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国連の場で慰安婦強制はなかったと発言した日本政府の矛盾−(天木直人氏)
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18th Feb 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
ジュネーブで開かれていた国連の女性差別撤廃委員会の席上で、
およそ考えられない日本政府代表の答弁が行われた。
すなわち杉山晋輔外務審議官が慰安婦の強制はなかったと述べたというのだ。
報道によれば、「慰安婦の強制的な連行を示す証拠はないとの意見が最近出ているが、
日本政府のコメントを求める」と質問されたのに対し、
「いかなる資料でも強制連行は確認できなかった」と答えたという。
聞かれたから答えたまでだと言わんばかりだ。
しかし、これは日韓合意に背くものだ。
日韓合意では安倍首相が日本軍の強制を認め謝罪した。
だからこそ韓国はその事で不可逆的にすることに応じた。
よくもこのような矛盾した発言が許されるものだ。
しかし、ここで問題とされるのは、この杉山外務審議官の発言だけではない。
報道によれば、杉山審議官は他にもべらべらと驚くべき事を喋っている。
性奴隷といった表現は事実に反するとか、朝日新聞の捏造記事による空想の産物だ、
などと発言をしている。
外務事務次官になろうとする官僚が、こんな発言を勝手に言えるはずがない。
これはまさしく安倍首相によって言わされているのだ。
国際発信力を高め、言いたい事を言う、という安倍首相の方針に沿った発言なのである。
むしろ、杉山外務審議官は、そう言わなければ、
目前にぶら下がっている外務事務次官のポストを棒にふることになるのだ。
それにしてもこのような発言が国連の場で行われた事に対し、
国連や世界はどう受け止めているのだろう。
日本のメディアはまったく報じない。
そしてほとんどこの杉山発言を批判的に書かない。
私が何よりも驚くのは韓国政府の反応だ。
この杉山発言を知った韓国外務省当局者は17日、
「慰安婦動員の強制性は、国際社会がすでに明確に判定を下した否定できない歴史的事実」と
反論はして見せたらしい。
しかし、日韓合意を踏まえ日本政府批判は避けたという。
すべては「日韓合意」なのだ。
その後どんなに反対が起きても、暴言が繰り返されても、すべては日韓合意で片づけられるのである。
しかし、その日韓合意とは何か。
文章として残っていない日韓合意が慰安婦問題のすべてを片づける。
それは安倍政権と朴槿恵政権限りの談合であるということだ。
必ず日韓両国関係の将来に禍根を残す事になる。
そうなのだ。
いま我々が目にしている日韓関係は、ごまかしの外交によってつくられたもろいものだ。
こんな二国間関係は、関係は世界広しと言えども日韓関係しか通用しない。
日韓関係のもろさと危うさとなれあいを象徴する日韓合意である。
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