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古賀誠こが・まこと/1940年生まれ。議員秘書から80年の衆院選に旧福岡3区で初当選。以来10期連続で当選し、運輸大臣、自民党国対委員長、党幹事長、党選対委員長のほか、日本遺族会会長などを歴任した。2012年11月に政界を引退。現在は派閥「宏池会」(岸田派)の名誉会長(撮影/写真部・大嶋千尋)
古賀誠「自民党若手の劣化」を叱る「若い人は修羅場を経験せず、ただ安倍さんを恐れている」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160218-00000003-sasahi-pol
週刊朝日 2016年2月26日号より抜粋
相次ぐ閣僚の失態と“ゲス不倫”で若手が議員辞職に追い込まれるなどスキャンダルが止まらない自民党。党重鎮の古賀誠氏、総裁選出馬に意欲を見せる野田聖子前総務会長、その元夫で参院幹部の鶴保庸介氏が鼎談し、たるんだ今どきの自民党若手に“喝”を入れた。司会は政治、経済、芸能、闇社会まで幅広い著述活動を展開する大下英治が務めた。
* * *
野田:宏池会としての候補者を模索しているという話を聞いていたもので。そもそも私自身が出ようと思った総裁選じゃないんです。
鶴保:一生懸命(候補者を)探しまわっていたね。
大下:総裁選は古賀さんと一緒に宏池会が動いてもよかったと思いますが……。
古賀:岸田(文雄・外相)さんが内閣の一員として、総裁選に立候補する人を応援するという、毅然としたところはあってほしかったとほのかな期待もあったけれどね。(宏池会には)大臣が5人いたけれど、その人たちがまるで総裁選をやらないために選ばれているかのようで、あれはよくないね。
野田:(総裁支持の)血判状に恐れをなして、私がお願いしていた方もいろいろ事情があって、振り出しに戻ってしまったのが(総裁選の)2週間前です。
古賀:総裁選には、誰かが手を挙げないといけない。総裁選を通じて、反対と賛成だけじゃない、中間層が一番広いし、そこに真実がある。政策論争をしてしっかりと自民党を理解してもらう、信頼してもらう。総裁選をしないとそれができないから、野田さんは自分がやるんだと。それが立派。
野田:古い人間なんですよ。私ね、総裁選のときに、無派閥の若い議員の人たちに電話をして、「総裁選を実行したいんで、推薦人になってくれませんか。若い人のための開かれた政治をつくっていきたい」という話をするわけですよ。そうすると、とぼけた声で「総裁選ってやらなきゃいけないものなんですか?」って言うわけ、今の若い子たち。ああ、わかっていないんだなと。彼らは政策論争の必要性を理解していない。そこですごいジェネレーションギャップを感じてしまった。
鶴保:今の若い方は、中選挙区制時代の議員に「先生方は自民党同士で戦ったそうですね。信じられません」と言うんですよね。自民党の中で戦っているという感じがわからないんじゃないですか。
古賀:最初からつくしの坊やみたいにすすっと出てきて苦労もないし、自民党という看板で選挙をやって、政策もない、そういう若い人はやっぱりつくしの坊やだからすぐにへたってしまう。そういう人が圧倒的多数になっているんじゃないかな。
鶴保:政策論争をして党内で優劣がついて「あいつは俺とは考え方が違うんだ」というものを包含する温かみが減ってきた気がするんです。政策論争をする対立軸をつくるのに総裁選をする野田先生の気持ちはわかるんですが、「あなたはいいが、応援するわれわれは大変な目にあう覚悟をしないといけない」という感じが若い人の中にはやっぱりある。「お前は向こうの候補者を応援するからだめだ」ではなく「中にもこんないいやつがいるからちょっと上げてやろう」という懐の広さが昔の自民党にはあったのかと思うんです。
古賀:鶴保さんの話を聞いていると、そんなに恐ろしいものなのかね。
鶴保:そう若い人は思っていると思いますよ。
古賀:安倍さんは懐が広いと思うよ。若い人たちは、自分たちが苦労せず勉強が足りないことを棚に上げて、勝手に思っているだけだと僕は思うけれどね。
野田:総裁選のあと、「野田聖子は干される」とか言われましたけど、私が災害対策委員長になると、若手議員が来て「官邸に対してモノを言うと干されると思っていたんで黙っていたんですけれど、野田さんはあそこまでやっても委員長になれるんなら、これからはモノを言います」と言う。はあ?と。けっこうそういう人がいるんです。
古賀:自分で勝手に、安倍さんに刃向かうことはいけないことなんだと思っている。やっぱり試練と修羅場を経ていないから。
鶴保:今までの自民党のやり方でも、党内の部会で決まったものが総務会なりに上がってくるんですが、そこでみんな思考停止しているんですよ。そこに出ている議員が部会の全部を知っているわけじゃないし、めんどくさいし、考えるのやめようと。もっと根深い問題のような気がする。
(構成 本誌・長倉克枝、上田耕司)
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