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「『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』著者蓮池透氏インタビュー:岩上安身氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/19455.html
2016/2/13 晴耕雨読
https://twitter.com/iwakamiyasumi
これより、2016年1月27日に行なわれた、岩上安身による『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』著者「拉致被害者家族会」元事務局長・蓮池透氏インタビューの模様を報告ツイートします。
岩上安身(以下、岩上)「蓮池さんの著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』が大きな反響を呼んでいます。これまで10数年間、耐えかねていた気持ちを、ここまで赤裸々に明かしたのは初めてではないでしょうか?」
蓮池透氏(以下、蓮池氏)「マスコミが知っていて報道しなかったことを、今回、私が活字にしただけです」
岩上「国会では1月12日の衆院予算委員会で緒方林太郎議員が同書を取り上げ、『拉致を使ってのし上がったのか』と安倍総理を追及した」
岩上「安倍総理は『当時は(一時帰国の)5人を北朝鮮に戻す流れだったが、私が断固反対した。あなたの批判は北朝鮮の思うつぼだ』と逆上。同書を『利敵行為だ』と糾弾するまでに至りましたが、どう思われますか?」
蓮池氏「北朝鮮の思うつぼ、国論を二分する、という言い方は昔からありました。平沢勝栄議員と山崎拓議員が北京で北朝鮮高官と独自交渉をした時も、『北の代弁者だ』と大きな批判があった。北朝鮮への融和策をとると必ず批判が出ます」
蓮池氏「安倍さんのことは『小泉首相について行っただけ。帰国後、被害者家族に優しくして人気を得て首相まで上り詰めた』と思っています。第1次安倍政権には期待したが、彼はすぐ総理の座を投げ出した。あれで安倍さんを見限りました」
蓮池氏「その後、政権に返り咲いたら、また拉致問題を言う。政治利用の何ものでもない。歴代総理で拉致問題を一番口にしたのは安倍さんかもしれないが、彼がやったのは、経済制裁、拉致問題対策本部と担当相の設置。この2つしかない」
蓮池氏「2014年のストックホルム合意は、2008年の福田政権下で決めた。合意に6年かかったのに安倍総理は『日朝協議で解決した。拉致被害者が帰って来る』と手柄にした。甘っちょろい経済制裁の一部解除しかやっていないのが真相ですが」
蓮池氏「緒方議員の国会質問は寝耳に水でした。私の本意は拉致被害者を取り戻すことで、安倍政権打倒が目的ではない。日本政府、外務省の対応に不備はないのか、自分たちにも不手際がなかったか、問い直す思いでこの本を書いたのです」
蓮池氏「小泉訪朝から14年過ぎた今、なぜ上梓したか。このままでは拉致問題は消え去ってしまうとの危機感があり、一石を投じたかった。もし、安倍さんが『拉致問題の安倍』と吹聴してのし上がったのなら、恩返しをしてもいいのでは」
岩上「小泉訪朝は大きな衝撃で、世間を騒然とさせました。拉致問題については、関心も途絶えずに続いてきた運動のように思われていますが、かなり時間が経ち、新しい世代は北朝鮮による拉致事件をよく知りません」
蓮池氏「このままでは安倍さんの功績になってしまう。それは違うと。動いたのは小泉元首相。他の議員は口だけ。そもそも北朝鮮や中国の脅威を煽って安保法制を通すような人たちが、ストックホルム合意で対話を持ち出すなど矛盾です」
蓮池氏「北朝鮮と対話ができるんだったら、集団的自衛権は要りません。また、安倍さんは『再調査は意味がない』と昔から言っていた。それでも2014年5月、再調査をするとした。ところが、秋になっても結果は出ませんでした」
蓮池氏「日本政府が再調査の結果に満足せず、北朝鮮側に報告を突っ返したと聞きましたが、私もそう思う。菅官房長官が『北朝鮮が(報告を)1年延期にした』と発表したが、安倍さんはそれについて何の説明もしていません」
蓮池氏「だが、メディアが大々的に報道し、1年延期が既成事実になった。家族には1年がとても長い。その1年も、予定の7月から9月18日に変更。2ヵ月延期の責任は誰がとるのか。すると岸田外相が『期限を設けない』と言い出した」
蓮池氏「昨年9月18日は安保法制の参院審議の真っ最中です。拉致問題の報告期限をもみ消すために、この2つをぶつけたという話もあります」
岩上「安倍総理の電撃訪朝を口にした飯島勲内閣官房参与の言動も、おかしな話ですね」
岩上「国会で安倍総理は『家族会にも同書への強い批判がある。その質問自体が拉致の政治利用』『私は5人を北朝鮮に戻すことを断固阻止した』と。さらに『(同書は)私の名誉を傷つけようとしている』とも断じて、かなり攻撃的です」
蓮池氏「逆ギレは本人にやましい部分があるから。一国の総理として著しく度量に欠ける。2002年10月10日の国会では安倍官房副長官(当時)同席で、アジア太平洋局長の田中均氏が『被害者は1〜2週間で戻ってもらう』と答えている」
蓮池氏「安倍さんが断固反対したと言うなら、その時に『戻してはダメだ』と主張したはずです」
岩上「当時、安倍さんが、蓮池薫さんや地村保志さんなど拉致被害者の人たちに、直接『北朝鮮に戻るな』と言いに来たりは?」
蓮池氏「一切ありません。電話ででも『戻るな』と言ってほしかった。引き止めていたのは私だけ。日本政府は北朝鮮にいる子どもに土産を買う予定まで決めていた。安倍さんが官邸内で反対したとしても、当事者に伝わらなければ意味がない」
蓮池氏「弟には、日本に残るか、戻って子どもをとるか、究極の選択だったが、戻らないと決めた。中山恭子内閣官房参与は『次回は全員帰って来られる。(北朝鮮と)そういう約束がある』と言っていたが、弟は『二度目はないだろう』と」
蓮池氏「将来、子どもたちが日本に来る可能性を信じ、戻らないと決断。弟は10月24日朝、中山氏に電話をした。ところが朝日新聞は、安倍さんの発言として『10月23日、5人の日本帰国の意志を携帯電話で確認した』と報じたのです」
蓮池氏「そんなこと、ありえない。当時、5人は携帯電話なんて持っていません。北朝鮮の監視員が携帯を渡そうとしたのも阻止した。5人にとっては、北朝鮮政府の指示に従わないことは心の負い目となったが、それでも戻らないと決めた」
岩上「安倍さんがウソを言ったのか、朝日新聞が間違ったのか。安倍さんは今回の国会答弁で『私は断固反対した』とタンカを切っている。北朝鮮に戻るな、と自分が被害者を説得したと言い張るんでしょう。それが手柄ですから」
岩上「そして当時を知らない若い人たちには、安倍さんは拉致被害者を取り戻したヒーローとして刷り込まれます」
蓮池氏「私が講演で、『中山さんも安倍さんも、拉致被害者の帰朝を止めていません』と話すと、みんな驚きますよ」
蓮池氏「弟の決断のあと、政府内で戻す戻さないで意見が割れた。戻さない派が安倍さんと中山さんですが、直接止めてはいません。政治利用でもいいですが、反対したと主張するなら、あの時『一時帰国ではダメだ』と言うべきでしょう」
蓮池氏「一番腹が立つのは、本人の意思など明かせない状況なのに、日本政府が『当人の意志次第』と言っていたこと。当時の官房長官の福田康夫元首相が、被害者を帰すか苦悩したと新聞で語っていたが、苦悩したのは弟であり、私です」
岩上「安倍総理は『批判は北朝鮮の思うつぼ。そういう工作は今までにもあった。1冊の本で誹謗中傷するのは無責任だ』と。批判を許さないなんて北朝鮮と同じですね。質問者も『携帯で意思確認』の件などを追及してほしかった」
蓮池氏「自分への批判を許さず、『工作だ』と言い続けている。自己弁護や保身ではなく本当のことを言って、国会では建設的な議論をしてほしい。私たちは国家権力対個人の闘いで、国益のために家族を捨てろと強いられてきたんです」
岩上「拉致問題でのし上がったもう1人が、日本のこころを大切にする党の中山恭子代表。2016年1月19日参院予算委員会で『(同書には)事実と異なることが多く、工作関係者に利用されている』と、蓮池氏を工作員呼ばわりしました」
蓮池氏「そうなら私は逮捕されるでしょう。無視するなら、国会で取り上げなきゃいい。ある人に『憲政史上、一般人を捕まえて名誉毀損の発言は初めてのことだ』と言われました。人権侵害です。中山氏にはすぐ辞めていただきたい」
岩上「中山氏は『透さんはご自身で気づかれていないかもしれないが、工作関係者に利用されている』『日本国内に工作活動をする動きが日常的にあることを、日本人は知るべき』と。妄想レベルだが、不安を煽動する危険な発言です」
蓮池氏「中山さんご自身も、やましいところがあるのでしょう。あまりにひどいので、私も民主党関係者に国会で再質問をお願いしたんですが、その気はないようです。むしろ『身辺に気をつけろ』と返されてがっかりしました」
蓮池氏「これを問題視する議員がいないのも疑問です。安倍さんも、その通りだと答弁した。『われわれを批判するのは、みな北朝鮮(工作員)だ』と言うに等しい。安倍さんを批判するとサヨクだと決めつける世の中に息苦しさを感じます」
蓮池氏「すでに緊急事態条項に近い状態で、在京TV局は、この本の表紙もタイトルも放送できない。朝日新聞の書評欄でも書けないそうです。でも今時、拉致問題を解決しようなんて書名じゃ誰も振り向かない。だから過激にしたのです」
岩上「蓮池さんがこの本の出版に至ったのは、拉致問題の政治利用を含めて、秘密保護法、閣議での集団的自衛権行使容認の解釈改憲、安保法制、そして緊急事態条項での改憲へと進む、今の政治への危機感があってのことですか?」
蓮池氏「ストックホルム合意の進展がないのは、国会が安保法制にかまけて拉致問題が入る隙がないからです。安倍総理は施政方針演説で『核、ミサイル、拉致を包括的にやる』と表明。そうなると、解決まで何年かかるかわからない」
蓮池氏「北の核実験はショックでしたが、拉致問題はもっと早く進めることができた。日本政府は拉致問題にあまり関心がないのでしょう。経済制裁には、安保理制裁と日本独自の制裁があり、どれが拉致問題への対応なのか不明です」
岩上「強硬派が言うように、北朝鮮を戦争でぶっつぶし核もミサイルも拉致問題も一気に解決できればジレンマはない。しかし、国体を崩壊させるとしたら相手が何をするかわかりません。書類も当事者もすべて抹殺してしまうでしょう」
蓮池氏「いったん解除した経済制裁を閉ざさないことです。安倍総理の『対話の扉を閉ざさない』とは、そう理解しています。今、勇ましい話は受けがいいですが、日本にとっては原爆も水爆も同じ。日本海側には原発もたくさん並んでいます」
岩上「蓮池さんは東電に勤務していたので、原発には詳しいですが、建屋に直接、ミサイルが当たらなくても、配管や電線がやられたら、すぐ全電源喪失になってしまいますよね?」
蓮池氏「あっという間に電源喪失します。原発建屋もミサイルに耐えられません。建屋は屋根が弱い。誰も心配しないのが不思議です。私が東電に在職中、政府とのヒアリングで、原発へのミサイル攻撃について質問が出ました」
蓮池氏「政府は、法治国家でそういうことはあり得ないと答えた。つまり、答えは考えておらず、そう言うしかない」
岩上「原発と平和はセットで成り立つ。しかし拉致問題では、北朝鮮に特殊部隊を送り込むと真顔で言う人もいる」
蓮池氏「経済制裁は平和的解決と武力行使の間にあって、武力行使に近い手段だと思う。だから、戦略的に行う必要がある。2006年に安保理決議があり、日本は独自制裁を発した。拉致の制裁は後づけで、戦略はありません」
蓮池氏「経済制裁に効果があれば、拉致被害者は誰か帰って来ているはず。マスコミは、北朝鮮が困窮して物資がないと報じているが、それは制裁の効果ではない。拉致被害者が帰ってくることが『効果』なんです。よく考えて言葉を使ってほしい」
岩上「最初、拉致被害者や家族に気を遣ってスタートしたことを、逆に、ある人たちは政治利用して、文句を言えないタブーにしてしまった。蓮池さんのこの本は、そのタブーを破ったんですね」
岩上「改めて拉致問題について。政府認定の拉致被害者は17名。特定失踪者868人。拉致は1960年代に始まり1970年代に多発。1987年、大韓航空機爆破事件で金賢姫容疑者の逮捕があり、彼女の日本語教師が拉致被害者との報道が駆け巡った」
蓮池氏「特定失踪者とは警察に届け出があった数で、今890人くらいです。民間の特定失踪者調査会が支援しています。(薫氏の妻)祐木子が拉致されたのは工作員にするためで、日本語教師にという理由は後から言われるようになりました」
蓮池氏「北朝鮮はレバノンで工作員に逃げられた教訓から、送り出しても戻ってくるようにカップルを拉致。高齢者は日本のパスポートや戸籍のため、曽我ひとみさんはジェンキンスさんの花嫁候補で、横田めぐみさん拉致の目的は不明です」
岩上「1988年、共産党の橋本敦参院議員が拉致を国会で取り上げ、梶山静六国家公安委員長が、北朝鮮の疑いが濃厚と答弁。警察はそれ以前から交信傍受などで不審な動きを察知していた、とも。この時は世論に火が点かなかったのですか」
蓮池氏「マスコミもベタ記事扱いで問題視していなかった。この時点でもっと大きな問題になれば成り行きも変わっていた。拉致問題には橋本敦議員秘書の兵本達吉氏が熱心でした。産経新聞の阿部雅美記者は1980年、一面に記事を書いた」
蓮池氏「脱北した工作員から、横田めぐみさんの信憑性の高い情報が出て来たので、1997年に『家族会』、支援団体の『救う会』が結成されました」
岩上「2002年、小泉首相の第1回訪朝で平壌宣言を発表、北朝鮮は拉致を認めました」
岩上「2001年には米国同時多発テロがあり、ブッシュ大統領が悪の枢軸と名指した北朝鮮相手の交渉には、当初、疑問もありました」
蓮池氏「小泉訪朝には大きな期待をしなかったので結果に驚きました。小泉さんは根性がありましたね」
蓮池氏「2001年、朝鮮赤十字が日本人行方不明者の調査を中止したが、田中均氏と仲介者との交渉で、拉致を認める流れになった、と。弟は、モーターボートで遭難し北朝鮮に助けられたというストーリーを作らされたそうです」
岩上「北朝鮮は8名死亡・5名生存とし、地村保志さん、濱本(地村)富貴惠さん、蓮池薫さん、奥土(蓮池)祐木子さん、曽我ひとみさんが帰国。家族会は2003年、その発表を疑問視。訪米してアーミテージ国防副長官(当時)に直訴しています」
蓮池氏「私も訪米しました。米国は頼りになるかと思ったが、いろいろロビイングしてもマスコミ向けのリップサービスだけでダメだとわかった。その時、中山さんたちはいろいろとお膳立てをした。日本政府がダメだから訪米するのに」
蓮池氏「訪米の根回しには熱心でも、弟らが帰国した時、日本政府は花束すら用意せず、ホテルの電話代や飲み物代は払わない。2002年以前、私たちは国連に拉致を人権問題で訴えようとしましたが、政府の支援実績がなく断念しました」
蓮池氏「北朝鮮は国連をあまり恐れていませんが、今回、国際司法裁判所に金正恩を訴えようとしたら、ものすごく嫌がっています。彼は非常に短気らしい。先日の核実験も諸説あり、ブチ切れて発作的にやったと指摘する人もいるくらいです」
蓮池氏「5月に36年ぶりの労働党大会があり、核実験はそれに向けた花火だとも。北朝鮮の対中関係が危うくなったら労働党大会はできません。金正恩と対峙する日本政府は、相当研究して対処しなければなりません」
岩上「金正恩は3代目で革命も知らず、先代へのコンプレックスも強いでしょう。虚勢を張ったり逆ギレしたり、安倍さんに似ている面もある。だからこそプライドを立ててやらないといけないが、下手に出ても日本のメンツが立ちません」
蓮池氏「対等に。対韓国もそうですが、上から目線ではうまくいかない。金正恩は経済や外交実績、カリスマ性もないから、核でしか権力を保てない。気に入らないと殺すので助言できる側近もいない。ボトムアップはまったく機能しません」
蓮池氏「小泉首相は、北朝鮮が拉致被害者8名の死亡を認めたから平壌宣言に署名しました。しかし、それは被害者の人権軽視です。死亡ならば、賠償、犯人摘発、証拠の提示などを要求しなければならない。そこは不満があります」
岩上「2004年、小泉首相の再訪朝。被害者の子どもたち5名帰国。曽我さんはジャカルタで夫や娘と再会して家族で帰国。2006年、2009年に核実験。2010年、金賢姫が超法規的措置で来日、横田夫妻と面会。2011年、金日正が死去」
蓮池氏「日朝間に、米国、中国、韓国、もしかしたらロシアも絡み、その中で翻弄された印象が拭えきれず、それが本を上梓する動機にもなりました。横田めぐみさんは13歳で拉致され、今51歳。事件発生から40年近くたっているのです」
岩上「政治利用され続けてきた拉致問題、その典型例が安倍総理。北朝鮮を悪とし、偏狭なナショナリズムを煽りたて、右翼の支持を獲得。戦後のアジアで加害者であり続けた日本が唯一、被害国として主張できるのが拉致問題なのですね」
岩上「また、蓮池さん自身、『自衛隊の個別的自衛権を発動しろ、憲法9条がいけない、などと過激な言動をした時期もあった』と振り返っています」
蓮池氏「その頃は、左翼系の人たちからメチャクチャ叩かれました」
蓮池氏「今は右翼系から叩かれ、どんなスタンスでいればいいのか。ただ、当時の自分はとても無知でした。2002年9月17日、突然、マスコミに祭り上げられ勘違いした。忙しすぎて自省の余裕もなく、イケイケドンドンになってしまった」
岩上「家族会ができて、いろんな思想の人たちが寄ってきた。特に、右派の西岡力氏(救う会会長)や現代コリア研究所所長の佐藤勝巳氏に強くオルグされた、と」
蓮池氏「情報に飢えていたので、自覚もないまま右傾化していきました」
蓮池氏「ある記者の取材メモに『家族会の右傾化』とあり、問い質したら、『やっていることすべて右翼ですよ』と返答されて気づきました。それから弟の話も聞き、反省して勉強し、2004年頃から制裁より対話だと主張し始めました」
蓮池氏「2000年頃、河野洋平外務大臣は北朝鮮にコメ支援を盛んにやり、交渉のテーブルに着かせるんだと。政府も今とは真逆の姿勢だった。でも、私たちはそれに怒って外務省に座り込んだり、自民党本部に向かって拡声器で叫んだり」
蓮池氏「私たちの立場は2002年からガラリと変わった。歴代総理大臣はすぐ会ってくれるし、調子に乗っていた。だが、経済制裁をやるなら全員救出のあとでいい。2006年から制裁をして誰も帰って来ないのだから、交渉しかない」
岩上「人質をとって立てこもっているようなもので、人質を取り返す前に特殊部隊を突入させても、人質は殺されてしまう。安倍総理は『被害者が家族と抱き合う日まで、私の使命は終りません』と言う。あまりにも感情的、情緒的です」
岩上「蓮池さんは『誤解を恐れずに言えば、残念ながら最悪の事態を考慮せざるをえない時期にきている』と。田原総一朗氏は横田めぐみさんは亡くなったと発言し名誉毀損で100万円払った。現実は『わからない』というのが正確なのですね」
蓮池氏「生存を願う家族の気持ちに政府が引きずられて、シビアな外交交渉をしないのは、どうなのかと。それに対し、『弟が帰って来たからそう言える』との非難もありますが、弟は帰国を果たせない被害者への負い目が強いんです」
蓮池氏「体は自由でも、精神的な不自由さはまだまだある。喜んでいると、めぐみさんがまだ帰って来ないのにと咎められ、ふさぎ込んでいると嬉しくないのかと非難される。黙っているのが一番楽なのだろうが、私は中途半端はイヤなんです」
岩上「当時、薫さんから相談などあったのですか」
蓮池氏「まったくありません。私は日本の婚姻届や免許証、パスポートの話をして留まるよう説得していました。戻る予定の3日くらい前に、弟は『兄貴、決めた』と言いました」
蓮池氏「弟は北朝鮮での処世術で、国に従順な態度は変えない。強大な軍事力を小国に向ける米国はけしからん、と言う。さすがに『金正日、万歳』とは言わないが、それも北朝鮮の指示でした。事前にすごく打ち合わせをしたらしい」
蓮池氏「北朝鮮の生活は、毎日が緊迫していたわけではなく、時にはのんびりできたそうです。ただ、ソ連が崩壊したり、米朝間が緊迫したような時は身の危険を感じたらしい。戦争になったら落ち合う場所を子どもたちと決めていたそうです」
蓮池氏「私と弟の言い分はすれ違いばかりだったので、『戻らない』と聞いた時はびっくりしました」
岩上「薫さんたちが日本に留まると決断したので『渋々方針を転換し、結果的に尽力する形になったのが、安倍・中山両氏だった』と」
岩上「2002年11月、拉致被害者支援法の草案に『(被害者に)慰謝』とあり抗議して削除。支援金は1人月額13万円。少ないと指摘すると、野党が委員会審議で金額を釣り上げる予定と説明されたが、実際は野党が『高すぎる』と主張した」
岩上「蓮池さんが『国の不作為を問う国家賠償請求訴訟を起こす』と迫ったら、安倍さんは『国の不作為を立証するのは大変だよ』と応じた、と」
蓮池氏「国は冷たいです。民意を汲まない。原発事故の被災者や沖縄の基地問題も同じです」
蓮池氏「支援金は3年間の時限立法で、3年で自立しろということ。他に収入があれば減額です。弟に翻訳の収入があった時、支給はなかった。年金は最低額支給されるが、税金を使っていいねと嫌みを言われる。パチンコなんて絶対行けない」
蓮池氏「弟は支給期限が切れた時点で延長を申請せず、もらった分は印税の税金で相殺した。年金も要らない、金輪際、国からは一切もらわない、と。ただし、日本が北朝鮮に損害賠償を請求し、北朝鮮が払うのだったらもらう、と」
岩上「薫さんのお母さんがタンスを買ってやりたいと政府の支援室に頼むと3万円だと。それでは足りないので10万円のタンスで3万円補填できるか聞くと断られ、3万円の領収書を出せと言われた。わざと困らせようとしているみたいだ」
岩上「ご両親は年金暮らし。急に家族が増えて正月の食費がかかるので中山氏に願い出た。すると薫夫妻の分の領収書を出せと言われた」
蓮池氏「問題なのは、この基本方針が変わっていないこと。(一番若い)めぐみさんも高齢になります」
蓮池氏「自立しろと言っても無理。国が老後の面倒を見るようにしないと誰も帰ってきませんよ。政府はこれから戻る拉致被害者には3億円予算をつけたと公表。3億円がひとり歩きし、被害者は裕福に暮らしていると誤解される」
蓮池氏「その金額は、拉致被害者十数人の約5年分の総額です。1人分は公表せずに、政府は拉致被害者に手厚くしているという印象をアピールしている。そういうことを本で洗いざらい明かして、世間の誤解を解きたかった」
岩上「一般の人たちから薫さんに寄付があっても、すべて家族会に送ってしまうんですね。また、家族会には民間から集まった寄付金がかなりあるが、それを帰国者支援に使うことはなかった、と。これにも驚いたのですが」
蓮池氏「宛先を指定していない寄付金は家族会に渡します。家族会の活動費に使うそうです。弟へと指名がある分は受け取ります。一度、祐木子が病気になり医療費が高く、家族会にお願いしたら、国からもらうようにと断られました」
蓮池氏「家族会の収支報告を見たことは一度しかありません。お金のことで家族会が誤解されないように、今回、敢えて本で指摘したんです。透明性を保つこと、帰国した5人に寄付をくださった方々の気持ちを汲むことも大切ですから」
蓮池氏「支援金支給も1回の方がいい。毎月だと、まだもらっているのかと思われてしまう。しかし安倍さんは強運だ。北朝鮮の核実験で、昨年の慰安婦問題決着から目がそれたし、安保法制の後盾にも、拉致問題解決が遅れる理由にもなる」
岩上「北朝鮮誕生には日本も無関係ではない。その国に弟が拉致された。北朝鮮を仮想敵に排他的ナショナリズムが高まる中、最悪のシナリオが『戦争×原発』ですが、蓮池さんは原発で働いていた。時代の重荷を課せられているようです」
蓮池氏「同じ思いを共有する人は多いのに、なぜ、政治はそうならないのか。日本が米国という親分について行ったら拉致問題もうまくいかない。安倍さんが狙う緊急事態条項など含めて、いろいろな意味で本当に息苦しい世の中です」
岩上「現在、安倍総理が進めている政策と、拉致問題とは別次元のものではありません。重なり合い、根元でつながっている。拉致問題がなかったら、安倍さんはここまで昇りつめなかったかもしれません」
以上で、岩上安身による蓮池透氏インタビューの報告ツイートを終了します。
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