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何がダブル選だ! 官邸騒然「内閣支持率急落」を徹底分析
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2016年3月8日 日刊ゲンダイ 文字お越し
支持率は急落…(C)日刊ゲンダイ
この期に及んで賃上げのお題目のトンチンカンと、唐突に改憲を持ち出す不見識、保育園騒動で女性の怒りも倍増して、ついに始まった傲岸不遜内閣崩壊の序章
余裕をかましていた安倍官邸が慌てている。内閣支持率が急落しはじめたからだ。
毎日新聞の調査では、「支持する」は1月の前回調査から9ポイント減の42%、「支持しない」は8ポイント増の38%だった。支持率は危険水域とされる40%割れ目前となっている。
読売新聞の調査でも、「支持する」は3ポイント減の49%、逆に「支持しない」は4ポイント増の40%に跳ね上がっている。
世論調査の数字を事前に入手した安倍官邸は、大慌てで「内閣情報調査室」に調査結果を分析させている。官邸がパニックになったのは、まさか支持率が下落するとは夢にも思っていなかったからだ。困惑する首相周辺は、こう言う。
「正直、なぜ支持率が9ポイントも下がったのか分からない。乱高下していた株価は下げ止まり、1万7000円前後で安定しているし、米軍普天間基地の移設問題も沖縄県と“和解”したばかりです。安保法案のような、政権を直撃する大きな出来事もなかった。甘利大臣が“政治とカネ”で辞任した時でさえ、支持率がアップしたのに、なぜ、このタイミングで支持率が下落したのか。官邸も慌てています」
しかし、支持率が下落した理由はハッキリしている。アベノミクスに対する失望だろう。読売新聞の調査によると、経済政策を「評価しない」は、過去最悪の47%に達している。
「以前から、アベノミクスは失敗に終わったのではないか、と感じていた国民は少なくなかったでしょうが、日銀がマイナス金利まで導入したことで、やっぱりアベノミクスはうまくいっていない、と確信する国民が増えたのでしょう。安倍首相が突然、“自分の任期中に憲法を改正したい”と、改憲に前のめりになったことも大きかった。国民は景気回復を求めているのに、優先順位が違うし、安倍首相が改憲を強く訴えはじめたのは、アベノミクスが失敗した裏返しだと見抜いたのだと思います」(政治評論家・森田実氏)
■夢から覚め、安倍内閣の正体に気づいた
それよりなにより、いよいよ安倍内閣の化けの皮が剥がれはじめたということではないか。
そもそも、安倍内閣が高い支持率をキープしてきたのは、実績が評価されたわけではなく、“幻想”に支えられていたに過ぎない。
「政権の発足直後、安倍内閣が高い支持率でスタートしたのは“期待感”からだったと思う。民主党政権に裏切られた国民が、乗り換えるように、安倍内閣に期待した。株価が急上昇したのも期待感からでした。さすがに、途中から安倍内閣に対する期待は消えたが、それでも『他に代わる人もいないし』という消極的に支持する国民が多かった。なかば諦めの気持ちだったと思います。それほど民主党政権に対する失望は大きかった。安倍首相も、二言目には民主党を批判し、国民を洗脳してきた。今回、支持率が9ポイントも下落した理由は、安倍首相の不遜な態度、不倫議員の辞任、上がらない賃金など、いくつもあるでしょうが、大きな理由として、安倍内閣に対する“幻想”に国民が気づきはじめた可能性があります」(政治学者・五十嵐仁氏)
冷静に考えてみれば、国民の78%が「景気回復を実感していない」と答えているのに、支持率が50%を突破していることの方がおかしいのだ。
4月の補選で2敗したら終わり
勝てるチャンスはある(C)日刊ゲンダイ
この先、安倍内閣の支持率はどうなっていくのか。一度、下がりはじめた支持率は、下落のスピードを速めていくことが多い。とくに、危険水域の40%を割り込むと、底が抜けたように落ちていくものだ。
しかも、安倍内閣には、支持率をアップさせる材料がない。むしろ、4月以降、景気はもう一段冷え込むと予想され、さらにアベノミクスへの失望が広がっていく可能性が高い。
保育園騒動で世の中の女性をカンカンにさせたことも、ボディーブローのように効いてくるはずだ。子どもを認可保育園に入れられなかった働く女性が、匿名ブログで、もっと保育所を作って欲しいと訴えたのに、安倍首相は国会で「匿名である以上、本当かどうか確かめようがない」と冷たく切り捨てた。これには日本中の女性が怒り、国会前でデモが起きている。毎日新聞の世論調査でも、女性の支持率は11ポイントもダウンしている。
いま安倍周辺が恐れているのは、4月24日に行われる衆院北海道5区と、衆院京都3区の補欠選挙で2連敗することだという。もし、2敗したら、多くの国民が「やっぱり安倍内閣は支持されていないのか」と再認識し、支持率の下落に拍車がかかるとみられている。日本人は周囲の顔色を見て、一方向に動くからだ。
■本当に衆参ダブル選挙を打てるのか
安倍首相は、「衆参ダブル選挙」を考えているらしいが、この状況で、果たして解散など打てるのか。首相本人は、どんなに支持率が下落しても、弱小の野党相手なら、絶対に負けないと自信を深めているという。たしかに、世論調査でも「野党新党に期待しない」は60%に達し、7月の参院選の投票先も「自民党」38%、「野党新党」15%と圧勝している。
しかし、ダブル選挙に打って出たら、予想外の結果になってもおかしくない。前出の森田実氏がこう言う。
「講演などで地方を歩いていると、安倍政権に対する不満、批判が広がっていることがよく分かります。いまさらアベノミクスを訴えても、有権者は反応しないでしょう。かといって、改憲を争点にしたら、自民党は惨敗する可能性がある。安倍首相には、訴えるモノがない。消費税増税の凍結もインパクトに欠ける。せいぜい、“民共政権を許していいのか”と、野党を攻撃するくらいでしょう。安倍首相はどんな大義名分で解散するのか。野党が選挙協力の体制を整えれば、互角の戦いになると思う。いまアメリカでは、民主党のサンダース候補が、大学の授業料の無料化を訴え、若者の支持を集めています。日本でも、学生はもちろん、子供を持つ親は、高い教育費に苦しんでいる。奨学金の返済に追われている20代、30代の若者も多い。野党が教育の無料化を訴えれば、多くの支持を得られるはずです」
そもそも、内閣発足から3年経っても「挑戦、挑戦」を連呼し、まったく成果を挙げられない政権が、いつまでもつづくことが間違っている。支持率の下落は、傲岸不遜内閣が崩壊する序章だと見ていいのではないか。
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