http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/568.html
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タイトルの「「護憲」で本当に勝てるのか」という問いは、共産党とは違い、根っからの護憲政党であった社会党の没落過程を考えれば、わざわざ答える必要はないだろう。
既に有名無実化し空証文になっている第9条だが、他の条項はともかく、第9条がある第2章戦争の放棄や第1章天皇・第9章改正・第10章最高法規に関する改正について、安倍首相をはじめとする自民党の幹部たちは、「戦後レジーム」=対米従属構造から脱却しない限りムリだと理解している。
(戦後日本で統治主体になるために対米従属構造を選択しながら、できない(しない)自主憲法制定を党是として掲げる奇妙なネジレ政党が自民党)
だからこそ、憲法学者の過半数が違憲と考えている自衛隊の必要性や“合憲性”を認める国会議員が2/3どころか90%を超えているのに、憲法に自衛隊をきちんと規定するレベルの抑制的な憲法改正さえ行われずにきた。
(一方の護憲派も、有名無実化している第9条を“お経”のようにただありがたがっている:従米的軍事活動拡張に歯止めをかけるという戦術的護憲論は認める)
日本が、憲法第9条を掲げながら、米国の要求に沿うかたちで「自衛隊・日米安保条約・PKOなど国外での活動・イラク占領協力など」を政策として実現してきた歴史を考えれば、米国支配層はことさら第9条を改正する必要性や意義を感じていないと推測できる。
逆に、第9条を改正することで軍事的活動に関する“タガ(制約)”が外れ、日本が“自主的で自由な軍事的活動”を選択できるようになるほうがずっと危険だと考えているだろう。第9条は、日本の国際的動きを制御したい米国支配層にとって貴重な“手綱”なのである。
第9条=日本に嵌めたタガ論は、米国支配層に限らず、中国や韓国など周辺諸国も共有している考えと推測できる。
(現在の中国は、米国の束縛から自由になった日本より、米国にコントロールされた日本のほうが対応しやすく望ましいと考えている。日本問題を厄介な日本と話し合わずに、他の重要な問題ともども米国と話し合うことで解決できるからである。未来永劫というわけではないが、このような意味で「日米安保体制」支持である)
安倍首相も、このようなことをわかったうえで憲法改正を叫んでいる。
安倍首相は、恥ずべきことに、第9条の改正は難しいという理由で棚上げし、「非常事態」など他の改正を行いたいと軌道修正を行っている。
自民党は、改憲したいと思っている勢力であっても、肝心な条項を改憲する勢力ではない。改憲するためには、「戦後レジーム」=対米従属構造から脱却しなければならないからである。
「憲法改正」と「統治勢力として存続」のいずれかを選択しなければならないとしたら、迷うことなく「統治勢力として存続」を選ぶのが自民党の政治家たちである(行政官僚や裁判官までがそうなのだから始末に困る)。
安倍首相などは、憲法のコア部分は改正できない(しない)とわかっているから、安心して“保守派に見せる宣伝コピー”として改憲を叫んでいる。そして、米国支配層も、従米の政権基盤を弱体化させたり露骨な内政干渉として国民の反発を買う可能性もあるので、従米政治勢力が口先で改憲を叫ぶことにはケチをつけない。
自民党や米国支配層がもっとも困る事態は、「護憲派」が利口になり、現実(自衛隊や対外軍事活動)と憲法規定のネジレを解消するために必要最小限の憲法改正を訴えるようになることだろう。
そうなると、改憲派=「保守愛国派」的言動はポーズだけで実際には改憲に着手しないという従来的欺瞞を続けられなくなる。
第9条の改正が国民投票で否決される意義は大きく、安保関連法制の大幅見直しを要請する。
なお、自民党憲法草案をはじめいくつかの改正草案が出されているが、第9章第96条に「憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する」(この憲法と一体を成すもの)と規定されていることでわかるように、日本国憲法改正は米国型の修正方式を踏襲したものだから、憲法改正に関する憲法解釈までデタラメがはびこっていることを意味する。
(元の憲法を残しながら、修正第1条などと新しい規定を加えていく方式)
このため、ゼロから新たな憲法をつくろうと思ったら、まず第96条を改正し、その後、新しい憲法を国会で発議し、国民投票を通じて承認を得なければならない。
※関連投稿
「柄谷行人「憲法9条の今日的意義」(2016年1月23日講演のテキスト起こし) 」
http://www.asyura2.com/14/idletalk41/msg/300.html
私のようなベタな陰謀論ではなく、高尚な論理立てで憲法改正は行われないことを説いた柄谷行人氏の講演録です。
「みなさんは憲法9条の普遍的意義を再確認して、それによって改憲を阻止する力としようと考えておられるかもしれませんが、じつは私はその必要はないと思っているんです。というのは、改憲がなされることはないと思っているからです」と切り出し、憲法改正が行われない論証を行っている。
柄谷行人氏の論証は面白い切り口だとは思うが同意はしない。
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[風見鶏]「護憲」で本当に勝てるのか
写真は60年前、1956年の参院選を報じた日本経済新聞である。違和感を覚えないだろうか。いちばん大きな見出しは「革新派3分の1を突破」。第1党の自民党については「前議席を維持」とあるだけだ。
当時の読者にはこれで十分だった。この選挙が「3分の2」と「3分の1」を争う戦いであることを誰もがわかっていたからだ。
その前年、左右社会党の合同と自民党の結党により55年体制が始まる。保守と革新の最初の激突となった参院選の争点は一も二もなく「イコール再軍備」である憲法改正の是非だった。
自民党が改憲の国会発議に必要な参院の3分の2以上を占めるのか、それとも社会党など革新勢力が3分の1以上の議席を得て阻止するのか。与野党の勝敗ラインはそこに敷かれた。
この初陣で目標を達成できなかった自民党は続く58年の衆院選でも3分の2に届かなかった。改憲ハードルの高さを思い知り、選挙で憲法を争点に据えることはなくなった。
今年7月の参院選はそれ以来、久しぶりの憲法決戦になりそうだ。自民党は13日の党大会で採択する運動方針に「憲法改正を行うには衆参両院の3分の2以上の賛成および国民投票における過半数の賛成が必要である」と明記する。
憲法の規定を復唱しただけではあるが、昨年の運動方針にはなかった表現だ。安倍政権が「3分の2」を強く意識していることが読み取れる。
安倍晋三首相は1月の年頭会見で「憲法改正は参院選でしっかり訴えていく」と言明した。以降もエンジン全開状態で、今月2日には「私の在任中になし遂げたい」と期限を切った。
迎え撃つ野党はどうだろうか。民主党の岡田克也代表は「安倍政権のもとでの憲法改正は認めない」と力説する。2月の社民党大会では5野党の首脳クラスが手をつないで共闘する姿勢をアピールした。
ただ、個々の野党議員に話を聞くと、本当に危機感を抱いているのかと首をかしげたくなることがある。
「アベノミクス一本やりで3分の2を取っても、改憲が承認されたことにはならない」
「自民党は改憲を争点化しないでしょ。勝てないから」
どの程度訴えれば争点化したことになるのかの判断は難しいが、首相がこれだけ憲法改正に意欲を示していても「死んだふり」と言えるだろうか。
憲法を争点に据えると自民党が“敗北”するという過去の常識がまだ生きているかも疑わしい。
改憲勢力とされる自民、公明、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の4党合計で参院の3分の2以上を占めるには、7月の参院選で77議席を獲得する必要がある。
公明党が3年前と同じ11議席、おおさかが仮に5議席を取るとすると、自民党のノルマは60議席前後になる。衆参同日選という追い風があれば、3年前の65議席をも上回るかもしれない。そう考えると改憲勢力がこの夏、3分の2に達しない方が驚きである。
そのとき、護憲の人々はどうするのだろう。「争点ずらしにしてやられた」とはもう言えまい。国会前デモの写真を振りかざして「こちらが民意だ」となお叫ぶのだろうか。
「まだ国民投票がある」とは言えようが、安倍首相が(2018年の党総裁任期は延長でクリアし)19年夏に衆院選と参院選と国民投票のトリプル選を仕掛けないとも限らない。
護憲勢力は自分たちがもはや瀬戸際に追い込まれていることを本当にわかっているのだろうか。
(編集委員 大石格)
[日経新聞3月6日朝刊P.2]
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