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左・吉本興業株式会社公式HP 芸人プロフィールより/右・アヴァンセプロダクション・スクールHPより
坂上忍が安倍政権の武器輸出政策にNO! 山里亮太は米国の戦争政策に違和感表明…フジTVで勇気ある発言が次々
http://lite-ra.com/2016/02/post-1985.html
2016.02.17. 坂上忍と山里亮太が戦争政策にNO! リテラ
「『指一本触れてはならない』と考えることで思考停止になってはならない」──安倍首相は今月4日の国会答弁で改憲により踏み込み、憲法9条の改正に意欲を示した。思考停止どころか思考が明治の大日本帝国憲法までタイムスリップしてるのはアンタのほうじゃないか、と言いたくなるが、そんななか、あの人物がまたしてもテレビで安倍政権にNOを叩きつけた。
あの人物とは、俳優・タレントの坂上忍だ。
坂上は、先週放送された『金曜プレミアム 池上彰緊急スペシャル!! なぜ世界から戦争がなくならないのか』(フジテレビ)にゲストとして出演。番組では軍需産業にスポットをあて、アメリカの戦争ビジネスを紹介したが、そこで坂上は、
「どうしてもアメリカっていうと、しょっちゅうしょっちゅう戦争をしているような印象があるので、僕はやっぱいまのVTRを見ると複雑な気になっちゃいますよね。日本はやっぱああはなってほしくないなって思いはあります」
と発言した。だが、このあと番組はさらに日本においても2014年に防衛装備移転三原則が制定され、昨年10月に防衛装備庁が発足したことで、アメリカと同様、戦争ビジネスに本格的に日本が参入、動きが強まっていることを指摘。すると、坂上は再び口を開き、こんな危機感をあらわにした。
「日本なんて“ものづくりの国”じゃないですか。そしたらやっぱ日本のそういう力を結集して輸出できるってなったら、コストも下がって、すごい産業になっちゃうんじゃないですか?」
そして、“戦争が起これば日本の景気が良くなる”という構造に対し、このように自身の感想を述べたのだ。
「きれいごとになっちゃうのかもしんないですけど、こういうの(防衛装備の移転)で景気良くなっちゃうんだったら、ちょっと景気我慢してたいなって気にはなっちゃいますよね。もっと別のところでね、なんか頑張れないのかなって」
戦争による景気の回復なんて望まない──。日本人はことさら「景気」の二言に弱いが、坂上は“死の商人”の暗躍で暮らしが向上するくらいなら我慢したほうがマシ、と言い切ったのだ。
人気の芸能人がこういう発言を行うと、「それは儲けている人の考え」「芸能人に景気は関係ないでしょ」という批判が起こりかねない。しかし、これが坂上の偽らざる本音だったのだろう。実際、この発言のすぐあと、坂上はこうも言った。
「どんどんどんどんアメリカに寄っていくのが、イコール戦争に寄っていっちゃってるのが、やっぱこわいですよね」
そう、坂上は“安倍政権のアメリカ追従によって、いま日本は戦争に近づいていっている”と訴えたのだ。
ご存じの通り、坂上が安倍政権に批判を述べるのはこれがはじめてではない。昨年秋、安保法制が国会で可決されようとしていたその日の午後も、自身がメインMCを務める生放送の『バイキング』(フジテレビ)で「(安保法案は)ぼく、大反対なんですね」と断言。その上で、9条への思いをこう語った。
「武器持たないで憲法9条持ってりゃいいんじゃないの? だって、被爆国なんだから。被爆国にしかできないことあるわけで、いまだからこそ、武器持たない日本でいてほしいなっていうのが強い想いですかね」
さらに、昨年10月に放送された、同じく池上の『池上彰のニュースそうだったのか!! 2時間SP』(テレビ朝日)でも、坂上は果敢に発言。この日、同じくゲストの小籔千豊が「僕はライト独裁(がいい)」などと言い出したのだが、そのときも坂上は、
「安保法案のときの採決の仕方なんかは独裁っていったら独裁の匂いもしますからね。あんなやり方」
と、小籔の発言を暗に批判しながら、“独裁的な安倍首相のやり方はおかしい”と苦言を呈したのだ。
そして今回の、戦争特需の拒否と戦争ビジネスに参入した安倍政権への明確な批判発言。──こうして振り返ると坂上は、テレビを主戦場にする有名人のなかでも抜きん出て、積極的に真っ当な見解を示しつづけていると言っていいだろう。
さすがは坂上、空気を読むことを忌み、「嫌われる勇気をもて!」と述べてきただけある、と感心することしきりだが、この放送ではもうひとり、本質を突く発言をしたゲストがいた。なんと、南海キャンディーズの山里亮太だ。
「ブッシュ大統領が『自由・平和のために戦う』って言って起こした戦争の結果が、いま、世界中に問題を起こすきっかけになっているじゃないですか。はたして『自由・平和』ってのを、ほんとうにあの人はわかって言っていたのかな、と思いましたけどね」
山ちゃん、よくわかってるじゃないの。……この発言の書き起こしを読んで、感心した読者も多いと思うが、じつはこの日の番組はこうしたコメンテーターだけでなく、番組の姿勢もかなりきちんとしたものだった。
山ちゃんのコメント前に流されたVTRでは、ブッシュの欺瞞がきちんと解説されていたし、前述した国内の武器ビジネスについてふれた際には、防衛産業関連企業ランキングを紹介。テレビ局にとっては大スポンサーである三菱電機やANAホールディングス、富士通、東芝などの企業名もはっきりと出し、さらに池上は、安倍政権の武器輸出政策の背後には経団連がいることもしっかり解説していた。
また、番組の最後を飾った池上のメッセージも、非常に重みがあるものだった。
「昔もいまも、勝手な思想を他人に押し付けようとする勢力がいる。それによって戦争が起きる。それに対して、二度と戦争を起こすまいとする努力もつづけられている。(中略)しかし、戦争で利益を得る組織があるということも事実ですよね。で、そこにはメディアも含まれているんではないか、ということなんですね。
メディアによって実態が隠されたり歪められたりしますと、わたしたちは戦争について正しく認識することができない、あるいは正しく反省することが難しくなるのではないか、ということです」
さらに池上は、こう畳みかけた。
「戦時中の日本の新聞などのように、受け手の気分が良くなるように、という報道ばかりしていると、わたしたちは現実を見失ってしまう恐れがあるんです。だからこそメディアは戦争報道の仕方について自らを戒め、権力に利用されずに、きちんと事実を伝える、そういう役割を果たさなければならないんだと思います」
──これを政権ベッタリのフジテレビで言ったことには大きな意義がある。 昨年6月の「なぜ韓国はそこまで日本が嫌い?」という特集のときにはヘイト
まがいの内容に加え、韓国・ソウルの街頭インタビューに捏造の吹き替えをかぶせたことが発覚。大きな批判を浴びた同番組だが、今回の内容については、高く評価したい。
そして、芸能人としてのリスクをおそれず、正論を口にした坂上忍、山里亮太の勇気にも改めて拍手を送りたい。
(水井多賀子)
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