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「民進党」をナメてはいけない〜合流の舞台裏と、自民が怖れる共産党との連携の可能性を明かそう
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48177
2016年03月16日(水) 鈴木哲夫 現代ビジネス
■「参院・民主惨敗」のデータが岡田を変えた
民維合流についての報道は、あまりにネガティブなものが多すぎる。岡田・松野両氏とその周辺を取材し続ける鈴木哲夫氏は、「民維合流のうえに共産党が絡めば、自民党候補を破る選挙区が続々現れる」と指摘する。
民主党と維新の党の間で合意した「合流・新党結成」について、マスコミ各社はまるでそれが「急転直下」の出来事であるかのように伝えた。民主党執行部は合流に慎重か反対しており、維新のほうもいつまで待っても話が進まないなら破談にする、という前提だったからだ。
一方で、私は昨年12月以降、再三「いまの民主党の看板や陣容ではもう戦えないと、岡田克也代表は分かっている」と書いてきた。岡田氏とサシで会談してきた他の野党幹部らを取材し、岡田氏の覚悟を聞いていたからだ。つまり、岡田氏と維新の党の松野頼久代表は、「合流」や「新党」の必要性について、一貫して共通認識をもっていたのである。
岡田氏の意思は確かに分かりにくい。身内の民主党議員さえ「元々、確実なこと以外は口数が少ない」(幹部の一人)と言うほどだ。またその手法も、反対意見などをじっくり聞いて熟慮の末決める、そして決めた後は揺るがない、というものだ。
しかし、岡田氏が積極的に他の野党幹部や有識者、そして、維新との合流には慎重な地域の支部組織などと会合を重ねる過程を取材すると、「合流」「新党」に向かっているのは明らかだった。
たとえば、「地域事情が複雑な支部を積極的に密かに訪ねて話をしていた」(連合幹部)。「バリバリ解党・新党派の江田前共同代表とは、実は水面下で頻繁に会って意見交換してきた。解党する気がないなら何度も会わない」(維新幹部)。という話からも推察できる。
さらに、驚くことに、野党の新党結集派である生活の党の小沢一郎共同代表と秋以降、少なくとも6回は会っていたのだ。こちらも「新党という考えがなければ、小沢さんとはそんなに何度も接触しない」(民主党関係者)。
このほか、現在落選中の元政務三役経験者も昨年秋以降度々岡田氏に会っているが、「民主党では戦えない、新党しかないという声が支援者には強いと言ったら『分かっています。慎重にやりますからもう少し待っていてください』と話した」という。
民主党ベテラン議員は今回の岡田氏の決断の流れについてこう解説する。
「岡田さんが新党を念頭に置くようになったのは、実は昨秋10月の宮城県議選にさかのぼる。安保法制強行の影響で自民党は改選前議席を減らし、『野党統一』を早々に宣言した共産党が実に倍増の8議席。ところが、民主党はなんと改選前から2減となった。宮城は岡田氏が信頼している幹部の一人、安住淳・国対委員長代理のお膝元。その足元でさえ民主党の看板が弱くなってきていることが明らかになった。
そして、年明けには自民党が実施したという参院選に向けた世論調査の結果が流れてきたが、民主党はなんと比例で7議席、惨敗を示していた。データ重視の岡田さんは『野党再編しかない』と決断し、どんな形の新党にするかなど条件闘争を考えるようになった」
■岡田を信じた松野
岡田氏の決断の背景には、岡田氏と松野氏の深部にあった信頼関係が作用したと見ていい。
「二人の関係が強固になったのは2014年の解散総選挙。このときも野党がバラバラでは戦えない、と選挙協力が模索されたが、当時の民主党の選対責任者が岡田さん、維新は幹事長だった松野さん。この二人が、民主と維新の候補者調整を極秘裏にやった。解散のその日も二人で姿を消し、220の小選挙区で候補を一本化した。
譲る、譲らないの難しい調整だったが、候補一本化しかないと一度決めたら、岡田さんは民主党候補も平気で降ろすなど徹底した。それを一緒にやった二人ですからね。今回の合流も、松野さんは『岡田さんは必ず決断する』と断言していました」(維新の党関係者)
今回の合流は解党・新党(新設合併)ではない。1998年に旧民主党に旧民政党など3党が吸収されたときと同じ形(存続合併)をとることになっている。民主党はそのまま残り、維新は解党して合流するというものだ。ただし、イメージを刷新するために、民主党の大半の議員も一旦離党して、維新の議員たちが合流してくるのと一緒に党に入り、新しい政党名、新しい綱領も作り直すという形だ。
これまで、民主党内の合流慎重の声には、「野党第一党は民主党。政権も獲った歴史を捨てることはない」(幹部)、「維新の連中は出戻りが多い。頭を下げるのは向こうでうちが解党する必要はない」(元幹部)、「政党交付金がまだ多く残っている。解党は資金的に大損」(ベテラン議員)などがあったが、存続合併は「反対の声を抑えるギリギリのやり方」(岡田氏周辺)だ。
ただ、「党名も変更、綱領も見直すというのは、傍から見ればどう考えても新党と胸を張っていい」と維新幹部は評価する。また、野党再編が望ましいとする連合幹部は、「岡田さんは『頑固』で『原理主義者』だが、早くからハラは『新党』で決まっていた。今回の合流の形式にも『維新に譲り過ぎ』などと党内に文句を言う人間はいるが、岡田氏はまったく動じていない。頑固さが今回は吉と出た」と話す。
一方の松野代表。
「戯言(たわごと)と扱う人もいたが、それをずっとずっと言い続けてきてようやく叶った」
岡田代表と合意した翌日、松野氏はごく親しい知人に電話をかけそう漏らした。「久々の電話だった。達成感が伝わってきた」(同知人)
■「100人発言」のカラクリ
松野氏が維新の党の代表になって約300日が経過している。代表に就任したのは、維新が大阪都構想の住民投票で敗れ、当時の橋下徹・江田憲司両共同代表が「責任を取る」「政界から引退する」(橋下氏)などと表明して突然辞任したあとだった。
辞任は寝耳に水で、当時松野氏は私にまず「都構想という柱を失い、橋下さんもいなくなるなら党運営の舵取りは厳しい」と話していた。
ところが、その数日後、「火中の栗を拾うことにした。その代わり、私がやる以上私なりの方向を示させてもらう」と決意を新たにしていた。その「方向」というのが、まさに、バラバラの野党を一つにすることだったのだ。
実は、新代表就任のときに松野氏が語った言葉のなかに、すでに「重要なメッセージ」が隠されていた。彼はそのときから早くも、「野党結集で新党を絶対に作る」ことと、与党寄りの橋下氏や松井一郎大阪府知事を維新から切り離すことを、表現の中に含ませていたのである。
それは、彼が口にしたある数字から読み取れた。
松野氏は5月24日、地元の熊本市内で記者会見し、「年内に民主党だけではなく他の野党まで含めた幅広い結集をしたい」と野党再編が自らの命題だと語った。問題はそのあとだ。目指す規模の数字を「衆議院で100人」と明言したのだ。
「もし、維新と民主党がそのまま合流したら人数は単純に110人以上になります。他の野党も、と言ったので、全部合わせると120人ぐらいになる。ところが、それよりも少ない100人と言った。維新の中に当時いた大阪系が約20人。彼らは橋下・松井両氏とともに安倍政権に近く民主党などとの合流に慎重だった。ならば彼らを切ってでも、野党結集をやるぞというサインだったんですね」(前出・維新関係者)
永田町の住人の多くはこの「100人」のカラクリに気づかなかったが、松井氏ら大阪系は敏感に「俺たちをなんと思っているのか」(大阪系幹部)と反応したという。このころから、大阪系は独自に官邸に近づき、安保関連法案で政権寄りの独自の動きをするなど、松野氏に警戒心を示しはじめた。表面には出なかったが、松野氏が「100人」を宣言した瞬間から、維新の分裂は規定路線だったのである。
松野氏は、民・維の合流で合意した直後、私に「合流までの間の一番大きな苦労は、大阪系を切るときでした。橋下さんとは一緒にやってきましたからね。でも、野党結集は絶対にやると決めていたから(大阪系が出て行くならどうぞという姿勢で)ブレずにやりきりました」と振り返っている。
■共産党の「プレッシャー」
松野氏と言えば、「第二ボタンまで外したシャツ」「香水の香り」などの永田町らしからぬ派手なイメージが週刊誌などで先行していたが、私が取材してきた松野氏は、そのイメージとはまったく違う。
松野氏が最も得意とするのは「国対(国会対策)」や「根回し」「寝業師」。今回の合流も代表就任直後から300日間、水面下で野党各党間を回り、それぞれの実力者に物怖じせずに接触してきた。
たとえば、岡田氏との会合だけでなく、民主党の支持母体の連合にもウラで触手した。「代表就任後、連合の新旧のトップと月一回のペースで会い、合流しかないと説得し続けてきた」(連合幹部)という。
さらに、2月に入ってから、岡田代表に決断を促すために、わざとこんな仕掛けをした。
「松野さんは、あえて共産党の志位(和夫)委員長と会合を持った。民主党が合流できないというなら他の野党、共産や社民党や生活の党などと先に合流して進めますよ、というプレッシャーをかけた。岡田さんが決断したのはその寝業の効果もあった」(維新幹部)
さて、今回の合流を読み解くには、共産党の存在も見落とせない。
岡田氏は保守系で、社民主義的、革新的な野党共闘や合流や新党などには消極的だろうという見方が、民主党内や永田町にはあった。しかし、それを最初に揺り動かしたのが共産党の志位委員長だったという見方がある。岡田氏と接触している有識者が話す。
「共産党が、安保法制が強行採決された直後に『野党共闘』を宣言し、野党共闘をリードした。岡田さんには、あれを民主党主導でやりたかったという悔しさもある。だから民主党も再編で存在感を示そうとあれこれ考えてきた。その後、志位さんと会って忌憚のない意見交換をしたあと、『志位さんは信頼できる』と絶賛していた。つまり、総合的に共産党に刺激され突き動かされてきた部分があるんです」
また、参院選や解散総選挙の可能性がある中でなかなか進まない選挙協力を促そうと、志位委員長は2月19日の野党5党首会談でいきなり、「参院選1人区は野党統一候補のために共産党はすでに擁立している候補を取り下げる」と宣言し各党党首を驚かせた。
岡田氏に近い議員は、「これも岡田さんを刺激した。共産党が降りてくれるなら、1人区で民主党候補が統一候補になるところが増える。譲り合う野党共闘の流れに逆らうわけにはいかないと強く思った」と話す。岡田氏にプレッシャーをかけるために松野氏が打った芝居に乗った志位委員長。合流の裏舞台には、現実政党に脱皮しつつある共産党の影がちらついていたのだ。
■最低でも20はひっくり返る
さらに、共産党の最新の動きを付け加えるならば、「共産党が200の小選挙区で候補を取り下げてもいい」と非公式に明らかにしたというのだ。参議院の1人区だけではなかった。なんと衆議院の小選挙区でも譲るという。
これは、3月はじめに行われた野党5党幹部の会合でのことだ。共産党幹部は「覚悟を決めていますよ。安倍首相は与党に有利なダブル選挙を仕掛けてくる可能性が出てきた。そうなれば野党の選挙協力も衆参で一体化させないといけない。うちは早くから、過去の各地域の比例票の出方を見ながら(小選挙区の)候補を70〜75ぐらいに絞ろうと。約200は野党統一候補応援に回っていいということです」と話す。
この情報はまだオープンになっていない。民主党の枝野幸男幹事長は、選挙協力を衆院選まで広げる可能性について「想定していない」と話しているが、「民主党にとって共産党と対等な選挙協力は難しいから、枝野さん側からは『イエス』とは言えない。しかし、共産党の基礎票が流れてくるのはありがたい。そこで、自主的に共産党が応援するという形におさめるために、その辺りの駆け引きをいまやっているところ。だから、言い回しが慎重なのだろう」と他の野党幹部は言う。
もし200小選挙区で共産党が候補者を取り下げるとなれば、「自民党も打撃は免れない」と、自民党の選挙にめっぽう強い議員は語る。
「14年の衆院選では、共産党も小選挙区に独自候補を出していたから、自・民か維・共産の三つ巴で戦ったところが多い。今回は民・維が合流して選挙運動が一体化する上に、そこで共産が乗ってくれば、単純に前回票で計算するとひっくり返るところが20ぐらいは出てくる。スキャンダルなど風が吹けば20じゃ済まない」(同議員)
■小沢は出てくるのか
民・維合流は、野党再編の第一歩に過ぎない。これから何をやるか、何を見せるかでその成否が決まる。
まずは政策だ。実は、民主党の枝野幸男幹事長が、2月20日の社民党大会に出席して挨拶した際の言葉に大いなるヒントがある。
枝野氏は、野党5党にはそれぞれ政策の違いがあるが、一致できる三つを挙げた。一つは、安保法制を強硬に進めた安倍政権に対し「立憲主義」を取り戻す政策。二つ目は「国民生活」を取り戻す政策(大企業優先をやめ、格差や貧困に苦しんでいる国民を救おうというもの)。三つ目は「民主主義」を取り戻すこと(数の力でなんでも決めるやり方はおかしいということ)。
その中でも「ポイントは国民生活の政策」と言うのは、両党の合流を進めてきた民主党幹部だ。
「米大統領予備選で若者から圧倒的に支持を受けているサンダース氏がカギですよ。アベノミクスで儲かっているのは大企業と投資家だけ。生活者は非正規問題や格差など不満が充満している。その視点で国民に響く生活者のための政策をまずまとめ、そこを真面目に訴えれば安倍政権との違いがはっきりする」
また、数をさらに増やすことも必要だ。維新幹部は「次は社民党や生活の党に声をかける」としながら次のような「野党総動員プラン」を語る。
「いま生活の党との合流を急ぐと、小沢アレルギーを持っている人が『小沢抜きで』と騒ぐ可能性があるので、時間をかけたほうがいい。大胆な戦略としては、小沢さんに合流してもらい、たとえば国対委員長をやってもらうとかアリじゃないか。政権と戦うというのはそういうことだ」
ようやく、野党が統一へ向けて動き出した。共産党も含めた野党共闘は「個々の政策が違い過ぎる。野合だ」といった批判が続く。しかし、「一強」政治は驕りを生み、政権交代がないという慢心から国民の声に耳を傾けなくなる。まとまった数やある程度のかたまりの野党がいてこそ、政権や与党は常に緊張感を持ち謙虚になる。そのためにも、やはり野党がバラバラではなくできる限り一つになることは重要ではないだろうか。
民・維両党は3月中に新党を結成するが、合流の成否は、今後野党全体を巻き込んだ次のステップへ、切れ目なく進めるかどうかにかかっている。
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