通じてすっかり明らかになった。稼働中の高浜原発の運転停止を命じた大津地裁の仮処分決定は「新規制基準に適合したからといって安全とは言えない」と断じた。全国の原発再稼働を中止せよ。 ―沖縄米軍新基地建設をごり押しする日米両政府は「オール沖縄」の声に追い詰められている。米国に対して普天間基地を無条件に返せと要求せよ。 それぞれの転換を訴えると、聴衆は共感の拍手で応えました。 志位氏は、いまなぜ日本共産党の躍進が必要かについて、(1)安倍政権の暴走に確かな足場をもって対決し、転換の展望を示す(2)国民の共同、野党の共同を何よりも大切にし、共同の力で政治を変える(3)安倍政権に代わる政権構想「国民連合政府」を提唱している―の三つの値打ちを強調。「日本共産党の躍進で、『国民連合政府』の扉をこじ開け、立憲主義・民主主義・平和主義を貫く新しい政治、すべての国民の『個人の尊厳』を守り、大切にする社会をつくるために力を合わせよう」と力強く呼びかけると、大きな拍手が鳴り響きました。 志位委員長の訴えを聞いた京都府向日市の女性(62)は「5野党の合意は歴史的です。本気で共同を追求する共産党を伸ばしたい。学費の問題でも、学生の声を聞いて具体的な政策を打ち出したし、共産党を大きくして、市民のための政治を実現したい」と話しました。 私たちの声が社会変える 岡野・西郷・毛利氏ゲストスピーチ ゲストスピーカーに、岡野八代・同志社大学大学院教授、「安保関連法に反対するママの会@京都」メンバーの西郷南海子(みなこ)氏、毛利崇(そう)弁護士が登場し、応援演説に立ちました。 岡野氏は「個人の尊厳を大切にする憲法に違反しても平気な政治家だけは選べない。野党共闘に向け、自民・公明とそれを補完する勢力に立ち向かう日本共産党を応援させていただく」と訴えました。 西郷氏は「この場に立ったのは、人の痛みを感じとる政治家を増やしたいと思ったから」と強調。そして「武器ではなく、暮らしにお金が回るようにしましょう。私たちの声には社会をかえる力があります。私たちの居場所から私たちの声をあげていきましょう」と力を込めました。 毛利氏は「大河原予定候補は弁護士として不当な解雇など困っている実態によりそい手弁当で活動してきた。政治の場で無視された声を大河原予定候補で実現させよう」と述べました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-03-21/2016032101_02_1.html
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