http://www.asyura2.com/16/senkyo200/msg/887.html
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これまで民主党を中心とした“リベラル派”の主張であった「同一労働同一賃金」(共産党までが好意的)を、安倍首相が施政方針演説で取り上げたことで、その政策化の流れができつつある。
安倍首相が同時に表明した「非正規雇用で働く人の均衡待遇を確保する取り組みを強化」することは、あまりに酷い現状を少しでも良くするため不可欠な政策だが、それが、「同一労働同一賃金」という曖昧模糊としたどうとでも解釈できるものにすり替えられ、非正規雇用の固定化や増加傾向を“黙認”する流れになるのは許されない。
リベラル派に代表される平等主義志向の人たちは、あまり内実を考えないまま「同一労働同一賃金」を平等理念に即したまっとうな政策のように受け止めているが、「格差是正(縮小)」と同じで、多くの人がよりましな生活条件を手に入れられるように政策というわけではない。(格差の問題は、格差自体ではなく、所得水準で下位に位置する人たちの劣悪な生活条件であり、下位の人たちの可処分所得を引き上げることが肝要である)
正規雇用の賃金レベルを引き下げて非正規雇用の賃金レベルを引き上げるという措置でも「同一労働同一賃金」は実現できる。
非正規の賃金を引き上げていくことは当然のように必要だが、不安定なうえに劣悪な待遇という状況から脱却したくて正規雇用を望む非正規労働者が「正規雇用」に転換される道筋を示すほうがより重要なテーマである。
※参照投稿
「首相、「同一労働同一賃金」実現へ法改正検討:「同一労働同一賃金」は労働者の“歯車化”、非正規の縮小や待遇改善を」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/326.html
「同一労働」という概念も、あるレバーを1時間に60回動かす仕事というようなデジタル的に計測可能なものであれば通用するが、質も量も“同一”という認定できる労働内容は稀である。
航空会社がキャビンアテンダントを非正規で雇用し始めたとき、「同一労働同一賃金」論で批判もされたが、職種が同じだからといって「同一労働」というわけではなく、経験や能力で労働のパフォーマンスは異なる。
CAの非正規雇用の問題は、数年の有期雇用であることや賃金格差が大きすぎることである。
直接雇用の人件費は消費税の課税ベースになるが、派遣労働者の人件費は経費となるので、逆に消費税の課税ベースから“控除”することができる。
直接雇用の人件費が100億円できちんと営業利益から充当されているとすると、人件費には消費税が8%(7.4億円)課されその分納税する消費税が増大するが、直接雇用をやめ派遣会社を活用すると経費と認定されるので、逆に、納税すべき消費税が7.4億円減少することになる。
このほか、直接雇用であれば社会保険など法定福利厚生費も負担しなければならない(法定福利厚生費も消費税の課税ベースに含まれる)。
このような“損得勘定”構造が、景気変動に対する雇用の調整弁として非正規と並ぶ、90年代から現在に至る派遣労働者の増大を招いた要因でもある。
そして、消費税の税率が高くなればなるほど(社会保険負担が増加すればするほど)、企業経営者は、労働者を間接雇用(派遣)に切り替えたいという誘惑に駆り立てられる。
非正規労働者の増大にも「消費税」が強く影響しているのである。
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非正規賃金上がりやすく 熟練度を反映
「同一賃金」照準 政府、秋にも法案
政府は非正規雇用(総合・経済面きょうのことば)の待遇を改善するため、仕事の習熟度や技能といった「熟練度」を賃金に反映させるよう法改正する。正社員と同じ仕事なら同じ賃金水準にする「同一労働同一賃金」の実現に向け、経験豊かで生産性の高い派遣社員らの賃金を上がりやすくする。約2000万人に上る非正規の賃金底上げにつなげる。
5月にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り込む。関連法はパートタイム労働法や労働契約法の改正と、派遣社員の待遇に関する新法で構成する見込み。厚生労働相の諮問機関の労働政策審議会で詳細を詰め、早ければ秋の臨時国会に提出する。
現行法では、企業が非正規と正社員との間に賃金格差を設ける場合、派遣労働者は特に定めがなく、パートタイムや有期雇用は「業務の内容」「責任の程度」「配置の変更の範囲」などを考慮するとしている。しかし、いずれも習熟度や技能、勤続年数といった非正規の「熟練度」を賃金に反映するしくみはない。
正社員は賃金体系で勤続年数や技術能力の向上が反映されるが、非正規は年功的な要素がなく、賃金格差は年齢とともに広がる。厚生労働省の調べでは、25〜29歳の場合、正社員は1時間あたり1453円で非正規は同1030円。50〜54歳になると正社員は同2446円で、非正規は同1029円にとどまる。
法改正では、経営者が賃金を定める際、熟練度の考慮を義務づける規定をそれぞれの法律に設ける。欧州は理由があいまいな賃金の差を禁止し、差を設けた企業に訴訟などで格差の立証責任を課している。日本も「熟練度」を明記することで、なぜ非正規が正規よりも賃金が低いのか企業に事実上の説明責任を課す。
非正規による賃金格差訴訟はこれまで「法律に『熟練度』の規定がないため、能力などを訴えても勝訴例は非常に少ない」(政府関係者)のが実情。法整備で企業側に対抗する根拠ができる。
ただ賃金体系で熟練度をどのように定義付けするかは労使交渉や判例の蓄積によるため、法改正しても、すぐに非正規の賃金改善につながるとは限らない。経営状況が厳しければ、非正規の賃上げの原資を確保するために、正社員の賃金や待遇を引き下げざるを得なくなる可能性もある。
安倍晋三首相は一億総活躍社会の実現に向け、1月26日の衆院本会議で「非正規雇用で働く人の均衡待遇を確保する取り組みを強化する。同一労働同一賃金の実現に踏み込む」と表明。2月5日の衆院予算委員会では「制度改正が必要な事項は労政審が議論する」との考えを示している。
[日経新聞2月7日朝刊P.1]
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非正規雇用 仕事同じでも正社員と賃金格差
▽…雇用期間や勤務時間などが正社員と異なる働き方の総称。パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などで合計約2000万人に及ぶ。正社員は雇用期間の定めがない無期雇用なのに対し、非正規社員は有期雇用が多い。一般に労働時間は週40時間以上働く正社員より短い。正社員より柔軟な働き方ができることから、非正規を選ぶ人も多い。一方で「正社員と同じ仕事をしているのに賃金格差が大きい」との指摘もある。
▽…非正規雇用がすべての雇用者に占める割合は1999年に25%だったが、2014年には37%まで上昇した。企業も雇用調整がしやすいことや年金や健康保険料の負担が少なくて済むことを理由に、非正規の比重を高めてきた。
▽…総務省の調べによると、正社員になりたいのになれない「不本意非正規」は331万人いる。子育て中でフルタイムで働けない女性や若者に多いとされている。政府は非正規全体の賃金底上げと非正規の正規への転換の後押しの両面で後押しする考え。一方で経済界からは「人件費に回せる経営資源は限られる。将来は正規の賃金引き下げで調整することもありうる」といった意見もでている。
[日経新聞2月7日朝刊P.3]
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