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2016年02月27日
時折、面白いことを発言する天木直人氏だが、以下の一口コラム“なぜ日本にサンダース現象が起こらないのか”について。天木氏は、日米の経済的な国家の基盤の違いを見逃しているので、少しお時間をいただこう。
≪ なぜ日本にサンダース現象が起こらないのか 天木直人
70歳半ばの老政治家が、「これは革命だ」と叫んで大統領選挙に挑む。
その光景を見るたびに、私は興奮と感動を禁じ得ない。
なぜ日本にサンダースは現れないのか。
こう問いかけるものは多いに違いない。
しかし、その理由を喝破する者にお目にかかった事はない。
なぜ現れないのか。
それは日本にそのような人物が見当たらないからだ。
しかし本当の理由はそこにはない。
日米の若者の政治行動が違うからだ。
サンダース現象は、もちろんサンダースという政治家があってこそだ。
しかしそのサンダースをサンダース現象に高めたのは、そのサンダースを大統領にしようする米国の若者たちの熱い政治行動があってからこそなのだ。
ひるがえって日本の若者がどうか。
デモで叫ぶ。
野党共闘を呼び掛ける。
しかし、みずから政治を動かそうとする気迫と行動は伝わらない。
もし本気で彼らが今の安倍政権を倒したいのなら、みずから政党をつくり、あるいはサンダースのような人物を担ぎ出し、今度の参院選に独自に参加しなくてはいけない。
既存の政党や政治家に働きかけて共闘を呼び掛けたり、統一候補を立ててみたところで、国民の心を揺さぶるサンダース現象は決して起こらない。
新党憲法9条構想はまさしくそのような場を彼らに提供するものなのだ。
そのメッセージを送っているのに、知ってか知らずか、まるで反応はない。
彼らの協力がなくても、私はサンダース現象を起こすつもりだ。
米国のサンダースとそれを支持する若者の姿を見て、私は思いは高まるばかりである(了)
≫(天木直人の公式ブログより)
“なぜ日本にサンダース現象が起こらないのか”、それは、簡単に言えば、国が違うからだ。一つには、歴史的長さが異なる。移民国家と、準単一民族国家の違いがある。建国の成り立ちのあるアメリカと、建国の起源さえ曖昧なのが日本。両国とも、貧富の差は1%対99%に向かっている。無論、この対比は、センセーショナルな表現であって、アメリカでも富裕層:中間層:貧困層の比率は、20:40:40程度である。日本は、まだ10:50:40くらいが現状だろう。
勿論、アメリカも日本も、中間層の比率は、年々減少傾向にあり、1:99がアメリカで現実になる可能性は大いにある。日本でも、此のままなら、アメリカ並みとは言わないが、50%が貧困層になる可能性は見えている。問題は、家族全体が持っている資産や収入が、子供や孫世代に、どのように配分されるかと云う社会の仕組みの問題も含まれる。アメリカの場合、親子における金銭的感覚は、日本に比べて、個人主義を尊重する傾向がある。つまり、良くも悪くも、個人の尊厳と独立だ。だらからだろう、多くのアメリカの大学生や大学を出たサラリーマンが、奨学金で頭を抱えているわけだ。
日本にも、そう云うケースはあるだろうが、アメリカほどの学費(年間700万)ではないので、奨学金負担は軽い。時には、その奨学金支払いを、親が代行するケースも多々ある。また、家族単位の意識が強い日本では、3代に亘って、資産の継承が起きるので、祖父母世代、親世代、孫世代の順で、資産形成の苦労度が軽減されてゆく。つまり、一人前になるには、結婚する、子供を持つ、家を持つと云う、戦後一貫してあった、大人への登竜門の垣根が、跨ぐ程度の低さに変った。家を買わなくて済む人生設計は、頑張るのも程々になるのは当然なのだ。
ゆえに、アメリカのおける若者層の貧困は切実だが、日本における若者層の貧困には、まだ、切実さが足りないということだ。筆者は、何も、若者にもっと試練を、等とユダヤ人のような事は言わない(笑)。ただ、個人主義のアメリカ人の財布と、家族主義的日本人の財布には、自ずと性質の違うお札が入っていると云うことだ。現に入っていなくても、いずれ受け取れる見積もれる資産が見えている。この違いは大きい。ゆえに、リアリティーがなくても、理念でデモが行える。アメリカの若者は、リアリティーの中にいるので、バーニー・サンダース現象が現れる。
また、年々、移民を受け入れることで、アメリカは経済成長の原動力をゲットしているが、その移民たちは、概ね無産者階級からの船出だ。移民を受け入れていない日本は、突然無産者階級が何十万人も増えないのだから、原動力もない代わりに、平均値を落とす員数が増えることもない。また、アメリカの最近の調査では、預金のある層は概ね50%で、その平均的貯金のモデルケースは家や資産を別にして、20万円程度だ。ただし、これとは別に、クレジットの支払いが待っている。日本人の場合は、貯蓄に対して、無目的な傾向があるが、一人当り、500万円はあるようだ。
俺のところは、そんなに無いと叫んでも、調査結果だから仕方がない。ピンキリをカットした上で、モデル家庭を調査した結果、夫婦で1100万円程度の貯蓄がある。おそらく、この貯蓄は、いずれは目減りしても子のものになり、いずれは孫のものになる。家にも同じことが言える。買い替えるにしても、頭金程度の足しにはなる。この日本人の周到さは、貯金に執着のない韓国人なんかも吃驚している。アメリカ人も韓国人も、宵越しの金は持たないか、そもそも持っていないかのどちらかだ。
それに比べると、日本人が如何に国家を信用していないかが良く判る。自助共助と強制される前から、自助だったのだ。転ばぬ先の杖、蟻とキリギリス。日本民族はいつなんどき時と云う危機意識は、無いようである。長い歴史の中で、身につけた民族の生きる知恵だろう。ナケナシノ収入からでも、貯蓄したくなるのが日本人。どうも、本質的に、日本人は国を信用していない。だから政治への関心も低くなる。安倍が首相でも、志位が首相でも、自分の生活への影響は軽微と考えている狡猾さも備えている可能性がある。ただ、気分的(空気)に、自民をやっつけろ!野党なんて野合だ!と口パクしているのが平和な国日本なのだと考える。日本にもサンダース現象は起こり得るが、10年以上先になりそうだ。
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