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http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/okotoba/okotoba-h28e.html#D0311
天皇陛下のおことば
東日本大震災5周年追悼式
平成28年3月11日(金)(国立劇場)
<英文>へ
東日本大震災から5年が経ちました。ここに一同と共に,震災によって亡くなった人々とその遺族に対し,深く哀悼の意を表します。
5年前の今日,東日本を襲った巨大地震とそれに伴う津波により,2万人を超す死者,行方不明者が生じました。仙台平野を黒い壁のような波が非常な速さで押し寄せてくるテレビの映像は,決して忘れることができないものでした。このような津波に対してどのような避難の道が確保できるのか暗澹たる気持ちになったことが思い起こされます。また,何人もの漁業者が,船を守るために沖に向け出航していく雄々しい姿も深く心に残っています。
このような中で,自衛隊,警察,消防,海上保安庁を始めとする国や地方自治体関係者,さらには,一般市民が,厳しい状況の中で自らの危険や労をいとわず救助や捜索活動に携わったことに深い感謝の念を抱いています。
地震,津波に続き,原子力発電所の事故が発生し,放射能汚染のため,多くの人々が避難生活を余儀なくされました。事態の改善のために努力が続けられていますが,今なお,自らの家に帰還できないでいる人々を思うと心が痛みます。
こうした苦難の中で,政府や全国の地方自治体と一緒になって,多数のボランティアが被災者のために支援活動を行いました。また,160を超える国・地域や多数の国際機関,また在日米軍が多大な支援に当たってくれたことも忘れることはできません。
あれから5年,皆が協力して幾多の困難を乗り越え,復興に向けて努力を続けてきました。この結果,防災施設の整備,安全な居住地域の造成,産業の再建など進展が見られました。しかし,被災地で,また避難先で,今日もなお多くの人が苦難の生活を続けています。特に,年々高齢化していく被災者を始めとし,私どもの関心の届かぬ所で,いまだ人知れず苦しんでいる人も多くいるのではないかと心に掛かります。
困難の中にいる人々一人ひとりが取り残されることなく,1日も早く普通の生活を取り戻すことができるよう,これからも国民が心を一つにして寄り添っていくことが大切と思います。
日本は美しい自然に恵まれていますが,その自然は時に非常に危険な一面を見せることもあります。この度の大震災の大きな犠牲の下で学んだ教訓をいかし,国民皆が防災の心を培うとともに,それを次の世代に引き継ぎ,より安全な国土が築かれていくことを衷心より希望しています。
今なお不自由な生活の中で,たゆみない努力を続けている人々に思いを寄せ,被災地に1日も早く安らかな日々の戻ることを一同と共に願い,御霊への追悼の言葉といたします。
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(参考)
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/okotoba/tohokujishin-h230316-mov.html
東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下のおことば(平成23年3月16日)
<英文>へ
この度の東北地方太平洋沖地震は,マグニチュード9.0という例を見ない規模の巨大地震であり,被災地の悲惨な状況に深く心を痛めています。地震や津波による死者の数は日を追って増加し,犠牲者が何人になるのかも分かりません。一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています。また,現在,原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ,関係者の尽力により事態の更なる悪化が回避されることを切に願っています。
現在,国を挙げての救援活動が進められていますが,厳しい寒さの中で,多くの人々が,食糧,飲料水,燃料などの不足により,極めて苦しい避難生活を余儀なくされています。その速やかな救済のために全力を挙げることにより,被災者の状況が少しでも好転し,人々の復興への希望につながっていくことを心から願わずにはいられません。そして,何にも増して,この大災害を生き抜き,被災者としての自らを励ましつつ,これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。
自衛隊,警察,消防,海上保安庁を始めとする国や地方自治体の人々,諸外国から救援のために来日した人々,国内の様々な救援組織に属する人々が,余震の続く危険な状況の中で,日夜救援活動を進めている努力に感謝し,その労を深くねぎらいたく思います。
今回,世界各国の元首から相次いでお見舞いの電報が届き,その多くに各国国民の気持ちが被災者と共にあるとの言葉が添えられていました。これを被災地の人々にお伝えします。
海外においては,この深い悲しみの中で,日本人が,取り乱すことなく助け合い,秩序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。これからも皆が相携え,いたわり合って,この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています。
被災者のこれからの苦難の日々を,私たち皆が,様々な形で少しでも多く分かち合っていくことが大切であろうと思います。被災した人々が決して希望を捨てることなく,身体を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう,また,国民一人びとりが,被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ,被災者と共にそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています。
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