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政治学者中野晃一なかの・こういち/1970年、東京都生まれ。東京大学文学部卒。英国オックスフォード大学を経て米国プリンストン大学で政治学の博士号を取得。現職は上智大学教授。立憲主義の回復を目指す「立憲デモクラシーの会」や「市民連合」などの活動に積極的に関わる(撮影/写真部・長谷川唯)
政治学者・中野晃一「18歳選挙権の行方はシールズが鍵に」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160201-00000000-sasahi-pol
週刊朝日 2016年2月5日号より抜粋
今夏の参院選から選挙権年齢を「20歳以上」から引き下げ、「18歳以上」が新たに有権者となる。憲法学者の小林節氏、政治学者の中野晃一氏は、18歳選挙権はシールズらが鍵を握るとこう予想する。
* * *
――初めての18歳選挙権で投票権を得る240万人が、どこに投じるかも結果を左右します。
小林節(以下、小林):18歳選挙権が実現したのは、自公の多数派が若者は保守的だと認定したから。しかし、NHKの世論調査ではその70%以上がいまの政治に不満と言っている。安倍政権はやりすぎて若者から嫌われたのです。
中野晃一(以下、中野):若者が頑張ったり社会に関心を持ったり、政治を考えることで社会を活気づける効果が間違いなくあります。参院選では、市民連合やシールズが若者への投票呼びかけをやると聞いています。国政選挙の投票率が52.7%まで下がっているのは社会にとって大変な問題。投票率を上げるために、我々の社会を我々が築いていくことを若者に訴えていくことが必要です。
小林:シールズは安倍暴政に対して自然発生的に生まれてきたもの。2年前に私が大学を定年退職するころは学生に講義をしていても笛吹けども踊らずで、これは辞め時かと思っていた。その後、気が付くと元気のある若者が湧き出してきた。
中野:昨日、シールズの奥田愛基君に会ったのですが、昨年6月に小林先生が雨の中、国会前のデモに来てくれたことは励みになったと。彼らにはちゃんと伝わっていますよ。
――自公から政権交代したとして、野党に経済政策を任せることを不安視する向きもあります。
小林:安倍政権が労働法制を変えてやったことは、日本全体をブラック企業化すること。企業がブラック化すると、労働者は仕事の手を抜き、組織の生産性が下がり、やがて業績が落ちる。野党が政権を取って、この仕組みを裏返すだけでも経済はずいぶん上向きます。
中野:少子高齢化で若年層の人口が減っている中で、就労の入り口となるアルバイトがブラック化している。これでは若者の自信をなくす社会を作っているようなものです。
小林:それと、いまの官僚が政権交代の必然性を感じていないとの意見がありますが、官僚にも悪党と良心派がいる。自公政権を変え、そのときに要職を良心派に入れ替えればよいのです。
中野:民主党政権の3年3カ月は日本の政治に新たな時代を作った歴史的なこと。あまり失敗を責めるのもよくない。民主党も次回は市民社会と連結したうえで政権を担えば足腰がしっかりする。バランスの取れた政党政治が作り直せると思います。
(聞き手・桐島 瞬)
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