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民主・岡田代表(右)と維新・松野代表/(C)日刊ゲンダイ
新党名は国民への決然たるメッセージであるべきだ 永田町の裏を読む
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/176895
2016年3月10日 日刊ゲンダイ
民主・維新両党の合流にあたって党名を公募したところ、2万件近くも応募があったという。
「ほほう、党名のことまで心配してくれる熱心な支持者が2万人もいたんだ」と感心したが、回答でいちばん多かったのが「民主党(のままでいい)」だったというから笑ってしまった。
そもそも、新党をつくろうというのに、自分たちで党名を決められずに公募にかけるということ自体、間が抜けた話である。党名というのは、ゆるキャラの愛称とは違って、政治家たちがこの党をつくって何がしたいか、どういう世の中を目指すかを端的に表す、国民=有権者に向かっての決然たるメッセージでなければならない。裏返せば、理念も中心政策も何もないままの合流にすぎないことを自ら告白しているようなものなのだ。
支持者の多くは事態の本質を見抜いている。これは、夏の参院選を単独で戦えば改選4議席に対して当選ゼロ、非改選の1議席だけしか残らないと予測されている維新が、壊滅を回避するために民主にすり寄っているだけの話で、しかしそれでは、松野頼久代表はじめ合流する半分ほどが民主脱藩者であるため、「出戻り」扱いされて人事面などで冷遇されることになりかねない。だから「民主」の2文字が入らない全く別の党名にすることに維新側はこだわっているのである。
前に本欄で書いたが、民主側が維新救済のために党名まで変えてサービスする必然性はどこにもなく、「来たい方はどうぞ」と言っていればいいのに、それができないのが岡田克也代表の優柔不断である。
回答の中には「立憲民主党」という提案もあったようだが、これには私は反対である。
昨年の安保法制反対のデモと呼応して毎週、院内で定期的に集会を開きつつ、国会論戦をも主導する重要な役割を果たしたのは、民主党リベラル派を中心に社民党全員、沖縄の社会大衆党、生活の党の一部までカバーする超党派の議員集団「立憲フォーラム」(近藤昭一代表、辻元清美幹事長)である。
私は昨年7月16日に立憲フォーラムが憲政記念館で開いた集会に呼ばれた時に、「立憲フォーラムを母体に立憲民主党を結成して、反安保法制・反原発再稼働・反辺野古基地建設を掲げて、デモに表れた市民の怒りを真正面から受け止められる政治勢力を形成すべきだ」と提言した。その3つの中心課題について、はっきりしたメッセージを出せない民維新党に「立憲民主党」を名乗られるのは御免被りたい。
高野孟ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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