2016年3月10日(木) 高浜原発 運転差し止め 稼働中で初めて 3・4号機 大津地裁が仮処分決定 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は安全性が確保されていないとして、滋賀県の住民29人が再稼働差し止めを求めた仮処分申請で、大津地裁(山本善彦裁判長)は9日、「過酷事故対策などで危惧すべき点があり、津波対策や避難計画にも疑問が残るのに、関電は主張を尽くしていない」として、運転停止を命じる仮処分の決定を出しました。高浜原発3、4号機の差し止め決定は昨年4月の福井地裁に続き2件目。運転中の原発の運転停止を命じる仮処分決定は初めてです。4号機はトラブルによって運転停止中で、関電は運転中の3号機の運転を10日に停止すると発表しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-03-10/2016031001_01_1.jpg (写真)高浜原発の運転差し止め決定を喜ぶ申立人ら=9日、大津市 過酷事故対策 避難計画に疑問 「勝利の瞬間、涙が出てきました。動いている原発を止める仮処分決定は画期的で、『原発ゼロ』をめざす全国の運動にものすごく影響がある」と、大津地裁に駆けつけた大津市の男性(65)は喜びます。 住民側は、関電が高浜原発で想定する地震の揺れなどでは、安全を担保する上で不十分だと指摘。事故が起きれば放射性物質で琵琶湖が汚染され、人格権を侵害されると主張しました。一方、関電は、高浜原発は新規制基準に適合しており、安全は確保されていると反論していました。 大津地裁の決定は、東京電力福島第1原発事故の原因究明が「道半ば」だとして、「原因究明を徹底的に行うことが不可欠」と指摘。「避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれる」など原発の新規制基準が福島第1原発事故の教訓を踏まえていないことを指摘しています。 また、想定する地震の揺れについて関電の調査の疑問点などについて、十分な主張がされていないと繰り返し指摘。過酷事故対策なども「危惧すべき点がある」とし、住民の人格権が侵害される恐れが高いにもかかわらず、関電は「主張を尽くしていない」としました。 関電は決定を不服として異議と執行停止を申し立てるとしています。 画期的な判断 小池政策委員長が談話 日本共産党の小池晃政策委員長は9日、談話を発表しました。 ◇ 大津地裁は、本日、関西電力高浜原発3、4号機の運転停止を命じる仮処分決定を行いました。新規制基準に「合格」して再稼働した原発の運転停止を命じる仮処分決定は初めてです。 2014年5月の大飯原発3、4号機差し止め判決、2015年4月の高浜原発3、4号機再稼働差し止め仮処分決定に続く、画期的な司法判断です。 安倍政権と電力会社は、この度重なる判断を重く受け止め、高浜原発はもとより、全国の原発の再稼働を直ちに断念すべきです。 日本共産党は、原発再稼働を許さず、原発ゼロの日本を実現するため、全国のみなさんとともに全力を尽くします。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-03-10/2016031001_01_1.html 2016年3月10日(木) 主張 福島原発事故5年 拡大する被害を直視してこそ 2011年3月11日に発生した東日本大震災で東京電力福島第1原発が大きく破壊され、すべての電源が途絶えて冷却できなくなり、建屋も爆発して大量の放射性物質が拡散し、広範囲を汚染した大事故から5年を迎えます。事故を起こした原子炉の内部はいまだによくわからず、廃炉のめども立ちません。県内外で10万人近い福島県民が避難生活を送り、「関連死」も増え続けています。原発周辺ではふるさとに帰れないままです。原発事故の被害は、5年たっても拡大を続けています。福島切り捨てを許さず、福島から「原発ゼロ」を進めていくことが重要です。 事故ですべてが奪われた 「原発事故は日常生活のすべてを断ち切り、生きがいも、つながりも奪ってしまった」―原発事故から5年を前に福島県内で開かれた全国革新懇と福島県革新懇主催のシンポジウムで、原発に程近い楢(なら)葉(は)町で被災し、長期間の避難生活を余儀なくされた住民の発言が胸を打ちました。被災地の現実を見て、福島を見捨てないでほしいという切実な訴えです。 地震と津波に加え、原発事故による放射能汚染…。かつてない大災害に福島原発周辺の住民は震災の救援活動もままならず、目に見えない放射能に追い立てられて避難を余儀なくされました。福島だけでなく、東北地方や首都圏まで汚染拡大が懸念されたほどです。 昨年行われた国勢調査の結果は、原発に近い大熊、双葉、富岡、浪江の4町で、人口がゼロになったと記録しました。福島県全体でも5年前の調査に比べ、人口が11・5万人も減っています。世界有数の「先進」国で長期間人口ゼロの町があること自体、前代未聞です。 福島原発事故は、技術的に未完成な原発が事故を起こせばコントロールできなくなり、時間的・空間的にも社会的にも大きな被害を及ぼすことを浮き彫りにしました。大量の放射性物質が飛び散る原発事故の大きな特徴は、被害がいつまでも拡大し続けることです。 事故を起こした原発ではいまだに放射性物質による汚染水がたまり続け、周辺へ汚染を拡大しています。事故直後放出された放射性物質で汚染された地域では除染が行われていますが、完全に取り除くのは不可能で、除染が行われない森林や局地的に汚染が深刻なホットスポットが残ります。除染した土などを貯蔵する中間貯蔵施設の建設も難航しています。 被害の拡大を象徴するのは長引く避難生活の中での「関連死」の増加です。福島県内では震災後亡くなった「震災関連死」が2000人を超し地震や津波の直接の死者を上回りました。原発事故に関連した「原発関連死」が約7割に上ります。異常極まる事態です。 高浜では運転停止の命令 福島原発事故から5年を前にした9日、大津地裁は関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じました。運転中の原発への初の停止命令です。1月に再稼働した3号機は運転を停止、2月に再稼働しわずか3日で停止した4号機も運転できなくなります。 大津地裁の決定が、過酷事故対策など安全が確保されていないと明言しているように、原発の危険性は明らかです。「福島切り捨て政治」と「原発固執政治」を正し、福島でも全国でも「原発ゼロ」を実現していくことが不可欠です。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-03-10/2016031001_05_1.html
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