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トランプ叩けど安倍首相には弱い 大新聞が振りかざす“正義”
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/176967
2016年3月11日 日刊ゲンダイ
トランプ批判はもっともだが(C)AP
次期米大統領の椅子が現実味を帯びてきた共和党の実業家ドナルド・トランプ(69)の躍進に、日本の大新聞が“異様”なネガキャン報道を続けている。対日批判を繰り返すトランプに対し、日本メディアとして警戒感をあらわにするのもムリはないが、コトはそう単純じゃない。記事をよく読むと、大新聞の報道姿勢は国内向けと真逆なのだ。
各紙の“トランプ叩き”が際立ったのが、序盤戦最大のヤマ場となったスーパーチューズデーの投票結果を受けた3日。掲載された記事はざっとこんな通りだった。
〈多くの国の人々が不安の目を注いでいる。トランプ氏は、米国と世界を覆う難題への冷静な取り組みではなく、むしろ、米国内外の社会の分断をあおる言動を重ねてきたからだ〉(朝日)
トランプを躍進させた共和党の迷走についても言及。
〈同党(共和党)は(略)近年、原理主義的なキリスト教右派に加え、ブッシュ前政権をイラク戦争へ後押ししたとされるネオコン(新保守主義派)(略)などが影響力を増している〉(毎日)
どれもこれもまっとうな批判なのだが、この指摘がそっくり当てはまるのが安倍首相だ。
例えば、読売はトランプを〈『偉大な米国を取り戻す』といった単純なスローガンの繰り返しは、危うい大衆扇動そのものではないか〉と評していたが、2012年の総選挙で「日本を取り戻す」と訴えていたのは他ならぬ安倍首相だった。
産経はトランプの演説スタイルを〈歯切れが良いといっても、その主張は過激、排他的で、暴言、失言を連発する〉と断じていた。これも、どこかで見たフレーズと思ったら、13年12月の衆院本会議だ。安倍内閣不信任決議案の賛成討論で、民主党議員は、デモをテロと言った石破幹事長(当時)の発言を〈暴言〉と指摘した上で、〈自分たちの考えと異なる主張の表明を、テロとする。安倍政権の独善的かつ排他的な思想が強く表れています〉と訴えていた。
日経が取り上げた〈実現不可能に見える政策を打ち出しても世論調査の支持率で首位を保つ─―〉なんて、今の安倍政権そのもの。つまり、大新聞が懸念するトランプの危うさは安倍首相と同じ。読売は〈『反知性主義』の表れ〉とも報じていたが、これもピタリだ。
元共同通信記者の浅野健一氏はこう言う。
「新聞のトランプ評が正しいのであれば、日本では絶対に首相にしてはいけない人が就いていることになる。国内報道と矛盾しています。しかし、そうした矛盾した報道内容であることを新聞は自覚していない。安倍政権のメディアコントロールが効いているのか、深刻な状況です」
大新聞の正体がよくわかる。
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