http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/905.html
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高市総務相が放送法4条違反の放送局の電波停止の可能性を明言。これで「行政指導」も取消訴訟の対象に。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/755c0843633b7d1a9d901171fee94662
2016年02月09日 | 社会とマスコミ Everyone says I love you !
高市早苗総務大臣は、2016年2月8日の衆院予算委員会で、放送局が「政治的に公平であること」と定めた放送法4条の違反を繰り返した場合、電波法に基づき電波停止を命じる可能性に言及しました。
高市大臣は
「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり可能性が全くないとは言えない」
と言ってしまったのです。
もう少し詳しく見ると、民主党の奥野総一郎議員が
「もしこれを恣意的に運用されれば、政権に批判的な番組だという理由でその番組を止めたり、その番組のキャスターを外したりということが起こりうる。放送法4条の違反には、放送法174条(業務停止)や電波法76条(電波停止)を適用しないことを明言してほしい」
と求めたのに対して、高市総務相は
「仮に、改善をしてほしいという要請(=行政指導)したが全く改善されないという場合に、それに対して何の対応をしないということを約束するわけにはいかない」
と答えたのです。
この発言はいくつもの点でおかしいのですが、まず、NHK「クローズアップ現代」におけるやらせ疑惑問題で、高市総務相がNHKを文書で厳重注意(行政指導)したことに対し、放送界の自主組織であるBPO(放送倫理・番組向上機構)が2015年11月、
「政府が個別番組の内容に介入することは許されない」
と厳しく批判したことがありました。
高市総務相はこれに対して、記者会見で、
「行政指導というのは、もう皆様御承知のとおり、行政手続法第2条第6号を根拠とするものでございますけれども、「処分」のように相手方に義務を課したり権利を制限したりするような、そういう拘束力はございません。
相手方の自主的な協力を前提としているものであることを申し上げたいと思います。」
と言い訳しました。
BPOが自民党に「放送の自由と自律に対する政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべき」
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/a384589f0ea9fbf92068f8b3e3671834
・
この行政指導と行政処分の区別は、「義務を課したり権利を制限する」法的拘束力を実質的に持っているかどうかで区別されるというのが行政法の通説、常識です。そして、法的拘束力のある行政処分であれば、取消訴訟など行政訴訟の対象となります。
この点について、高市総務相は、BPOから批判された時には、自分のやったことは純然たる行政指導で法的拘束力はなく、
「相手の自主的な協力を前提にしている」
と言ったのです。
ところが、今回は、放送局が行政指導にあくまでも従わなければ、電波停止という法的罰則を与えると明言したのですから、放送局側の自主的な協力を前提にするものではないことがわかります。
つまり、これは厳重注意などの「行政指導」が法律的な意味での行政指導ではなく、従う法的義務があり、実質的には法的拘束力を持つ行政処分であることを自白したことになります。
となれば、業務停止や電波停止処分はもちろんのこと、これから高市総務相やその後の総務大臣が行なう「行政指導」に対しても、処分の取り消しを求める行政訴訟ができることになります。
こんなことまでは、高市総務相は考えも及ばなかったのでしょう。総務相の官僚は頭を抱えているかもしれません。
ところで、問題になっている放送法の第4条は
放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
と規定しています。これは放送法1条2号の「放送の目的」は
「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」
にあるとか、放送法3条の
「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」
を前提にしたもので、放送局に「公平でなければならない」などの法的義務を課すものではなく、倫理規範(倫理道徳上の義務を課すルール)に過ぎないというのが通説です。
そうでないと、放送局の報道の自由が表現内容によって法的に制限されることになり、放送法4条の規定が憲法21条の表現の自由に違反していることになり、違憲無効となるからです。
元フジテレビアナウンサー長谷川豊くんに、放送法3条・4条と憲法との関係について教える
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/4011fe683b82757bc2c97536eb56c96f
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放送法に関する最高裁判決と通説の通りだ→BPO委員長、首相らの批判に反論 政治介入に「NO」。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/c2228be13f4f7172c08986e048093ef3
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ですから、放送法4条に「違反」したからといって、放送局の「法律違反」になるというものではなく、放送法174条の業務停止や電波法76条の電波停止処分はできないことになります。
もし、そんなことをすれば、憲法違反なだけでなく、各法律違反で処分は無効です。
また、先ほども述べたように、「行政処分」だと称して、それに従わなければ業務停止や電波停止処分にすることを前提に厳重注意などをすれば、それ自体が行政処分ということになり、違憲・違法だということで処分取消訴訟の対象になります。
つまり、これから放送局は、総務大臣が放送内容に関して文句を言って「行政処分」をしてきたら、いつでも行政訴訟が起こせるのです。
高市総務相は放送を「公平」に=政府に都合のいいものにしないと電波停止の可能性もあるぞとちらつかせて、放送局を萎縮させたつもりでしょうが、実際には「行政指導」もしにくくなるほど、自分の首を絞めてしまっているのです。
放送業界にいる方々は、こういう法律的武器もあるのだということを念頭に置いて、ぜひ気概を持って、圧力をはねのけてほしいものです。
だいたい、ネオナチとツーショットで写真を撮るような人が、何が公平か判断できるわけがない。
放送法逐条解説
金澤 薫 (著)
情報通信振興会
放送行政局審議官、放送行政局長などを歴任し放送行政を14年間担当した著書による詳細な放送法解説書。
NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか
上村 達男 (著)
東洋経済新報社
NHK前経営委員による最新刊。
「籾井会長は経営委員会が指名したのですから、私にも経営委員の一人としての責任があることは間違いありません。(中略)本書のような書物を出版することで、問題のありかをすべてさらけ出し、NHKの今後のあり方を検討するための素材を提供することこそが、私にできる責任の取り方と考えるほかはありませんでした。」
放送法を読みとく
鈴木 秀美 (著), 砂川 浩慶 (著), 山田 健太 (著)
商事法務
放送番組の編集は、放送事業者の「自律」(=自らにルールを課し、守る)に任されている。
安倍政権・言論弾圧の犯罪
浅野健一 著
社会評論社
最新刊。
放送や記事の内容をチェックし恫喝する自民党。戦後史上最悪の政権による言論弾圧だ。そして、ジャーナリズムの使命を忘れ、安倍首相と頻繁に会食を繰り返すマスコミ幹部たち。安保法制強行のなかで、完成しつつある安倍政権のメディア支配への警告!
安倍官邸と新聞 「二極化する報道」の危機 (集英社新書)
徳山喜雄 (著)
集英社
憲法改正、集団的自衛権、秘密保護法、靖国参拝、アベノミクス、対中・対米外交…。新聞は、それらをどのように報じた(報じなかった)のか。主要紙は「読売・産経・日経」vs「朝日・毎日・東京」という構図で分断され、相反する主張や論調が日々飛び交うなかで、私たちは何を信じればいいのか?
安倍政権のネット戦略 (創出版新書)
津田 大介 (著), 香山 リカ (著), 安田 浩一 (著), 鈴木 邦男 (著), 中川 淳一郎 (著)
創出版
月刊『創』にこの間掲載してきた論考をまとめ、大幅に加筆したもの。 安倍政権のメディア戦略について知るための決定版ともいえる1冊!
高市総務相、電波停止に言及 公平欠ける放送に「判断」
http://digital.asahi.com/articles/ASJ286TWTJ28UTFK00W.html?rm=666
2016年2月9日00時37分 朝日新聞
高市早苗総務相は8日の衆院予算委員会で、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性に言及した。「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と述べた。
民主党の奥野総一郎氏が放送法の規定を引いて「政権に批判的な番組を流しただけで業務停止が起こりうる」などとただしたのに対し、高市氏は「電波法の規定もある」と答弁。電波停止などを定めた電波法76条を念頭に、「法律は法秩序を守る、違反した場合は罰則規定も用意されていることで実効性を担保すると考えている」と強調した。
そのうえで高市氏は、「私の時に(電波停止を)するとは思わないが、実際に使われるか使われないかは、その時の大臣が判断する」と語った。
放送法4条は放送の自律を守るための倫理規範とされてきたが、高市氏はNHKの過剰演出問題で、行政指導の根拠とした。この点についても「放送法の規定を順守しない場合は行政指導を行う場合もある」との考えを重ねて示した。
「政治的な公平性を欠く」の事例については、「国論を二分する政治課題で一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」などと列挙。「不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められるといった極端な場合には、政治的に公平であるということを確保しているとは認められない」とした。
ログイン前の続き高市氏の発言に、放送事業関係者は反発している。ある民放関係者は「公平性を判断するのが大臣であり政権であるなら、それは政権による言論統制だ」。別の民放関係者も「威圧的に脅しているんだろうが、あまりにも現実性がなく論評に値しない」と話した。
◇
《砂川浩慶・立教大准教授(メディア論)の話》 気に入らない番組で言うことを聞かなければ停波になってしまうのなら、介入そのもの。そもそも行政は、個々の番組には立ち入らないという大前提でこれまでやってきたのに、現政権はどんどん踏み込んでいる。表現の自由、番組編集の自由についてどう考えているのか。行政が判断するとなると、行政をただすような放送や批判は認めない、となりかねない。
◇
《上智大・音好宏教授(メディア論)の話》 高市総務相は、放送事業者が放送法違反を繰り返し、行政指導しても無視した場合、電波停止もあり得ると言っている。だが、どのくらいだと問題なのか、はっきり言わず、あいまいだ。時の政権に批判的な放送を続けたら、大臣の裁量で(電波停止を)できると解釈できてしまいかねないところが心配だ。高市氏は「宝刀」を「私の時には抜かない」が、(将来の大臣が)「抜くかもしれない」と殊更に言っている。こういう発言が、放送事業者の萎縮を招く危険性がある。
【衆院予算委】奥野議員が安倍政権下でのマスコミの萎縮に懸念示す
https://www.dpj.or.jp/article/108332
2016年02月08日 民主党
衆院予算委員会で8日に行われた一般質疑では、奥野総一郎議員が情報通信政策をめぐって高市総務大臣などの認識をただした。
放送法4条では、放送事業者に対し放送番組の編集に当たり「政治的に公平であること」を求めている。これについて従来の総務省の解釈は「特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてバランスのとれたものでなければならない」「基本的には、1つの番組というよりは、放送事業者の番組全体を見て判断する」というものだった。ところが昨年12月、高市総務大臣はある民間団体への回答として、この従来の見解に以下の説明を付け加えた。
「他方、1つの番組のみでも、例えば、
選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合、
国論を二分するような政治課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合
といった極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められないと考えております。(以下略)」
奥野議員はこの点を「従来の政府解釈の変更」と受け止め、総務大臣の権限には放送業務の停止(放送法174条)や無線局の停止(電波法76条)が含まれることから、「もしこれを恣意的に運用されれば、政権に批判的な番組だという理由でその番組を止めたり、その番組のキャスターを外したりということが起こりうる。放送法4条の違反には、放送法174条や電波法76条を適用しないことを明言してほしい」と求めたが、高市大臣は「仮に、改善をしてほしいという要請(=行政指導)したが全く改善されないという場合に、それに対して何の対応をしないということを約束するわけにはいかない」と拒んだ。
奥野議員は、「この政権になってから行政指導も復活し、(放送法4条について)個別の番組についても政治的公平性が問われるというような解釈の変更をした。こうしたことがキャスターの交替につながっていないかと危惧(きぐ)する」と強調し、引き続きただしていく考えを示した。
高市総務大臣らの見解をただす奥野議員
民主党広報委員会
テレビ放送への政治関与 相次ぐ番組介入に自律を守れるか
http://mainichi.jp/articles/20160208/ddm/004/040/020000c
毎日新聞2016年2月8日 東京朝刊
NHKの報道番組について記者会見するBPO放送倫理検証委員会の川端和治委員長(左から2人目)ら=東京都千代田区で昨年11月
テレビ放送に対する政治の関与の在り方が問われ続けている。自民党の情報通信戦略調査会が昨年4月、番組内容を巡ってNHKとテレビ朝日の幹部を事情聴取し、11月にNHKと民放が設置する第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)が「圧力だ」と批判した。放送法が規定する「政治的公平」を巡る議論もあった。放送の自律を守ることはできるのだろうか。【青島顕、樋岡徹也、日下部聡】
元総務相と「意見交換」
昨年12月9日、東京都心のホテル宴会場で開かれた昼食会に、在京民放5局を含むテレビ局幹部ら約30人が集まった。自民党の佐藤勉国対委員長が講演した後、出席者と放送や通信に関して意見交換したという。
佐藤氏の事務所によると、数カ月前から事務所が準備し、支援する政治団体の主催で出席者から1人2万円を徴収した。今回が初めての開催で、政治資金規正法上の「政治資金パーティー」として収支報告するとしている。佐藤氏は元総務相で、自民党情報通信戦略調査会に付属する「放送法の改正に関する小委員会」の委員長を務め、放送行政に詳しい政治家として知られる。
テレビ局幹部はなぜ顔をそろえたのか。日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビの広報担当者は取材にいずれも幹部らの出席を認め「意見交換をした」などと答えたが、参加者名や支払額は明かさなかった。日本テレビは「参加は個人の判断だ」と説明した。NHKは「役職員の個別の業務に関する質問には答えていない」と出席の有無も含め回答しなかった。
佐藤氏の事務所は「意見交換の意味合いでやらせていただいた。政治的な圧力といったようなことは全くなかったが、今後は当事務所として携わることはない」としている。
テレビ局は電波法の規定で、電波行政を所管する総務相から5年ごとに免許を受けなければならない。さらに放送法4条は、番組編集に当たって「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」などと規定している。政権や与党が局の姿勢に口を出す際、こうした規定を持ち出すことがある。
メディア倫理に詳しい大石泰彦・青山学院大教授は「一般的な意見交換だったとしても、放送政策に関わる特定の政治家がテレビ局幹部を集め、局側も応じたのは、政治の倫理、メディアの倫理に反する。言論機関なら権力から距離を置き、公平公正な存在であるべきだ」と話している。
「公平中立な報道を」
一昨年以来、テレビの報道番組を巡って政府・与党が口を出し、波紋を呼ぶケースが目立っている。
14年11月、衆院選を前に安倍政権の経済政策の是非を街頭で聞いたTBS「NEWS23」の報道が「偏っていた」として、自民党は在京6局に選挙報道の「公平中立」を要請する文書を渡した。同党は、テレビ朝日「報道ステーション」の経済政策に関する報道を巡っても「公平中立」を求める文書を送った。
昨年4月には、NHK「クローズアップ現代」の「出家詐欺」報道のやらせ疑惑と、報道ステーションに出演した元官僚、古賀茂明さんが「官邸にバッシングを受けてきた」と発言したことについて、自民党情報通信戦略調査会がNHKとテレビ朝日の幹部から事情を聴いた。高市早苗総務相はNHKを厳重注意した。さらに6月、自民党国会議員の会合で出席議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」と発言したことも明らかになった。
一方で11月、クローズアップ現代のやらせ疑惑について審査したBPOが、この問題に介入する政府・与党の動きを批判した。放送局側にも毅然(きぜん)とした姿勢を求めた。
この春、3局の報道番組の顔が変わる。クローズアップ現代の国谷裕子キャスター、報道ステーションの古舘伊知郎メインキャスター、NEWS23の岸井成格アンカー、膳場貴子メインキャスターが一斉に降板することになった。岸井氏はTBS専属のスペシャルコメンテーターに、膳場氏は同局の「報道特集」キャスターに就任する。
総務省HPより
会見発言記事
高市総務大臣閣議後記者会見の概要
http://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/01koho01_02000433.html
平成27年11月10日
質疑応答
NHKの番組に対するBPO意見
問: 幹事社から1問お願いします。先週、NHKの「クローズアップ現代」の問題で、BPOから意見書が出されました。その中で、総務省の対応が「介入」だと批判されたわけですが、それに対して大臣も談話をされていますが、改めて、NHKの問題に限らず、放送事業者と政府の関係はどうあるべきか、番組の内容に政府がどこまで意見を言うべきなのかについて、御所見をお聞かせください。
答: 放送法におきましては、その目的において、放送の自律の下で、憲法の定める表現の自由を確保し、公共の福祉に適合するように規律するということが求められています。
このような放送法の規定に基づいて、まずは放送事業者が自主的かつ自律的に、放送番組を編集・制作していただくということが大事です。
これに対して放送法を所管する総務省は、放送事業者に対して、放送法の規定の遵守を求めるという立場にございます。ですから、放送法に抵触する事案があった場合には、放送法を所管する立場から、行政指導等の必要な対応を行うものでございます。
11月6日に公表されましたBPOの意見書に、総務省の行政指導についての記述がございましたけれども、放送法第4条の放送番組の編集に係る番組準則に係る規定について、BPOの意見では、これは法的な規範ではなくて、単なる「倫理規定」としておられます。しかし、過去に国会でも答弁されているとおり、正しくは「法規範性を有する」ものでございます。
放送法の第4条に、「報道は事実をまげないですること」などが定められていますけれども、その点で、NHKの番組については、放送法に抵触する点があったと認められたことから、放送法を所管する立場から、総務大臣としての責務を果たすために、必要な対応を行いました。
また、4月28日にNHKの最終調査報告書が公表され、私自身、隅から隅まで読ましたが、具体的な再発防止体制を、いつ具体的にどうするのかという記述が抜け落ちておりましたから、一刻も早く具体的な再発防止体制を作っていただきたいという強い思いから、早急に行政指導文書を作成しました。これは拙速との指摘は当たらないと考えています。
行政指導というのは、もう皆様御承知のとおり、行政手続法第2条第6号を根拠とするものでございますけれども、「処分」のように相手方に義務を課したり権利を制限したりするような、そういう拘束力はございません。相手方の自主的な協力を前提としているものであることを申し上げたいと思います。
実際、NHKでは、私からの行政指導を受けて、5月29日には再発防止策を公表しておられます。かなり具体化されて、どのような体制で再発防止を行っていくのかということを明確にしておられましたので、総務省としても、再発防止に向けた取組状況については、適切にフォローアップしてまいります。
いずれにしても、NHKの場合は受信料で成り立つ公共放送でもあり、総務省が所管する特殊法人でもございます。その社会的責任を深く認識していただき、正確な報道を行うことによって、国民・視聴者の皆様の信頼の回復に努めていただきたいと思います。
前段で、放送と政府の関係、放送法というものについて申し上げました。
問: すみません、補足なのですが、NHK以外の民放の放送事業者についても、同じようなことがあったら、同じような対応ということでしょうか。
答: NHKは、予算も国会で承認を受けなければなりません。総務省所管の特殊法人であるということもあります。国際放送などについても、要請 放送を行ったりしておりますので、民放各社とNHKについて、放送法上の対応というよりは、また別の意味を持っているということも事実でございますけれども、放送法の解釈、特に第4条が単なる倫理規定ではなく、法的な規範性を持つ規定であるということについては事実でございます。
これは全ての放送事業者に対して、第4条にある「公安及び善良な風俗を害しないこと」、「政治的に公平であること」、「報道は事実をまげないですること」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を、しっかりと自律的に守っていただきたい、こう考えております。
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